第5話 守ろうとした結果
妹から電話が来たのは、夜だった。
「お兄ちゃん、ちょっと相談があるんだけど」
その声を聞いた瞬間、俺は嫌な予感がした。
この世界では、身近な人ほど巻き込まれる。
翌日、妹と会った。
彼女は会社で小さなミスをしたらしい。
「まだ大ごとじゃないよ。
でも、どうしたらいいか分からなくて」
俺は迷った。
ここで強く助言すれば、未来が変わるかもしれない。
黙っていれば、自然に収まるかもしれない。
――だが、これまでの経験で分かっている。
選択を変えても、結果は別の形で必ず起きる。
「無理するな。
ちゃんと休め」
俺はそう言った。
守ろうとした。
兄として、当たり前の行動だ。
妹は安心したように笑った。
その夜、俺のスマートフォンにメッセージが届く。
《近い人間を守ろうとすると、
別の代償が発生する》
嫌な胸騒ぎがした。
翌朝、会社に向かう途中で電話が鳴った。
妹が、職場で倒れたという。
原因は、過労と精神的ストレス。
命に別状はないが、入院が必要だった。
病室で眠る妹を見て、俺は理解した。
俺は守ろうとした。
だがその結果、犠牲は消えず、妹に集中した。
俺が何も言わなければ、
別の誰かが倒れていたかもしれない。
だが、妹は無事だったかもしれない。
もう分かる。
この世界では――
誰かを救うことは、
誰かに押し付けることと同じ意味を持つ。
選択とは、正しさの問題じゃない。
配分の問題だ。
病室を出たとき、
案内役の言葉が頭に浮かんだ。
――次の選択は、君自身に関わる。
俺は初めて理解した。
次は、
誰かではなく、
俺自身が代償を支払う番なのだと。
これで
何が起きたか
なぜ意味があるのか
主人公が何を理解したか
全部つながっている。




