男子校と相談事 上
「男子校と私」と同じ主人公です。クラスと同じ。
「先生、放課後いいですか?」
相談があるんですーー
そう言われた私は、只今進路相談室で彼こと谷本君を待っている。
相談の内容は言われてない。
一応彼のテストや成績表なんかは持ってきた。
そわそわしながら待つこと数分、ドアが開いた。
「遅れてすみません」
彼は謝りながら机を挟んだ向かいに座った。
「相談事があるんだよね?」
「はい…。あの、すごく個人的なことなんですけどいいですか?」
おずおずと聞いてくる彼に、私は勿論と答える。
それを聞いて彼はホッとしたようだ。そして話し始めた。
「俺、妹に変態だと思われてしまったかもしれないんです」
い、いきなり変な単語が聞こえたー!
てか本当に個人的なことだった!
「しかも、それを姉にも言ったらしいんです!」
へーお姉さんもいるんだ~
と軽い現実逃避はここまでにして、
それにしても変態かぁ
この子は一体何をやったの?
谷本君は真面目で成績も良い品行方正な子ってイメージだったけど…
思春期だし、エロ関連?
もしかして特殊な性癖だったりとか?
「谷本君。そう思われた原因って何か分かってたりする?」
「はい、一応」
そうなの?
なら、君は一体何を相談しにきたの…?
「誤解を解きたいんです!」
と、机から身を乗り出して言った彼は3日前にあった出来事を話してくれた。
「俺、実はネットで小説を書いてるんです」
PCで小説を書いている時、画面をそのままにしてトイレへ行った。
そして、戻ったら画面が少し変わっていた(スクロールしてあったらしい)。
その時、家には妹しか居なかった。
故に見たのは妹で間違いない。
「あの日から一度も目を合わせてくれないんです…」
悲しそうに顔を伏せる彼はそれに、と続ける。
「姉からは、どんなあんたでも家族だからね…と遠い目をして言われました」
「君は一体何を書いたんだ」
遠い目をしちゃうような話って何!?
君はどんな話を書いてるの!?
「ちょっとした不倫ものですよ?一応ハッピーエンドです」
そ、そんなの書いちゃうんだー!
でも目を合わせない程ではないような…
「題名は…
"妻は見た~女装した旦那と男の娘~"
です」
なんか特殊なジャンルキターーッ!!
何?BLだけど百合っぽさを楽しみたいの?
てか妻のショック半端ねぇよ!!自分の旦那が女装って!相手が男の娘って!
「2話の題名も見られたと思うんですよね…」
あ、続くんだ!続きあったんだ!?
「2話は、
"妻は見た~汚れたセーラー服とスク水~"
です」
うわぁ…
妹さんの気持ちも分かるかも。
自分の兄がこんなの書いてたら…ねぇ…
「あ、男の娘がセーラー服ですよ」
だ、旦那ぁぁぁぁ!
お前かよっ!お前がスク水なのかよ!?
自分の旦那がスク水って…うわぁ…
誤解がないように一応言っておきました!と、彼が笑顔で言ってくる。
誤解しておきたかった…!こんな誤解なら大歓迎だよ!?
「俺はノーマルで、別に女装癖もホモでもないんですけどねぇ」
それなのにこんなの書いちゃうんだ!
「最後は、妻と旦那の愛が深まり子供ができるんです」
どうやったら深まるんだ…
あの絶望的な状況からどうやって…!
「そして、二人はその子を立派な男の娘として育て上げるんです!」
お、奥さぁぁぁぁぁん!
奥さんがっ!染まってるっ!
子供は普通に育ててあげようよ…!!
「あー、それを書こうって思ったきっかけは?」
一体何でこんな話を思い付いたんだ。