エピローグ
※本日二話目
これで姫神は完結となります
今まで読んで下さった方々、本当にありがとうございました
最後に日間学園ランキング百位以内に入れました
本当にありがとうございましたm(__)m
後日。
俺は旅館の俺に充てられた部屋で目を覚ました。そこには涙を両目いっぱいに浮かべた皆の姿が。……そのまま飛びつかれたせいでまだ完治してない傷に障り、激痛に再び気絶したのは余談だ。
その後俺が目を覚ましたのは、最初に目覚めてから三時間後だったらしいが、俺は一週間も眠っていたらしい。……それは心配するし、目を覚ましてから飛びついてきたのも許せる。
だが俺は全姫神開放の影響で身体がほとんど動かず、一食ずつ交代で俺に全員が食べさせることになり、食べさせた後は俺に添い寝するという謎の看病を全員がしてくれた。……ホントは後半になってから身体が動くようになって料理も食べられるようになったんだが、何故か動くなと言われてその後も看病が続いた。おかげで身体が鈍り、しかし完全回復してしまった。
その後は強化合宿パート2という名目で遊び半分慰安目的でこの島に三日間居座り、それから姫神学園に戻った。
姫神学園に戻ると生徒会役員が出払ったためか全員が歓迎してくれた。中には俺の心配をしてくれた娘もいたようだが、俺に駆け寄ると同時に梨華が小さな身体を滑り込ませて阻んでいた。……理由は「……大河は今回の作戦で疲れてる」というモノだったが、俺が「見ての通りピンピンしてるから大丈夫だぞ?」と言った途端に女子の大群に押し退けられていた。
「……はははっ」
帰ってきたんだなぁ、と思って俺は思わず笑みを零してしまう。すると騒いでいたのが恥ずかしくなったのか、頬を染めて俯く女子達。その後我に返ったためか慌てたように去っていった。まさに蜘蛛の子を散らすように。
「……さすがは大河君ね」
と呆れたように音緒さんが言い、他の皆も頷いて納得していたが、当の俺には全く分からない。何がさすがなのか。
「……まあ一件落着ってことで!」
音緒さんはその一言で今回の事件をまとめると、解散を命じた。……しかも明日からはちゃんと学校に来るようにと忠告も兼ねて。
「……疲れから寝坊しそうだな~」とわざとらしく音緒さんに聞こえるように言うと、「……大丈夫。私がちゃんと起こすから」と梨華が言ってきた。……そういえば俺と梨華は同室だったのだ。しかも梨華は起きるのがとても早い。それなら寝坊することは出来なさそうだったが、「……わ、私が会長として、寝坊しそうな生徒を起こす義務があるから今日は同じ部屋で寝てあげましょう」と音緒さんが言い、何故か全員一緒に寝るという結果に……何故だ。
とはいっても元々二人部屋であり、十七人という大人数では入れないため、シリリスさんと一緒に――って何でまだこの人が!?
