襲撃計画
一ヶ月振りくらいです
一気に事態が動く予定です
「……アメリカがついに、ネオスを襲撃するらしい」
「……いきなりですね」
師匠が食堂で飯を食べている俺達に声を潜めて言った。
……ネオスとは世界に十個しかない姫神研究所のアメリカ支部を襲った組織だ。ついでに部活見学の時刺客を送り込んできた組織でもある。そしてその刺客として来たのが、リーヴェンハートさんという訳だ。
「……襲撃。基地でも見つかったんですか?」
梨華が襲撃という言葉を聞いて師匠に尋ねる。
「……まあな。といっても基地と呼べるようなでかいモノじゃない、艦隊だ。その艦隊が支部のような役割を果たし、世界に点在してることが分かってる」
師匠が言う。……つまり、今回の襲撃はその艦船を襲撃するということらしい。
「……アメリカの国家代表が集って三つの艦船を襲撃するようだ。ということで、その混乱に乗じて私達も日本にある五つの艦船を襲撃するように言われた」
「「「っ!?」」」
続いた師匠の言葉に全員が驚いていた。
「……もちろん辞退したいヤツはいいぞ。私と大河、秋原梨華とアリシア・リーヴェンハートは強制参加となるが、他は別に参加しなくてもいい。志願しても義勇兵としての参加になるがな。相手の姫神の強さも数は未知で不利な状況だが、日本の代表やこの学園からも何人か学年のトップクラスが参加することになっている」
「……私はやります」
真っ先に言ったのは俺の小学校からの知り合いである、暁陽菜だ。
「わ、私だって!」
陽菜につられたのか負けじとばかりに俺の中学校からの知り合いである、恵ヶ原明音が言う。
「……私も、やります」
吹奏楽を愛して止まないクラスメイト、浅島美咲が決意を固めた表情で言った。
「……いいのか? この戦いはいつもの試合とは違い、お前達の命がかかってるんだぞ?」
師匠は睨みつけるように視線を鋭くして聞く。だが三人は全く引かず、師匠を見つめ返した。……いいのか?
「……分かってるならいい。私からの配慮でお前達五人と大河は同じ班にしてやるが、充分に気をつけろよ。相手がどんな姫神を使ってくるのか、対姫神用の兵器も使ってくるかもしれない」
師匠は真剣な表情を崩さずに告げる。……相手は姫神を強化してくるかもしれないし、対姫神用の兵器を多用してくるかもしれないし、新しく作った万能の姫神を使ってくるかもしれないし、男子へ姫神を移植して男子を使ってくるかもしれない。戦力の差は分からないが、こちらが不利なことには変わりない。
「……問題ない」
梨華がいつも通りの無表情で言った。……さすがに梨華に動揺は見られない。隠しているのかもしれないが、俺には分からなかった。
「……それならいい。じゃあ私は数日の間いなくなるが、明日早朝にはいないと思っていてくれ。各自鍛練は怠るなよ。お前達には今日の放課後緊急訓練をつけやるが、私が大河を鍛えたのと同じメニューだ」
「っ!? 師匠、あれは一日で出来るもんじゃないですよ!」
俺はそれを聞いて驚き師匠に言った。……師匠の鍛え方って強くはなっても雑なんだよな。
「……けど確実に生き残るためには、あれくらいやらねえとダメだろ」
師匠は片眉を器用に上げて俺に言った。……マジかよ。
「……生き残る前に、死ななきゃいいんだけどな」
俺はボソッとあの時のことを思い出し遠い目をして呟く。……いや、マジで危険だから。本人は手加減するとか言ってるけど絶対死にかけるから。
「「「……」」」
俺の呟きを聞いていた皆は何があったのかと青褪めた顔をしていた。
「……不吉なこと言うんじゃねえよ。別にそこまで言うようなもんじゃねえだろ?」
「……いやいや、師匠はちゃんと自覚持った方がいいですって。初期の姫神時代とは違うんすよ?」
「だってお前生きてんじゃん」
……この女、俺に責任をなすりつける気らしい。もちろん師匠にその自覚はないが。
「……そうっすね」
ということで、俺はもう師匠に自覚させることを諦めた。自分の強さについての印象が薄いんだよ、この人。
「……何だよその投げ槍は顔は」
師匠は俺の首をホールドしてギリギリと締め上げる。
「く、苦しい! ギブ! ギブですから放して!」
俺はすぐにギブアップをして師匠に放してもらう。……だって師匠がやると胸の反発でさらに苦しいんだよ。これがもし梨華だったら……いや何でもない。
「……ま、私の訓練だから授業よりは厳しいと思っておけばいいだろ」
師匠は俺を放すとニカッと笑って言った。……絶対そんなもんじゃ済まないからな。後で皆に忠告しておこう。
そしてその日の夜、師匠の訓練が終わった後の皆はベッドから一歩も動けない状態になっていた。
次話は訓練模様になります




