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姫神  作者: 星長晶人


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作戦決行

 師匠が加わったことが本格的に戦闘が始まる。


「……甲板を撃ち抜いて艦船にも攻撃した方がいいと思うか?」


 俺は一番近くにいるアリシアに声をかける。朱雀の矛を持って敵を倒しながらだ。……出来るだけ早く制圧した方がいい。倒した姫神使いを海に投げ捨てないで捕えるのにも限界がある。


「……そうね。相手が死なない程度で、潜入した皆を攻撃しない程度ならいいと思うわ」


 アリシアは考え込むようにしてから、デュランダルで敵の狂戦士を倒して言う。


 水面には俺が設置したトリモチフィールドがあり、ベットリとくっついて離れないようになっている。浮いているので沈む心配もない。


「……ならあれだな。レイン・ブレイズ」


 俺は言って、上空に大きな魔方陣を展開し、炎の雨を降らせる。広範囲に攻撃出来る魔法で、威力もそこそこ高く、何より雨なので回避しにくいという特徴がある。


「……オール・キャンセル」


 だが数秒の間炎の雨を降り注いだが、大してダメージは見られず、魔法をキャンセルされてしまった。……八聖獣の力で放ってはいるんだけどな。あんまり意味がないようでガックリする。


「……敵の魔術師を、誘き寄せるしかねえな」


 俺は呟き、魔法を連発する。声がした艦船を集中的に狙うようにした。……魔法を連発しながら襲いくる敵と戦うってのはかなり難しいが、四人が俺の分をフォローしてくれてるのでかなり楽になった。アドリブにも対応してくれて、ありがたい話だな。まあ俺以外は全員国家代表なんだが。


「……魔術師を誘き出すのよね? それなら私がやるわ」


 さすがに消費が多いと見たのか、音緒さんがそう言ってきたので一旦魔法を連発するのを止める。何をするのかと思えば、


「……ラヴァ・フォッグ」


 霧状に展開した溶岩を六つの艦船に向けて放ったのだ。周囲にいる敵さえ巻き込んで。


 音緒さんは聞けば『エレメント』という属性を操る姫神の中でも特異で、しかも二つ持っているという例外中の例外。溶岩の霧なんて真似を容易くやってのけるのは、姫神を二つ所持してるからに他ならなかった。


 熱気にやられた艦船が徐々に溶け始めていて、甲板にいてこっちに対姫神用の大砲を放ってくる人達が慌てているのが見えた。


「……やってくれましたね。カノン・キャノン」


 そんな声が聞こえたかと思うと、無数の魔方陣が展開され、大砲が撃ち出される。


「……っ! はっ!」


 砲撃を全て、一振りで放った爆炎で薙ぎ払う師匠。


「……チッ。もうちょい待ってから出たかったんだけどな」


 舌打ちしつつ魔術師の格好をした女性に続いて出てきたのは、大剣を肩に担いだ美女。ビキニアーマーに身を包んでおり、ちょっと目のやりどころに困る。……と思ってたらアリシアに剣先で刺された。痛い。


「……しゃーねーだろー。相手が世界最強に国家代表だってんだからなー」


 怠そうな口調で出てきたのは双剣を持った少女。


「……まあ、倒す他ありませんわね」


 優雅な微笑みを浮かべつつトゲつきの凶悪なハンマーを持って出てきた美女が言った。


「……艦船最強の私達が出てきて、いいんだか悪いんだか」


 はぁ、とため息をついて出てきたのは武器を持たない軽装の少女。おそらく素手で戦うタイプ。


「いいに決まってますわ。だって潜入してきた皆さんを倒し、全員でかかれば倒せますし。私達がここにいる皆さんを倒せば加勢して倒せますし」


「……随分嘗められたもんだな。この世界最強を相手に、足止めか圧勝が出来ると?」


「もちろんですわ」


「……師匠。こいつら全員『ゴッド』です。油断はしないように。“ペルセポネ”、“シヴァ”、”ゼウス”、“アヌビス”、“ポセイドン”。本当の持ち主じゃないでしょうが、かなり強力なコピーです」


「……写し、か。まあレプリカ程度じゃ私一人でも倒せるだろうが」


「ただのレプリカではありませんからね。『ゴッド』のレプリカに元々自分達が持っていた姫神を加算したのが我々です。覚悟して下さい。せめて三十分は足止めしたいですからね」


 “ポセイドン”を持つ格闘家らしき少女が言って、五人が襲いかかってくる。……俺に対して、一斉に。


「……うおっ」


 俺は驚きながらも霊亀のシールドを展開し、五人を拒む。いかに神にも等しい神獣の力といったって、神を使えるのが五人もいればすぐに破られる。


「そうはさせねえよ」


「……私を無視するなんて、いい度胸じゃない?」


「……斬って捨てる、それだけだ」


「……大河様には指一本触れさせないわよ」


 だが他の四人が一対一になるように一人ずつ引き受けて、弾き返す。俺の下に来たのは“ポセイドン”の少女だ。


「……海なら私があなたと戦うのが、一番よね」


「……“ポセイドン”は海神だからな。けど何であと一隻からは誰も出てこない?」


 師匠は“アヌビス”の縦ロール美女と戦いつつ二隻を攻撃してはいるが、残り一隻には届かない。あの一隻だけは、攻撃がこないように遠ざかっていく。……何か大切なモノでもあるのか?


「……答える必要はないんだけど。まああなたにも関係のあることだから言ってあげるわ。あの一隻にはもう一人の、男の姫神使いがいる。姫神に適性のあった男子を捕まえて、『アルティメイト』に目覚めさせたのよ。もちろん科学者達が、だけど。で、あの一隻で今は眠ってるのよ。だから攻撃されたくない」


 少女はあっさり答えてくれた。……だがその言葉に俺は驚き目を見開く。


 俺以外に姫神適性のあるヤツがいたってのか?


「……まあだから、無差別に攻撃してるあなた達を止めないといけないし、こうして私達が出てきたのよ」


「……そうか」


 少女が構えるのに応えつつ、頷く。


「……名前は何ていうんだ?」


「……他人に名前を聞く時はまず、自分からでしょ?」


「……弥生月大河。『アルティメイト』の“レジェンド”だ」


「…………エルナ・ディータ。『ゴッド』の“ポセイドン”のレプリカを持つわ」


 もう一つを教えてくれる程敵に優しくしないようだが、名乗り返してくれた。


「……『ゴッド』じゃ俺には勝てない。それを思い知らせてやるよ、エルナ」


「……悪いけど、海なら私に分があるのよ!」


 ただの“ポセイドン”ではないためか専用武器のトライデントを持たないエルナだが、俺に真っ向から突っ込んできた。俺もそれに応えて、激突する。

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