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プロローグ
雷雲のなかに影が浮かび、それは怒涛の勢いで地上へと落下してくる。
墜ちてくるものは四枚の翼を持つ巨大な赤いトカゲ。
この世界で〈ブレイズ・ドラゴン〉の名を与えられた赤竜は、一人の少年の命令により炎を吐き出した。
「ヘル・ブレイズ!」
業火は敵対する魔術師を灼き、生命力を根こそぎ刈りとった。
『勝者、八神赤夜』
人工合成音声がスピーカーから流れた。
見物人が歓声を上げ、赤き竜の主人を讃える。
「さすが学年ランキング二位!」
「八神、スゲェー!」
「早くアイツと戦えー!」
周囲の称賛を浴びても、八神赤夜に喜びはない。勝って当然と彼は思っていたのだから。
喧騒から離れようとした八神の後ろから、一際大きな声が上がった。
「お、お、おーっ!? なんだよ、これぇ!」
見知らぬ少年が走ってくる。
「これなんだ!? ゲームやってたよな、おまえら。オレも混ぜてくれぇ!」
呆気にとられる周囲にかまわず、少年は瞳を輝かせて大型ゲーム・マシンを世話しなく眺める。
場所は久遠北小学校・廊下、時は二学期始業式前、少年の名は紫堂竜兵。
また一人、パワー・フォース・ファイトに情熱を燃やす戦士が誕生した瞬間である。




