表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫神  作者: 星長晶人
6/42

部活見学の説明

 いいのか、そんなので。部活は自分でちゃんと決めた方がいいんだぞ。


「っ!」


 また秋原さんに足を踏まれる。


「……」


 秋原さんを軽く睨むが、彼女は素知らぬ顔だ。

「どうかしたの?」


 少し心配そうに言う。


「い、いや、別に。浅島さんは何か部活入んの?」


 話題を変える。ってか、秋原さんは何に怒ってんだ?


「うーん。文化系かなぁ。吹奏楽部は見に行くけど」


 浅島さんは考え込むようにして言う。


「部活って色々あるんだな。運動部と文化部、計いくつあるんだ?」


「運動部三十種類、文化部三十種類って聞いたことあるけど……。噂では百種類あるって言われてるし……」


 あり過ぎだろ。


「結構あるんだな」


 俺は苦笑して言う。


「そうなの。だから、全部をゆっくり見回ってから決めたらいいんじゃないかな」


 なるほど。


「んじゃ、今日から部活見学でもしてるか」


「あっ。……言い忘れてたけど、今日から一週間授業なしなんだよ?」


「えっ?」


 何で?


「さっきも言ったけど、ここって部活の種類が多いから授業なしで部活見学するんだよ」


 浅島さんが言う。何でそんなに詳しいんだかは知らないが、ちょっと助かった。


「マジかぁ。活動場所ってわかる?」


 活動場所がわからないことには動けないし。


「一旦教室に集合するからそこで詳しい説明があるんじゃないかな?」


 ふーん。ならいいか。


「んじゃ、メシ食い終わったし、行くか

 俺が立ち上がって言う。


「えっ? もう食べ終わったの?」


 秋原さん含め、数人の女子がきょとんとしていた。


「ん?」


 何できょとんとしてんだ?


「私達、まだ食べ終わってないんだけど……」


 へ?


「え~っと、じゃあ俺は先行くかな」


 少し気まずい感じで言う。


「男子ってそれくらいが普通?」


 秋原さんが言葉少なく言う。


「まあ、そうだな。でも俺はちょっと早い方だな」


 中学時代を思い返して言う。


「そう」


「ああ。女子はこんな感じなのか?」


 俺は聞き返す。


「う~ん。まあ、これくらいだよねぇ?」


 浅島さんが皆に向けて言う。


『うん。これくらいだよねぇ』


 他の女子が一斉に頷く。


 そうなのか。


「やっぱ、俺も皆が食い終わるのでも待ってるか」


 そう言って、俺はまた椅子に座る。


『えっ?』


 皆がきょとんとする。


「ん? ああ、俺一人でいるのもなんだし、食い終わるのを待ってのんびりしようかと」


 俺は少し笑って言う。


『そ、そう』


 女子達は照れたように言った。


「?」


 さっぱりだったが。



「これから部活見学の説明をするけど、質問は後でね」


 担任の先生が言う。


「まあ、部活見学っていうのは、あまりにも多い部活のために作られた行事で、一日全部使って部活見学することね。各部活は一日中部活するわけだから、結構のんびりやると思ってて。実際はもう少し厳しいと思うから」


 まあ、一日もやる体力はないだろうしな。


「回ろうと思えば全部回れるから、頑張ってね」


 言って、先生はプリントを配り始める。


「今から配る三枚のプリントが、部活と活動場所と主な内容が書いてある紙よ」


 三枚もあるのかよ。めっちゃあんな、部活。


「何種類あるんですか?」


 一人の女子が質問する。


「百数種類よ。まだ増えるかもしれないし、減るかもしれないけど」


 そんなにあるのか。部員数足りてんのかな? ……そういや、この姫神学園って一学年に六百人ぐらいいるんだったな。全校で千九百人ぐらいって言ってたし、百以上あっても十人以上はいる計算になるな。


「お昼はどうするんですか?」


 また違う女子が質問する。


「学食にでも行ってきて」


 適当だなぁ。


「部活体験って出来るんですか?」


「出来るとこもあるわよ。大概は見るだけだと思うわ。けどーー」


 そう言って意味深に俺を見て言う。


「ん?」


 よく見ると、皆が俺を見ていた。


「まあ、どっかの誰かさんが行けば、やらせてくれるかもしれないわね」


 ニヤリ、と笑って言う。って、俺のことかよ。


「何でですか?」


 また一人の女子が質問する。……女子って質問めっちゃするよな。実際にやられたし。


「男子の部活って今までなかったし、校内唯一の男子を入れられればいいからじゃない?」


 先生が軽く言う。男女混合で出来るってか。まあ、色々とメリットがあるんだろう。


 って、先生の癖に意外と生徒視点っぽいよな。人気が出そうだ。


「これで説明は終わり。だけど、弥生月くん」


「はい?」


 俺はいきなり先生に呼ばれてすっとんきょうな声を上げてしまう。


「学園の地図、頭に入ってる?」


「いえ……。寮とこの校舎ぐらいしか入ってないですけど……」


 いきなりここに入れられたし。


「じゃあ、何人かの班を作ろっか」


『えっ?』


 俺を含め、全員で聞き返す。


「その方が楽しいでしょ? 弥生月くんと同じ班になった人はついでに学園内を案内してもらおうかしらね?」


 先生は意地悪く笑って言う。


『はい、私がやります』


 女子が揃って手を挙げた。


「じゃあ、公平に、くじ引きで決めましょうか」


 先生が宣言するように言って、五人で一班のグループを決めるくじ引きが始まった。


 ……出来れば、のんびりと回りたいんだけどな。

気軽に感想ください。

ではまた二週間後に~。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