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姫神  作者: 星長晶人
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朝の時間

遅れてすみません。

あと、定期的に更新できればなぁ、と思って前の話の半分くらいで更新します。

二週間に一度くらいのペースで更新しようと思いますが早まったり遅れたりと、かなり安定しないと思います。

ですが、読んでいただけたら、と思います。

「首尾は?」


 薄暗い部屋の中、スーツ姿の背の高い女が確認するように訊く。


「上々、ってところですね」


 十数台ものパソコンを操る少女が言う。


「上々、か。あいつはどうした?」


 女は満足そうに頷いて言う。


「弥生月大河は、クラスで一番強い女子に勝利を収めて相部屋になったようです」


 淡々と答える。


「ほう? 個室じゃないのか。あいつも大変だな」


 面白そうに笑って女は言う。


「勝ったことは褒めないのですか?」


「ん? 勝利なんて、あいつにとっちゃ通過点でしかないしな。それにこの世界最強が教えたんだから、勝って当然だ」


 女は、雨釣木恵は嬉しそうにそう言った。



「んあ~」


 俺はのんびりと起き上がる。


「そろそろ朝食の時間」


 秋原さんが言葉少なく言う。


「はいよ」


 俺はそれでものんびりと部屋を出た。


「何か悪いな」


「? 何が?」


 俺がいきなり言うのできょとん、として言った。


「いや、秋原さんと相部屋になって三日経ったけどさ、俺が秋原さんに世話になってるだけだなぁ、と思ってな」


 起こしてもらって、掃除してもらって。世話になりっぱなしだ。


「別にいい。恵様の話聞かせてもらってるから」


 秋原さんは素っ気なく、しかし照れたように言った。っていうか、無表情だから読みにくい。


「秋原さんって起きるの早くない?」


 俺は聞いてみる。朝飯ギリギリに起きる俺も俺だが、秋原さんは早すぎると思う。


「別に」


「そうか? いつも何時に起きるんだ?」


 朝飯は八時だから、俺は七時四十分くらいか。


「……五時」


 はやっ! そんなの家族の朝飯を作らなきゃならないお母さん達並みじゃねえの? まあ、昔は俺がそういう立場だったが。


「早いな。そんなに早く起きて何かするのか?」


 早起きは三文の徳、と言うが。


「……別に」


 少し気まずそうにして目をそらす。


「……?」


 何かしてるのだろうか。まあいいや。


「んじゃま、朝飯食いに行くか」


 大きく伸びをして言う。


「うん」


 秋原さんが頷いたのを確認して、食堂へ向かった。



「ん? どこも空いてないな」


 普通なら結構空いてるんだが。グループがバラバラになったみたいな?


「仕方ない。秋原さん、どっか座らせてもらって一緒に食わねえ?」


 仕方なく、朝飯をトレイにのせて少し困ったような顔をする秋原さんに聞く。


「別にいいけど、どこに?」


 小首を傾げて言う。


「ん~。おっ? あそこなら二人座れそうだな」


 周りを見渡して、丁度いい席を見つけた。


「なあ、席ないんでここ座っていいか?」


 四人席にいる女子二人に訊く。


「えっ? あ、うん。別にいいけど」


 少し戸惑ったように言う。


「さんきゅ」


 礼を言って、少し詰めてもらい、秋原さんと向かい合うように座る。


 二人の女子は少し嬉しそうな顔をしていた。人数が増えたからだろうか。


 席は長椅子だったので隣の女子と半ば密着するような感じになってしまうのだが。


「あ、あの、弥生月くんは部活入らないの?」


 やや沈黙気味だった席で秋原さんの隣にいる女子が聞いてきた。


「ん? まだ決めてないな」


 少し考えてから、言う。これと言ってやりたいこともないしな。


「そうなんだ。帰宅部にするの?」


 帰宅部は正式な部活じゃないだろ。


「特に決めてないから、そうなるかもな」


 特にやりたいことがないんだったら、帰宅部しかないよな。


「って、ん?」


 俺はさっきから一向に会話に参加しない隣の女子を見る。


 ーーどっかで見たことあるような? まあ、クラスメイトなら見たことがあって当然なんだが。


「ああ、“ペルセウス”の人か」


 やっと思い出した。


「な、何でそれを知ってるの?」


 女子がきょとん、として言う。


「ん? まあ、この前の大会ん時に強いなぁ、思って見てたからさ」


「そ、そう」


 女子は戸惑って言う。


「ああ、悪い。昨日クラス皆の名前聞きに行ったんだけど、十人ぐらいしか覚えてない。名前なんだっけ?」


 戸惑ってる女子に名前を訊くのもあれだが。


「え~っと、私は浅島美咲あさしまみさき。よろしくね」


 やっと戸惑いも消えたようで、少し微笑んで言った。


「っ!」


 足の指に鋭い痛みが走った。おそらく、秋原さんが俺の足を踏んだんだろう。それにしても、表では涼しい顔をしている。こういう時に無表情なんだろうか。……多分違うと思うが。


「? どうかしたの?」


 浅島さんが少し心配そうに言う。


「別に何でもない。ところで話を戻すんだが、三人は部活とかって決めてるのか?」


 まだ若干痛い足を意識からどけて、三人に訊く。


「うーん。私は文化系の部活にしようかなぁ、って考えてるよ」


「そうか。文化系のどんなのに絞ってるんだ?」


 秋原さんの隣にいる女子、確か山根さんだったな、が言って俺が返す。


「茶道部か、祭り研究部」


 結構絞れてるらしい。


「茶道部はわかるが、祭り研究部ってのは何だ?」


 祭りの研究でもするんだろうか。


「まあ、祭りがあったら積極的に参加して、学園祭をより盛り上げるための部活?」


 何だよ、それ。ただ遊んで遊ぶだけじゃん。


「祭り研究部はともかく、山根さんは和服似合いそうだからいいんじゃないか?」


 そりゃあ、茶道部の方が楽じゃないが、黒髪に黒い瞳だとよく似合う。


「えっ? そう? だったら茶道部にしよっかな」


 少し照れたように目をそらして言った。

誤字脱字などや、感想があったら気軽に書いて下さい。

では、次の話で。

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