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平和な世界

ネタ切れか?と思った時期もありましたが、そうでもありませんでした。

 両親がうるさかった俺らは、結局自由登校することにした。

 このまま行くと学校に早く着き、することがないとの事で自転車を押しながら歩いていた。

「そういえば、美咲希ってどの辺に家あるんだ?」

 なんか毎朝俺の家にいるからずっと疑問だった。

「結構近所よ?モン〇トのマルチで近くの友達で募集してもちゃんとできる程度」

 は?それって結構近いんだけど?

「じゃああれか、俺が通ってた小学校と別の小学校で、中学校も別か」

 この街には小学校が4つ、中学校が3つある。

 しかも、結構小さい街なので、家は近いけど学校は別というパターンが結構あるのだ。

「そうね。でも近所の公園であなたの姿を見かけたことは結構あったわ」

「え?マジで?全然気づかなかった……」

「やっぱり。図書室で会った日、私があなたの名前を知っていたのは昔あなたと遊んでいた人が悠眞って呼んでいたからよ」

「へぇ、そうだったのか。昔から俺の存在知っていたのか」

「覚えてない?女子5人の中にいたんだけど……」

「んー……ん?あぁ、いたなぁ。美咲希っぽいの」

 うっすらとだが、公園のブランコの近くによくいた女子のグループがあった。その中に美咲希っぽいのがいたようないなかったような……

「思い出してくれた?ブランコの近くによくいたんだけど……」

 どうやら合ってるようだ。

「あそこでうっふきゃきゃきゃしてたやつらか。ほぼ毎日いたよな」

「そうそう。騒がしくサッカーやってる男子達見てディスったりディスったりディスったり……楽しかったわ」

「お前それディスってしかねーじゃん」

 思い出話に花を咲かせていると、俺らはいつの間にか学校についていた。


 昼休みになり、弁当を食べようと席を立とうとしたが、四方を囲まれそれが出来なかった。

「油断したな悠眞。今日こそは大悟と一緒に吐いてもらうからな」

 しまった、完璧に忘れてた。

「わかったわかった。で?何が聞きたい」

「素直だな……どっちから告った?」

「俺から」「あっちから」

 俺らの異なる答えを聞いたみんなは、一瞬え?という表情をした。

「じ、じゃあ悠眞さん?なんて言ったんですか?」

「一目惚れだった。よかったら付き合ってくれ」

 要点だけ抜き取り、そう言う。

 だって恥ずかしいじゃん。

「で、大悟さんは?」

「俺は、めっちゃ可愛い表情で付き合ってって言われた」

 その言葉を聞いた男子共は一気にボルテージがMAXになった。

 うおおおおまじか!があちこちから聞こえてくる。軽いお祭り状態だ。

「いつから付き合ってんの?」

「夏休み初日」「夏休み最後の日」

 こいつら打ち合わせでもしてんのかってぐらい同じタイミングで騒ぐよな。

「どこまで進んだ?」

「「手を繋ぐまで」」

 それを聞いたお祭り男達は、はあああああああああ!?と叫んでいた。

「おま、あの小野塚さんと小鳥遊さんだぞ?なんで何もしてねーんだよ」

「だって、そーゆーことするために付き合ってんじゃないしさ。ゆっくりでいいかなって」

「同じく」

 俺が言ったら、大悟がそれに便乗した。

「うぐぐ…非リアからリア充に昇格しやがって…」

「で?ほかに質問ある?俺さっさと弁当食べたいんだけど」

「いや、別に。お前ら、幸せにな」

 多少ショックを受けながら、散っていく男子達。

 こいつら行動早いなぁ……

「ねぇ悠眞悠眞。今のやり取り全部漏れてたぞ。それ聞いた美咲希すっげー顔真っ赤にしてトイレいったぞ」

 あー、そーいえば小鳥遊って俺の席の隣だったな。

「ん、そかそか。なんか言ってたか?」

「うぅ〜って今にも泣きそうな声上げてただけかな?」

 それ見てみたかったな。

「そう言えばお前さ、美咲希と同じ小学校?」

「んー?いや違うよ。中学にあがってから知り合った感じかな?」

 へぇそうなのか

「なるほど。今朝美咲希と小学校の頃の話をしててさ、お前も同じ小学校なのかな?って思ってな」

「あー、そゆことかー。突然どうしたんだろうって思ったよ」

 二人で笑いあっていると、俺は二つの殺意に気づく。

「「悠眞く〜ん?随分と楽しそうじゃないですか〜」」

「何お前らリハーサルでもしたの?超息ぴったりじゃん」

 俺は何も気にしていないような感じで言ったら、それが逆にあいつらをもっと怒らせたようだ。

「悠眞くん?君話があるからちょっと来たまえ」

「悠眞?あなたほんとに楽しそうだったわね?」

「何お前らなに、小鳥遊はお咎めなし?おかしくね?」

 こいつらの殺意すごいよ。俺ほんとに殺されるかもな。

「お前、人の彼女と楽しく喋りやがって」

「お前だって俺の彼女の隣にいるじゃん」

 はい論破お疲れ様です。

「私と喋ってる時より楽しそうに見えたけど?」

「それは美咲希と喋っててつまらないって意味じゃなくて、落ち着いて、安心して喋れるんだよ」

 こちらはなんとか宥めないと俺死んじゃう。

 さっきから小鳥遊はにやにやしてるしなー。

「お前らさっさと飯食べようぜ。腹減って仕方ないんだが」

 落ち着きを取り戻した大悟がそうだな、といって、それに続いて美咲希、小鳥遊も弁当を取り出す。

 何だかんだ平和な昼休みを過ごした俺らだった。


 それから、ホームルームを終えて、家に帰った俺はぐったりとリビングのソファーに腰掛けた。

「あー……疲れたー……」

 体育祭の練習、体育の授業で行われるリレー。

 さらにはクラスの男子と大悟、美咲希の集中攻撃。これで疲れるなという方が無理である。

「おにい大変そうですねぇ。少しはリア充の気持ちもわかってくれた?」

「そうだなー、楽しいことばかりじゃないよなー」

「うんうん。それでよろしい」

 満足気に頷く葉月。

「あの両親はまだ帰ってきてないのか?」

 俺らの両親は共働きだ。だからいつもこうして葉月と二人で過ごすことが多い。

「んー?あー、そーだ。おとーさんもおかーさんも残業が入ったって言ってたよ。忙しそうだねー」

 放任主義にも程があるだろおい。葉月って小鳥遊と同等の美咲希の次に可愛いぞ。そんな妹と性欲の塊の男子高校生を二人きりにしていいのかよ。

「心配じゃないのかね?性欲の塊を女子とふたりきりなんて」

「なに、おにい私のことそんなふうに思ってるの?」

「あ?可愛いってだけだろ?」

「何その言い方なんか腹立つ」

 なんか、俺今日みんなが敵になってく気がする。

「別にお前なんかなんとも思わんよ。恋愛感情とかないから。どこのラノベだって話になるだろ?」

「まー、そーだけど」

 不満と安堵が混じったような表情を浮かべている葉月。

 今日も世界は平和だなぁ。

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