迎えた朝
一年と一ヶ月……かなり遅れました
だんだんと進めていきますが、進行スピードはかなり遅いです
次は半年より前に更新できればいいなぁ、と
「……ん?」
目が覚めて、ふあぁ、と大きく欠伸をして起き上がる。
身体中の痛みが消えている。姫神の中には回復系の能力を持つモノもあるので重傷な時はそれを使う。
「……うぅん」
「っ!?」
俺の横から艶っぽい声が聞こえた。
「し、師匠!?」
左隣に、師匠が寝ていた。……全裸で。
そういや、師匠は全裸で寝るんだったなぁ、とぼんやり考えて、春休みに何度も経験してるので、冷静さを取り戻す。……まだ心臓の高鳴った鼓動は静まらないが。
「はふぅ……」
俺の、今度は右隣から、気持ち良さそうな声が聞こえた。
「こ、国家代表生の!?」
弥生月大河ファンクラブ会員とかいう。
名前知らないんだが、昨日は確か保健室で寝てたと思う。
夕方に保健室から復帰して、疲れたから部屋に来るなりベット・イン。師匠は俺の部屋に来るとか言ってたからわかるが、国家代表生の方は何でいるんだろうか。
「……そういや、国家代表生も権限発動して好きなとこ行けるっつってたな」
んで、俺んとこ来るとか。……師匠のジョークだと思ってたんだが。
「……起きたか、大河」
「うおっ」
むくっ、と予備動作も目覚めのまどろみタイムもなく起き上がる師匠。
「し、師匠。服着てください」
何度か見たことがあるとはいえ、目に毒だ。……いや、目の保養なのか?
「……弥生月くん」
「うわっ!?」
突然、背後から声をかけられてビクッとなる。
……何だ、秋原さんか。
「……変態」
「誤解だ!?」
無表情で抑揚のない声で言われるとくる。
「まあ、そう責めるな。大河と私は裸の付き合いをした仲だ」
師匠はそう言って俺の肩に腕を回してくる。
「っ!」
豊満で柔らかな膨らみが腕に当たるが、それを気にしてると秋原さんに殺される!
「……変質者。どうされたい?」
「ど、どうされたいって?」
「刺殺。銃殺。絞殺。殴殺。どれがいい?」
殺される!
「どれも遠慮します!」
「……遠慮しなくていい。それとも、全部?」
「ごめんなさい秋原さん! 許してください!」
「……梨華って呼ぶならいい」
えっ? そんなんでいいんすか?
「……梨華」
やたら真面目な顔で秋ーー梨華を見つめる。
「っ! ……私も大河って呼ぶ」
ぎゅっ、と梨華は俺の真っ正面に回り、抱き着いてくる。
「ちょっ、梨華!?」
師匠にスタイルが劣るとはいえ、梨華は美少女だ。そんな梨華に抱き着かれれば、戸惑いも驚きもする。
「……いい?」
きゅっと抱き着きながらの上目遣い。……これには勝てない。というか、名前で呼ぶくらい別にいいが。
控えめだがしっかりと当たってる柔らかなモノにドギマギしてしまう。何とか離れてもらわないと。理性が……。
「あ、ああ。だから離れてくれないか? 師匠もひっぺがすし」
俺は顔が赤くなるのが自分でも分かって、そっぽを向いて頬を掻く。……梨華がかなり可愛いと思ったのは仕方がない。甘えられると弱いんだよ、俺。昔からなんだが。
「……うん」
梨華はいつもの無表情で俺から離れ、師匠を剥がすのも手伝ってくれる。
「……ふぅ」
俺は二重の意味でホッとする。
師匠と梨華に抱き着かれて理性が危うかったのが一つ。
そして、生理現象が起きなかったのがもう一つだ。
たまに起きない日もある。最近は女子ばっかでバレないようにするのも一苦労だ。特に梨華に。
今日は起きなかったらしい。……とはいうものの、これから毎日師匠やどっかの国の国家代表生が一緒だと、さすがに理性崩壊、なんてことになりかねない。
何か対策を考えなければ。
「……飯まではちょっとある」
それは兎も角。師匠は起きたからいいとして、この娘をどうしようか。転校する予定だったらしいし、起こして名前とか聞こっかな。
「梨華。この娘どうしようか?」
俺は俺のベッドで安らかにすやすやと寝ている代表生に目を向ける。
「……転校してくるから、起こして職員室に行かせた方がいい。でも、多分ご飯は食べさせる」
梨華が少し思案顔で答えた転校生だし、朝は顔見せない方がサプライズ感は上がるんだが、飯食うなってわけにもいかないしな。そんな感じだろう。
「……おい。起きろ、朝だぞ」
俺は優しく揺する。
「……うぅん」
少し艶かしいような声を上げて、丸くなるような姿勢から仰向けになる。
……俺としては目のやり場に困る仰向けだ。
煌めくようなサラサラの長い金髪に、長い睫毛。昨日眼をチェックしてたのを見たので、眼も金色だと知っている。
髪や眼の色から判断して、外人だろうか。同年代ではかなりボリュームのあるその胸が、胸元のボタンが外されて大胆に露出されていて、際どい。
思わず生唾を飲み込みそうになってしまった。
……飲み込まなかったのは、梨華と師匠の冷たい視線のおかげだと言える。
「……う?」
国家代表生がボーッとしながら目を開けた。まだ寝惚けてるようで、ぽやーっとしている。
「……あっ。限定抱き枕~」
だらしないへにゃへにゃな笑顔で嬉しそうに俺に抱き着く。
「っ!?」
俺は男子なら思わず目を引かれる件の胸を押し付けられて、パニックに陥りそうになる。
……陥らなかったのは、梨華と師匠の冷たい怒りの視線のおかげだと言える。
「……♪ 大河様~」
へにゃへにゃと笑ったまま、上機嫌に頬擦りしてくる。……俺の理性が危ない。
「……ちょっ、止め……」
俺は何とか離れようと肩を持って押すが、ぎゅーっと強く抱き着いていて、しかもなかなか力が強く離れない。
「……ふえ?」
そこで抱き枕じゃないと気付いたのか、頬擦りを止めて可愛らしく首を傾げる。
「……」
「……」
パチパチと瞬きを繰り返し、だんだんと目が覚めていく。顔がいくらかシャキッとしてきた。
「っ!? っ~~~~!!」
バッと勢いよく跳んで俺から離れる。その顔は耳まで真っ赤で、あわあわと慌てていた。
「……バカアアアアァァァァァァァァァァ!!!」
右手を突き出し、手の甲に砲身を出現させた。
「えっ? ちょっ、待って!」
そこに光が収束していき、
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」
レーザーが照射された。
俺はそれをまともにくらい、気絶とはいかないまでも黒焦げになった。
「……あぅ」
国家代表生は恥ずかしそうに蹲り、顔を覆った。




