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姫神  作者: 星長晶人


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19/42

世界最強との特訓

 放課後、アリーナを一つ貸し切って俺達七人はいた。


 世界最強の姫神使いにして俺の師匠でもある雨釣木恵。


 その勇名は国内外を問わず轟いている。


 そんな師匠と対峙するのは五人の美少女達だ。


 俺の小学校からの知り合いであり、黒髪ポニーテールを腰まで伸ばし目つきを鋭く細めて、赤い武者鎧に身を包み大きな日本刀を両手で構えるのは、暁陽菜。


 俺の中学校からの知り合いであり、茶髪がかったツインテールにどこか生意気に吊り上がった口元をした、白い毛皮のようなマントを羽織りタンクトップと太股丸出しの短パンのような露出の高い白い服装で右手に巨大なランスを持っているのは、恵ヶ原明音。


 中学時代は伝説の吹奏楽部の一員であり、黒髪のストレートへアを腰まで伸ばし真剣な表情をして、深い紺色の金属鎧で首から下を包み胸元にはペルセウス座が描かれていて右手に長剣左手に髪が蛇の女の生首の石像を構えるのは、浅島美咲。


 俺の相部屋の権利を勝ち取り、長い黒髪から銀髪に変わりいつもは前髪で左目を隠しているが三日月型の髪飾りで露わになっている瞳は赤くいつもの無表情の中に熱意を宿して、漆黒のドレスを身に纏い片手に一本ずつ銀の細剣を持ち背後に月の装飾を携えるのは、秋原梨華。


 フランスの国家代表生であり、サラサラとした長い金髪に綺麗な金色の瞳をして外国人なので日本人とは少し違う顔つきをしているように思われる西洋の整った顔で、首から下を金色の騎士甲冑で覆い赤いマントを羽織り右手に金色を主とし水色の線が入った騎士剣を持ち左手には縦が一メートルはある十字架の刻まれた盾を構えるのは、アリシア・リーヴェンハート。


 陽菜の姫神はファンタジー職業のような力の総称である『プレイヤー』の一つ、“侍”。


 明音の姫神は生物の力の総称である『カイザー』の一つ、“ハリネズミ”。


 浅島さんの姫神は銀河の力の総称である『ギャラクシー』の一つ、“ペルセウス”。


 梨華の姫神は神の力の総称である『ゴッド』の一つ、“セレネー”。


 リーヴェンハートさんの姫神は伝説の力の総称である『レジェンド』の一つ、“パラディン”。


 そして俺の『アルティメイト』の一つ“レジェンド”。『アルティメイト』ってのは、その全ての力を使えるってことらしいのが、今までで分かっている。俺の場合伝説に出てくる全部の力が使えるって訳だな。


 リーヴェンハートさんの『レジェンド』は伝説に出てくる力を使える姫神で、“パラディン”ってのは『プレイヤー』にもあるが、騎士の上位である聖騎士という意味ではなく、フランスの「ローランの歌」という叙事詩に出てくる十二勇将の総称である。有名なところではローランの持つ聖剣デュランダルという武器なら分かるだろうか。


 今がそのローランの力を纏っている状態だ。


 師匠も姫神を展開している。


 純白の騎士と言えるような機械の鎧のように纏っていて、右手に黄色の大剣、左手に茶色の大剣を構えている。


「……よし。五分間で一発でも私に攻撃出来れば一個目はクリアとする」


 師匠は五対一の状況で、余裕綽々と言った。……この発言にはさすがに五人もピクッと反応を見せる。


 ……第一段階でこれかぁ。姫神最強の潜在能力を秘めていると言われている『アルティメイト』の一つを持つ俺でも一日でこなせと言われ無茶をしていなかったら数日かかったかもしれない。結構キツい訓練なのだ。というか俺だって最強のコンボを使って五時間ぶっ続けでやってやっと一撃を掠らせることが出来たくらいだ。偉そうなことは言えない。


