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美咲希の気持ち

何の変哲もない日常です。美咲希みたいな彼女欲しい

「いやー、またこの5人揃っちゃいましたねぇ。もしかして私邪魔ですか?」

 にやにやと嫌な笑いを浮かべながらそう言ってくる葉月。

「そんなことは無いわよ。私はこの5人でいるととっても楽しいわ」

「そうだぞ葉月ちゃん。そんな面白いものを見るような目で見ても全く面白くないからね」

 女子は女子で楽しそうだ。

 俺と大悟はと言うと

「わりーな、お前デートの途中だっただろ」

「いや、いいよ。十分楽しめた」

「そっか」

 そして、家に着いた。


「お前ら、今日飯食ってけよ。お詫びだ」

「じゃ、お言葉に甘えるわね」

 そう言って美咲希は携帯を操作している。

「あたしも!」

 続いて小鳥遊。

「俺は一人暮らしだしな」

 大悟に関しては心配していなかった。

「あ、母親からOKって来たわ」

「あたしはとーさんからよろしいって来た」

 こいつら……まぁ誘ったの俺だからなんも言わねーけどさ。

「そんで、俺らの親は共働きで遅くまで帰ってこない、と。何の問題もないな」

「いや、おにい一つ問題がある」

「は?」

「リア充を見続けてる私が何をするかわかんない」

「あ、そっすか。頑張ってください」

 マジでどうでもいいな。

 いや、まてよ?これって葉月をぎゃふんと言わせるチャンスなんじゃ?

 そう思った俺は、笑顔を浮かべながら美咲希の隣へ行く。

「?」

 きょとんと首をかしげてる美咲希。

 隣についた俺は、肩を美咲希と重ねる。完全に密着した状態だ。

 そして美咲希がどう反応してくるかな、と思っていたらこれまた意外に体重を俺に預けてくる。

 そのまま2人で笑顔を浮かべ、大悟と小鳥遊の方を見ると、向こうも同じ事をしている。

 そして、視線を葉月に移すと

「はいはいどーせ私に居場所なんてありませんよー。リア充の空間に入れませんよー……」

 そして、まな板を包丁で強く叩いた。


「じゃ、葉月ちゃん、明日頑張ってね。私達も応援行くね」

 美咲希が何だか優しいお姉さんに見える。

「そーだぞ葉月!悔いのないようにな!」

 元気よくそういう小鳥遊。

「俺も応援してる!」

 大悟は、まぁ普通だな。

「はい!さっきまでおにいに殺意わいていたんですけど、なんだか収まった気がします!」

 満面の笑みでそう言っている葉月。

「なぁ大悟。一瞬葉月ちゃんに惚れかけたでしょ?」

「そ、そんなことはないなー。別に今の笑顔可愛いとか思ってないしぃ?」

 バレバレだぞ大悟。

「美咲希、1人で平気か?」

「大丈夫よ。気遣い感謝するわ」

 普通なら送っていくよとか言うんだろうけど、俺に普通は通じない。

「大悟は小鳥遊の事送ってけよ」

「わかってるって。じゃ、また明日な」

 そう言って、3人の姿は暗闇に消えていった。


「おにい行ってくるねー」

 次の日の朝、葉月は超早めに家を出た。

 最後の体育祭なので教室で暴れてくるとか言ってたな。

 葉月と入れ替わりに、美咲希が来た。こいつすっかり常連だな。

「悠眞起きなさいよ。遅れるわよ?」

「んん?起きてる起きてる。過保護だなお前」

「そんなんじゃないわよ」

 そう言いながら俺の部屋をキョロキョロ見ている

「ねぇ、なんか本増えてない?」

 こいつ、気づきやがったか。

「ああ、貸してた本が戻ってきたのもあるし、新刊購入したし」

「へぇ、どれぐらい貸してたの?」

「んー、合計で10冊ぐらい?美咲希の合わせると15かな」

「で、買ったのは?」

「7冊」

「多いわね……」

 約600円の本を7冊だから約4900円だ。確かに多い。

「しょーがねーだろ。暇なんだから」

 まぁ、俺の読むペースは約3時間だから21時間ぐらいは潰せる。

「一週間程度は潰せるかな。もう既に2冊読み終わってるし」

 そう言ってベットから起き上がり、本棚の目の前に立つ。

「この中でのおすすめは?」

「そうだなぁ……これとこれ面白かったぞ」

「書店でチラッと見かける程度ね。今度買ってみるわ」

「お2人さーん。朝からラブラブしてると遅れますよぉ?」

「うっせぇクソ親父!」

 何となく腹が立ったので近くにあったティッシュの箱(空になったやつ)を投げつけた。

 それを難なくキャッチした親父は

「ふっ。まだ私には届かんぞ」

 なんてことを言っている。

「で、悠眞。俺はこのティッシュの箱どうすればいいんだ?」

「そのまま捨てて」

 そう言って俺は部屋を出る。

「ちょっと待ちなさいよ悠眞」

「あ、ごめんごめん」

 そう言って階段を降り、リビングへ向かう。

「お袋今日気合い入ってんな」

「それはもう葉月の体育祭だもん。気合入れていかないと」

「あらあら、俺の時とは随分と気合の入れようが違うようで」

「だって悠眞の時は葉月が気合い入れてたじゃない?兄妹愛って言うの?だからお母さんが出る幕ないかなって」

「そうですかそうですか。ま、いーや」

「あ、あの。私も手伝っていいですか?」

 控えめに聞いている美咲希。

「もちろんよ。一緒に作りましょう」

 柔和な笑顔を浮かべる母親。

「でも、なんで美咲希作ろうって思ったんだ?」

「未来の妹のためになにかするのって変?」

「変じゃないけど。っておま、それってどう言う……?」

「まぁ……!」

 お袋は感激の表情を浮かべている。

 美咲希は頬をほんのり赤くしている。

「赤飯炊かなきゃ!」

「早まるなお袋」

「じゃあ俺は自治会に広めてくる!」

「待て親父!」

「悠眞は私とじゃ、だめ?」

「ああもう!なんなんだよ今日は!」

 俺の叫びは、家の隅々まで届いた。


 俺は日頃の感謝も込めて、後片付けをすると言った。

 それを聞いた美咲希も残ると言った。

「じゃあ行ってくるわね。悠眞、頑張りなさい」

 そう言ってウインクしてグーサインをしてくるお袋。

「なんもねーよ。ただ、ちょっと片付けるだけだっての」

「お前、その歳なんだから避妊はしろよ?」

「さっさと行けよ!」

 半ギレで俺はそう言った。

 両親が出てから数分、俺らは軽く掃除機をかけたりしていた。

「悪いな、あんな両親で」

「いえ、楽しくていいじゃない」

「世の中には相手にしてくれない両親もいるらしいしな。そう考えるといいのかもしれないな」

「そうね。私の両親はあなたの両親ほど構ってはくれないわ。だから、少し羨ましい」

 どうして?と、聞きたかったが、家族の話はデリケートなので踏み込んではいけない気がした。

「……そっか。さっさと済ませて葉月の応援行くぞ」

「全く聞こうとしないのね」

「デリケートな話だろ?だったら無理には聞かないさ」

「そう……悠眞のそういう所、好きよ」

「なんだよ急に。照れるからやめろ」

 軽い感じで返した。

「私がどれだけ本気か知らないくせに……」

 その声は俺に届くことは無かった。

「なんか言ったか?」

「なんもないわよばか」

 軽く片付け終わった俺らは家を出る。

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