八話 はじめての誘拐
「「「「「、、、、」」」」」
「ちょっとみんな反応してよ!」
なんなんだよ双六ゲームって。
「拉致監禁までまだ時間あるし、みんなで親睦を深めるゲームしましょ!」
「え、監禁はしないですよね?大丈夫ですよね?」
おいおい、完全にヤクザのやり口じゃねえかよ。
「うわぁ、ミミさんの双六かよぉ、、」
「、、、僕もあまりしたくないかな。」
「オレモ。」
「な、なんでよ!頑張って作ったお手製の双六なんだからみんなで楽しみましょうよ!」
ミミさんがちょっと泣きそうな顔をしている。
「ま、まあ俺と涼ははじめてですし、まだまだ拉致まで時間もありますからみなさんも是非やりましょうよ!」
パァーッっとミミさんの表情に光が戻った。
「そうよねトウヤ君!!ありがとー!!」
手を握られ上下にぶんぶん振られる。
「じゃあ準備するわね!」
ごそごそとミミさんが空間から双六ゲームを取り出した。
「ルイの刀もだけど、どっからそれ出してるんですか?」
「これはね、次元収納って言って冥昇の儀式の時にみんな授かるんだ。」
「ほえ〜、すげぇ便利っすね。」
俺も欲しいな。
「ささ、始めましょう!ルールは普通の双六と同じでサイコロを振って出た目だけ進んで、最初にゴールした人が勝ち!ちなみにマスに書いてあることは絶対だよ!もし無視したらマグナス兄ちゃんからお仕置きがあるから注意してね!私から時計周りに進んでいってね。」
いやマグナスさんからのお仕置きなんて笑えねー。
んーどれどれ、
「『好きな人を言う』『自分の秘密暴露』『今まででした1番悪いことを発表』『国歌斉唱』、、、、いや罰ゲーム重っ!」
「もー、トウヤ君ったら、さっさとやるわよ!それっ、、3ね、、えっと、『将来の夢』ね、、、私は将来お嫁さんになりたいわ!優しい人なら誰でもいいかな!一緒にお出かけしたり、ご飯食べたり、それからそれから、、」
うんうん。まじでどうでもいい。小学校の授業じゃあるまいし。
「そんなかんじかな!次は篤男ね!」
「俺かよ、そいっ、、、『好きな人を言う』。しゃーねーか!、、、、トウヤごめん!!俺、お前の母さん、いや、じ、順子さんが好きなんだ!」
「「「「え?」」」」
「きゃー素敵ーー!篤男頑張りなさいよ!」
「お、おう!」
「、、、なに人の母さん狙ってんだよ!!」
「すまん!一目惚れしちまった。料理も美味かったしよぉ。、、はぁ、ため息が出るほどいい女だ。うん。」
よし出禁だ。もし次ループしたらこいつだけは絶対あがらせない。
「次は僕だね。、、、『秘密暴露』か、、秘密ってほどでもないんだけど、みんな勘違いしてるっぽいから。僕、実は女なんだよね。」
「、、、、、は????、、、、はぁーーーーーー!!る、ルイそれほんとか!?」
「うん、だって喉仏ないでしょ?僕」
「ほん、とだ、、、すまん!今までいろいろと!手握っちゃったし、髪触ったし、」
「髪触られた記憶はないのだけど、、大丈夫だよ。」
えげつない秘密を知ってしまった、、、
そんなこんなで、双六ゲームが続いた。ざっくり説明すると、ウォルフさんの秘密は猫カフェに行くこと、貯金額は、、これは俺も内緒にしておこう。てか発表させるなよそんなこと。篤男さんはその後国歌斉唱をさせられ、母が俺の部屋までやってきて応援していた。鼻の下を伸ばしていたことには本当にキレそうになった。ルイは特技披露でけん玉をやった。まておちゃんす?とやらを披露してくれ、何が何だか分からなかったがすごいことは分かった、何でもできるんだな。涼のは酷かった。腕立て300回というシンプルながらも1番つらそうな内容だった。マグナスさんが途中で根を上げた涼に頭突きをして一瞬気を失っていた。ミミさんは右隣の人と恋人繋ぎを10秒するってので涼としていた。涼の口から魂が抜け出ていたきもするが、、、結局ミミさんが一位でゴールしこの地獄の双六は幕を閉じた。もう2度とするかよ。
俺はというと完全にパシリだった。双六のマスに2つだけ存在するパシリマスをどちらも踏み2回もコンビニまで買い物にいかされた。おかげでお金はすっからかんだ。
「みんな楽しかったね!」
あんただけでしょ。
「は、はい。楽しかった、です。」
今の時間は23時50分。もうそろそろ潜入だ。
「親睦は深まったかい?これは、、、、、なかなかすごい内容だったな。」
奈織さんが戻ってきた。みんなぐったりしていて誰も返事をしない。
「もうそろそろ典子宅に向かうんだ、各々準備をしておけよ。」
「、、、あの、奈織さんどうやって潜入するんですか?」
「ピッキングだよ。私は知力担当だからね、罠の解除もできるんだ。」
「はあ。」
罠って、、玄関の鍵が罠って、、、もう冥斬士ってでかい犯罪組織なんじゃないか?
「さ、時間だ行くぞ。」
こっそり階段をおりる。母さんは、、寝てる。
俺たちは典子の家に向かった。0時ぴったりに典子の家に着いた。
「よし、あいたぞ憧也君説得するんだろ?早めに頼むぞ。」
「あ、はい。」
(失礼しまーす。)
典子の部屋は2階にあるときいた。ゆっくりと階段をあがる。ギギギィィー。階段が軋む。
(ここか、、)
ドアを開けると、典子がベッドで寝静まっていた。鼓動が高鳴る。おちつけ、寝込みを襲うわけじゃないんだ話し合いをちょっとするだけ。ふぅー。
どうやって起こそう、、、。肩でも叩くか。
トントンッ
「、、、う、、、うん?」
目が半分開き、目が合う。
「、、、、、きゃーー!!、んーんー」
慌てて口を塞ぐ。
「典子、俺だ!」
って俺は誰なんだよ。いつもすれ違うだけじゃないか。
「知らないかもだけど、内貴憧也だ。大事な話があるからきたんだけど、いいか?、、、手離すけど叫ばないでくれよ?」
うんうんと頷く。おそるおそる手を離す。
「な、内貴君だよね?いきなりくるからびっくりしたよー。どうやって入ったの?」
目が泳いでいる。挙動がおかしい。まあ急に人がきたらそうなるか。
「細かい話は後ではなすよ。そんなことより、今から俺と一緒にうちに来てくれないか。ちょっと見守っておきたくて。」
典子が不審な目で見て来る。
「、、、このままだと典子が危ないんだ、命の危険がある。ここはどうか俺に従ってくれ!頼む!!」
土下座をしてお願いする。
「、、、いいよ、でも明日にはうちにかえしてね。」
「ほんとか!?じゃあ、今すぐ玄関まで来てくれ!」
土下座というのは本当に素晴らしい。自分の言い分がこうもあっさり通るとは。今後も多用してくか。
2人で階段を降りると黒スーツの集団が後ろから街頭で照らされて待っていた。この光景はちょっと映えるな。
「説得がうまくいったみたいだな。典子よ、話は憧也君の家でするから今はついてきてくれ。」
「、、はい。」
俺たちは再び俺の家に向かった。どんだけうち好きなんだよ。