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爆弾発言

今回、やばいです

何がやばいか、読んで確かめてください(笑)

 俺はマルの左手を握り、凛花は右手を握っている。

 そんなマルの表情は嬉しそうで、見ているこっちまで笑顔になる。

「着いたぞ。ここが図書館。いろんな本が置いてあるんだよ」

 俺らはもう既に街の公共施設を7つ程巡っている。

 もちろん、マルが疲れないようにと休憩を挟んでいるが。

「この図書館でかいですね……」

「まぁ、この辺の地域では1番でかいって言われてるからな」

 街は小さいくせに施設は立派なんだよなぁ……プール無いけど。

「中、入ってもいいですか?」

「もちろん」

 この娘、なんで俺と喋る時は怯えてるんだろうか。俺なんかしたっけ?

 そうして、俺らは館内へ入った。


「暖かいな。これなら上着も必要ないか」

 館内は快適だ。暖房が効いているからだ。

 しばらく館内を歩き回り、どこに何の本があるかを把握したのだが、マルはまだ探しているようで。

「ライトノベルって、どこにありますか?」

 この子ラノベ探してたのか。

 いい趣味してるなぁ。

「それなら、うちにあるよ」

 俺の言葉に、マルは目を見開いている。

「悠眞さん、持ってるんですか?」

「まぁね。お目当ての本あるかわからないけど」

「ほんとですかむぐっ……」

「図書館では静かにしようね」

 突然大声を出したマルの口を抑えながらそう言う俺。

「うち、帰ろっか」

 結構歩いたので、そろそろ日が沈む時間になっていた。

「そうですね。マルお腹すきました……」

 ああ、そう言えば俺とマル、昼食べてなかったな。

 なら、早く帰らないと。

 葉月も待ってるだろうし。


「じゃあねー!マルちゃーん!悠眞ー!」

 凛花はこの後やらなければならないことがあると言ってたので、途中で別れた。

「おお、今日はありがとうな」

「ありがとうございました!」

 そう言えば、凛花は昼飯食べていたのだろうか?まぁいいか。

 マルは凛花が見えなくなるまで手を振っていた。

「それじゃ、戻ろうか」

 そう言えば、マルと2人きりってこの時間が初めてな気がする。

 マルは恋愛対象ではないが、女の子と2人きりというのはドキドキする。

 ……背徳感じゃ、ないよな?

「あの、悠眞さん」

 歩き出した俺の袖を掴みながら、マルが言う。

「マルを……ペットにしてくれませんか?」

 ……は?この子今なんて言った?

「もう1度言ってもらっていいかな?」

 顔を引きつらせて、俺は問う。

「だから、その……ペットにしてください」

 聞き間違いじゃないようだった。こんな純粋に見える少女がいきなりペットにしてくれなんて言うから、俺の脳はフリーズする。

「一目惚れです。あの時玄関であった瞬間からそう思ってたんです」

 人生初の告白がこんなにぶっ飛んでるとは、俺の人生どうなってんだ。

「自分の言ってる事の意味、わかってる?」

「はい。わかっています。こんなこと、他の人に言いません」

 今どきの10歳ってやばいな……

 俺はどうすればいいんだよ……OKって言うわけにもいかないしなぁ。

 俺が葛藤して、返事を出せずにいると、

「マルじゃダメですか?」

 と、急かしてくる。

 マルの瞳は潤んでいて、袖を掴んでいる手は強く握りしめて震えている。

 この子相当勇気を振り絞ったんだな、と思う。

「ごめんな、マル。俺じゃ君の飼い主にはなれない」

 なるべく傷つけまいと優しい声で言ったつもりなのだが、マルの瞳は更に潤んで、今にも涙が溢れだしそうだ。

 ……なんか、罪悪感がすごいな。

「でも、マルが嫌いってわけじゃないぞ」

「なら、なんで飼い主になってくれないんですか?」

「俺はさ、マルと対等な関係でいたいんだよ。だから、飼い主にはなれない」

「じゃあ、甘えてもいいですか?」

「もちろん」

「お兄ちゃんって呼んでもいいですか?」

「もち……ろん」

 立ちくらみによって足元がふらついた俺を心配して、マルは

「大丈夫ですか?お兄ちゃん」

 と言ってきた。

 とんでもない破壊力だ。

「ああ、大丈夫……後、マル。敬語じゃなくていいぞ」

「じゃあ敬語はやめるね」

 これもこれですごい破壊力だ。

 その破壊力に、再び立ちくらみがした。


 家に帰ると、葉月が出迎えてくれた。

「おかえり。って、距離近くない?」

 家を出る前に比べたら、めちゃくちゃ距離が近くなった俺らを、葉月は不思議そうに見ている。

 あれから、マルは俺の腕を抱きしめて、離そうとしない。

「色々あったんだよ。色々」

 大事なことなので二回言いました。

「へぇ……まぁ、仲いいのはいい事だからね、うん」

 呆れた目でこちらを見てくる。その視線は、俺のHPを削るには十分すぎる火力だった。

「なぁ葉月。話し合おうぜ」

 だからそう提案していた。

 だが、葉月はぷいっとそっぽを向いてしまって、俺と会話をしてくれない。

「お兄ちゃんは悪くないんです。マルが頼んだんです」

「お兄ちゃん……?へぇ、おにいそんな趣味あったんだ」

「……一回落ち着いて話をしようぜ」


 川崎家の廊下で、俺と葉月は会議を開いていた。

「おにい、どういうこと?」

「急にマルがペットにしてくれって言ってきた」

「……通報するよ?」

「まてまて!?これ大真面目だから!」

「はぁ……じゃあそれがほんとだったとして、おにいはなんて答えたの?」

「君の飼い主にはなれないって言った」

「へぇ。で、可愛い妹がいながらマルちゃんにお兄ちゃんって呼ばせてるのはなぜ?」

「それもマルの希望」

「……通報」

「なんでだよ!?」

「……嘘。信じられない部分めっちゃあるけど、おにいを信じてあげる」

「ありがとうな」

 そうして、会議は幕を閉じた。


 会議の後、リビングに戻った俺は、ソファーでくつろぐ。ふわっとしてて疲れが取れるんだよな。

 散歩して少し疲れた体を休ませていたら、

「お兄ちゃんっ!」

 マルが飛び込んできた。

「うおっ!マル、危ないぞ」

「えへへ〜、ごめんなさい」

 反省している様子はなく、むしろ嬉しそうだ。

 可愛いから許す。

 マルは俺に抱きついて、甘えてくる。

 ……甘えてもいいですかってあれ、本当だったんだな。

「美咲希さんに怒られちゃえ」

 八月が物騒なことを言っているが、それは無視だ。

 でも、美咲希への言い訳を考える必要がありそうだな。

 この5日間、退屈しなさそうだ。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!

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