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午前二時に会いましょう  作者: はしもと
第五章 家族の形 人の形
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殺害計画



 表札を見ると「前田」と書かれていたので、住まいは変わっていなかった。アイツが自立して一人暮らし出来るような人間ではないことは私が一番よく知っている。

 実家に帰ったときと同じ方法で玄関の扉をすり抜ける。前田が特別な人間だったことも考慮して、血の繋がっている前田の家族も見える人という前提の元動いた。これ以上面倒事はごめんだ。階段を登って一番奥の部屋。扉の前には「勝手に開けるな!」と汚い字で書かれた張り紙が貼ってあった。その扉もすり抜け部屋の電気をつけた。ゴミが散乱している部屋の机の上にパソコンで作られたであろう資料が置いてあった。

 そのプリントアウトされたその資料をパラパラとめくる。案の定、私と岡部さん一家について詳しく調べられた情報が出てきた。私と岡部さんの関係。岡部さんのお嫁さんのこと。二人の子供のこと。一人一人の一ヶ月のスケジュールまで記載されていた。

 私はさらにページをめくっていき、岡部一家殺害計画と書かれた文章を見つけた。


『岡部清十郎は休日の前日の深夜二時に、○○町三丁目のコンビニに出歩く習慣がある。犯行は岡部清十郎が深夜外出時に行う。自宅への侵入経路は裏側に大きめの窓から。ガラスを割る際はマイナスドライバーで三角割りを行うこと。念のため○月×日午前二時五分に車を走らせるので、出来る限りその音で隠しながら割ること。

 妻の岡部景子と子供の岡部恵介は二階に上がって手前の部屋で睡眠をとる。まずは岡部景子の両手を縛りガムテープで口を塞ぐこと。子供は起きて泣いても放置して構わない。

 岡部景子を殺害する様子を支給いたスマートフォンで撮影。その後岡部清十郎のメールに送信。

メールアドレスは×××@○○.co.jp

 岡部清十郎が帰宅してくるので、二階の奥の部屋で待機。岡部景子の死体を発見したところで後ろから刺殺すこと。このとき可能なら腹部に数回突き刺すこと。

 計画終了後はTELで連絡。



なお、この文章はUSBからコピー又は移動をしないこと。USBは確認次第即返送すること』



 計画の実行は本日午前二時五分。

 壁にかけられている時計に目をやる。現在の時刻一時五十分。私は急いで家から飛び出した。一分でも一秒でも早く岡部さんの元にたどり着くために走った。疲れない体はどこまでも私を運んでくれる。


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