「……あらあら。無茶をする子を見張るのが私の役目ですからね、大河さん」
にっこりと微笑んで一言。……何故まだいるんですか、シリリスさん。どうやら気紛れでずっとあの旅館にいたらしいんだが、何故ここに。
という訳でその日の夜は、シリリスさんに色々とからかわれながら(一部からかいになってないモノもあってヤバかったが)、過ごすこととなった。
それから数日が経って、土曜日。俺は「……そういえば作戦が終わったら一緒に出かける約束をしてたっけな」と思い、一人一人に同じ時間同じ場所で待ち合わせるように、メールを送ってあった。今日がその日だ。
二人より皆一緒の方が、楽しいと思ってのことだ。今回の合宿で仲良くなったことだしな。……俺を含めて十八人という大所帯になるが、誰か一人と行っても「美」のつく女性しかいないため目立つのは避けられない。ならいっそのこと全員まとめていけば一回で済むという。打算的な意味合いもあるが――。
「……」
陽菜は傍目からはつまらなさそうに、内心では踊り出したくなるくらいに浮かれて、ケータイを弄りながら噴水の傍で待っていた。待ち合わせの相手はもちろん、大河。作戦前夜に意を決してデートに誘ったのはいいが、色々あって言い出す機会を失っていた。そこに大河からメールが来て、「約束の日、今週の土曜でいいか?」と言われて思わず即座に返信してしまったのは、今思い出しても恥ずかしい。
格好は少し気合いを入れて、似合わないかもしれないとは思いつつも大河に女を意識させるためにファッション性を重視した可愛く少女らしい服装だった。
「~♪ ~~♪」
鼻唄混じりに明音が登場して、同じく噴水の近くで上機嫌そうに待つ。……随分と気合いの入った格好だが、おそらくアリシアと待ち合わせているのだろう、と推測する。明音は合宿中にアリシアと仲良くなり、日本に来てからの日が浅いアリシアに日本のことを教えてあげるという約束をしていたので、それだろうとも思った。
そして自分はこれから大河とデートなのだ、と思うと後から出てきた幼馴染みの癖に生意気な明音を追い抜いた気がして、少し得意気になる。……だが妙なことに、陽菜に気付いた明音も得意気な表情を浮かべた。まあいい、と気持ちを切り替える。
陽菜は待ち合わせの午前九時の、三十分前に来ていて、待ち時間が楽しいというのが今なら理解出来ていた。
その後、アリシアが何故か明音と視線を交わしただけで一言も話さず互いに噴水の周りで待ち、生徒会書記の真央、副会長の百合香、二年のリン、二年の新楽華俱音、会計の天里、庶務のアレン、二年のセスティア、二年の凛根綺羅、二年の荒浜夏美、会長の音緒、恵、果てはシリリスまで勢揃いした時は、さすがに困惑した。何故か妙に嫌な予感がする陽菜。
全員私服で、華美ではなかったがそれがむしろ各々を際立たせていて、美女美少女が揃って噴水前に集まるという光景に、ナンパ男共も気後れして近寄ってこない有り様だった。
「……よっ」
そこににこやかな笑みを浮かべ、片手を上げて少し駆け足にやってくる大河の姿があった。
「「「……大河(さん/君/様)! ――えっ?」」」
十七人全員が大河を呼び、そしてそのことに視線を交わして驚く十七人。
「……ああ。悪いな、遅くなって。じゃあ行くか、皆」
いっそのこと爽やかな笑顔を浮かべて決定的な言葉を発する大河。
(((……どうせそんなことだろうと思った)))
ガクン、と見るからに落ち込む十七人。陽菜は最初だったからまだ待ち時間を楽しむことも出来たが、最後の方に来た人達は「……あれ? これってもしかして……」とすでに嫌な予感がしていたハズだ。
はぁ、と十七人の美女美少女は、マリアナ海溝よりも深いため息を、揃ってつくのであった。
……な、何か気落ちしてる。
俺が現れた瞬間こそホッとしたような表情をしてくれた皆だったが、すぐにガックリしたような表情になってため息までつかれてしまった。……俺の服装が悪かったんだろうか。ちょっと高かったが、ファッション雑誌にあった服で地味でも華美でもない服一式を買ってみたんだが。まさかそれがダメだったとか?
「……ちょっと大河! これはどういうことなのよ! 何でこんなにいるの!?」
と不安に思って服を見る俺に、明音が怒鳴ってきた。……ああそうか。大人数だったことを怒ってるのか。
「……いや、だって全員と終わった後に出かける約束しちゃったし、どうせなら皆一緒の方が楽しいかなって思ったんだけど」
俺は苦笑気味に笑いながら言う。……するとまたため息をつかれてしまった。
明音を筆頭にわーわー言いながらも、俺がサイトを見て考えていた場所に加え、それぞれが行きたい場所やオススメの場所を回って、結局日曜日も同じメンバーで出かけることになった。
ちょっと騒がしかったし、日曜日からはネオスの日本支部がそこまで襲撃だったりに付き合ってなかったこともあり、しかもツバキさんと凱亜が首謀者だと名乗り出たことによって罪が軽くなり釈放されたエルナとリナードさんも加わって、二十人という大所帯になってしまったが。
それでも、楽しくて笑顔が溢れて、ちょっと恥ずかしいが。
皆を守れて、ホントによかったと、心の底からそう思った。




