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第2話 選択の実験

俺は確かめることにした。

この世界が本当に「選択できない場所」なのかを。


まずは小さなことからだ。


駅の自販機で、いつも買う缶コーヒーをやめた。

代わりに炭酸水を選ぶ。

味は違う。舌の感覚も違う。

だが会社に着く頃には、胸の奥に残る違和感はいつもと同じだった。


――まただ。


昼休み、同僚の佐藤に話しかけられる。

普段なら曖昧に流す雑談を、今日は意図的に拒絶した。

冷たい態度を取ったせいで、彼は不機嫌そうに席を立つ。


その日の夕方、佐藤は上司に叱責されていた。

理由は、俺が関わっていないはずのミスだ。


「関係ないだろ……」


そう思った瞬間、理解してしまった。

因果は移動するが、結果は消えない。


助ける人を変えても、

傷つく人が変わるだけだ。


帰り道、俺は線路沿いを歩いた。

以前、ここで飛び込み事故が起きたことを覚えている。

あの日、俺は現場に居合わせなかった。


今日はどうだ?


しばらく待ったが、何も起きない。

胸の奥で、嫌な予感だけが膨らむ。


その夜、ニュース速報が流れた。

別の駅で、人身事故。


場所が違う。

時間も少し違う。

だが――必ず起きる。


俺はソファに座り込み、頭を抱えた。


「じゃあ、俺は何なんだ……」


答えは出ない。

ただ一つ、はっきりしたことがある。


この世界では、

善悪も努力も、結果を左右しない。


選択とは、

運命が辿る道筋に貼られた

ただのラベルだ。


その夜、再び夢を見た。


螺旋の中心で、声が言う。


「次は、大きい選択だ」


目が覚めると、スマートフォンが震えていた。

知らない番号からの着信。


画面には、短い表示。


《明日、君が“選ぶ”日だ》


俺は通話ボタンを、

押すことも、切ることもできずにいた。


――ここから先は、

もう戻れない気がした。

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