「……いいんですか? 国家代表の私もいるのにそんなこと言って」


 特にプライドが傷付いたのはリーヴェンハートさんだったようだ。鋭く目を細めて師匠に言った。


「……ああ。たかが一国の代表と、世界最強の差を見せつけてやる」


 だが師匠はそんなリーヴェンハートさんに対しニヤリと笑って挑発的に言った。……確かに、これはいい練習にはなる。


 今回の作戦状、連携が不可欠となるのだ。相手の強さに差があるとしても、互いが邪魔になってしまっては元も子もない。そのための訓練でもあるのだろう。


 まず、リーヴェンハートさんが真正面から師匠に突っ込んでいく。盾を正面に構え、師匠の攻撃を受けて応戦するつもりのようだ。


 リーヴェンハートさんが正面から突っ込んでいったからか、梨華と浅島さんの二人が空を飛び左右からリーヴェンハートさんに少し遅れてほぼ同時に突っ込んでいく。


 リーヴェンハートさんの姿に隠れるようにして明音がランスを構え突っ込んでいく。陽菜はその斜め右後ろだ。


 ……即興にしてはいいフォーメーションだと思う。だが連携という点ではきっと穴だらけなんだろう。


 そう思っていた俺の予想は、確かなモノとなって当たった。いや、当たってしまったと言うべきか。


 リーヴェンハートさんが正面から師匠の大剣を盾で受け防戦一方を強いられていて、踏ん張らなければ吹っ飛んでしまうので盾で防ぐしか出来ず梨華と浅島さんの攻撃の邪魔となってしまっている。だがその程度では攻撃しないという選択肢を選ばない。二人は隙間から師匠に攻撃しようと特攻をかける。だが師匠はニヤリと笑うと茶色の大剣を地面に突き立ててリーヴェンハートさんの足元を隆起させ突っ込んできた二人の目の前まで持ち上げる。そのため二人はリーヴェンハートさんに衝突してしまい、後ろから突っ込んできていた二人のすぐ前に落ち、連鎖的に転んで一箇所に折り重なって倒れていた。


「……雷地の帝(らいちのみかど)


 師匠が両手の大剣を大きく振り上げ、同時に振り下ろした。


 折り重なって倒れているという情けなく隙だらけの五人は、師匠の放った雷電と土石流に呑み込まれ、戦闘不能となった。


「……ほら大河。ボーッとしてないで回復させろ。お前は元々そっちで回復を担当させる予定だったんだからな」


 俺がやっぱりこうなったか……、と思っていたら師匠が俺に五人を治せと言ってきた。


「……はいはい、分かりましたよ。――僧侶」


 俺は勇者のお供で回復役を務める僧侶という職業を展開する。法衣に棍という格好だ。坊主にはならない。


「完全回復」


 俺は詠唱をして、五人を一気に回復する。……これでしばらくすれば目を覚ますハズだが……。


「おい、起きろ」


 師匠は順に五人の頭を大剣の腹で叩いて無理矢理起こす。……やっぱこうなるよな。


「……何だ?」


 俺の視線に気付いたのか師匠が睨んでくるが、俺は肩を竦めるだけに留めた。


 その後も幾度となく戦闘を繰り返す五人だが、師匠に攻撃を当てることは出来なかった。苛立ちだけが募っていく。


 ……う~ん。やっぱり互いが互いを邪魔だと思ってるから上手くいかないんだろうな。


「……少し休んでいいぞ。このままじゃ今日中に私に攻撃を当てることすら出来んぞ。少し頭を冷やしてからだ」


 師匠はそう言って汗一つ掻いていないのにアリーナに設置されているシャワールームの方に向かう。……どうやら五人に考える時間くれるようだ。


「……ああ、そうだ。大河、お前なら何で五人が上手くいかないのか分かってるだろ? 直接何かをするのはダメだがヒントをやるのは許してやる」


 師匠は思い出したかのように言って、振り返らずにそのままシャワールームへと向かった。


 ……さて。これは俺がヒントを教える方が早そうだな。もうあまり時間もないことだし。


 俺はそう思い、疲弊している五人の方を向いた。

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