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三話 対話

「くぅぅ、痛ってぇーなにすんだよ!」

「お前がぶっとばすとか言うからだよ。それでお前何者なんだ。」

「へへんっ!よくぞ聞いたてくれたな、俺は涼!お前のしんゆっ」

 手を腰にあて、自慢げに語りはじめた。、、、再び平手打ちをかます。なぜか言い方に腹が立った。決して児童虐待が好きなキュートアグレッション持ちではない。

「そこまでは聞いたよ」

「お、お前、しばらく見ないうちに暴力的になったな。」

「それとケンタってのはやめろ、俺はトウヤだ」

「わ、わかったよ、とにかく俺は小4の夏に事故で死んだけど、訳あって復活したんだ!」

「小4の夏、、?」

「お前も事故に巻き込まれたのを見たんだけど、、うん、大丈夫そうだな!」

「、、確かに俺も事故にあった、、らしい。そんでその時に記憶をなくしたって母さんから聞いたよ」

「だから覚えてなかったのか!そうだちょっとまってな、、、ほらこれ!」

 と言って涼はテープ式の財布から一枚の写真を見せた。そこには俺と涼が楽しそうに遊んでるのが写っていた。、、こいつの言ってることは間違ってなさそうだな。ん?

「ここに写ってるもう1人の女は誰だ?」

「綾香だよ。覚えてないのか?」

 さっぱり覚えてない。

「すまん思い出せないとりあえずさっきはブッて悪かった。それでお前はなんでここにきた」

「ああ、こっからが本題だ。、、ケンタ、、じゃない、トウヤお前ループしたろ?」

「なっ、、!」

「上から見てたんだよ」

「上から?」

「う〜ん、、なあ死んだらどうなると思う?」

「どうって、、、なにもなくなるんじゃないのか?」

「ちょっと違う。魂が肉体から分離されるんだ。魂だけは残るってこと。それと魂ってのは炎みたいなプカプカ浮かぶやつじゃない。普通に人の形なんだよ。魂はそこらじゅうに漂ってるけど生きてる人には見えない。、、ほら、そこにも爺さんの魂があるじゃねえか」

 涼は俺の奥の椅子を指差した。

「げっ、、、!」

そこにはにっこりと微笑んだちょっと透明の爺さんが椅子に座りながら手を振ってた。

「生きてる人には見えないんじゃないのかよ」

「トウヤはな、ループ前に1度死んでるだろ?たぶんそのせいで半分死んだ状態になってるんだよ」

 にわかに信じ難い話だが、、

 とりあえず爺さんに手を振っておくか。机の上の俺のミンティアに爺さんが手を伸ばす。さわれるのか?おおっ、、!爺さんが触ったらミンティアも薄くなって、、って複製されたのか!?すげぇ!とりあえず複製されたミンティアは薄ミンティアとでも呼ぶことにする。爺さんは薄ミンティアから1粒取り出し食いはじめた。

「てことは普通の人に涼は見えないってことか?」

「ああ、そういうことだ。俺のことが見えるのは魂同士か悪魔かあるいは特殊な訓練を受けてるやつだけだ」

 ん?小指で耳をほじる。

「いま悪魔って聞こえたんだけど」

「うん、悪魔」

「もしかしてだけど俺を殺したのって」

「悪魔だ」

 は?

「、、、え、閻魔様ごめんなさい!前世で何かしたのなら謝りますのでどうかご慈悲をぉぉぉ」

涼が大きくため息をつく。

「どうせ殺されるんだ。謝るだけ無駄無駄」

「ひどい!!なんでそんなこと言うんだよ!もしかしたら許してくれるかもしれないだろ」

 涼の胸ぐらを掴み前後に揺らしながらそう言った。

「ぐすんっ、、ぐすんっ、、はぁ、どっちみち死ぬのかよ。今から死ぬやつの気持ちわかるか?」

「今回は俺もついてるんだ何かあったら助けてやるって」

ふんっこんなチビに俺の命を託せられっかよ。ああ憂鬱だ。

 、、、、でもこのままうじうじしてたってなんも始まらねぇよな。

「ふぅ、、、、。ところでお前あの爺さんよりくっきりしてないか?」

 視界の端で何やらとてつもないスピードで前後運動している物体が映る。爺さんが激辛ミンティアに苦しんでいた。おいおい爺さん死なないよな?そもそも人って2回も死ねるのか?

「俺はちょっと特別なんだよ。まあそれはおいおい話す」

「お前を信用していいのか?後ろからこうズブっといこうしてないよな?」

「俺はお前を助けにきたんだ。そんなことするわけない」

 不思議とこいつと喋っていると安心する。八方塞がりだし付き合ってみるか。

「で、今から俺はどうすればいいんだ?」

「それなんだけどな、トウヤを殺したのはさっき言った悪魔の仕業だろう。悪魔の詳細はおいおい話すよ。とにかく一旦学校行って典子と話してこいよ。今日はまだ死なないだろうしな!あと他に怪しいやつがいないかも探そう」

 はぁ、悪魔と戦うのかぁ、、、、、。はぁ、、、はあ?

「てことは典子は悪魔ってことか?」

「悪魔は人に取り憑くんだ。確かにトウヤを殺したのは典子だけど、本質的には悪魔が操ってる。多分今夜にでも取り憑くんだろ」

 あれが悪魔のせいと考えればあの人間離れした芸当にも合点がいく

「とりあえず学校行くか、お前もくるのか?」

「当たり前だ。俺は一般人には見えないし、トウヤになにかあったら助けてやれるしな」

 あっ、大事なことを思い出した

「ループする前に、逃げろって言ってきたのお前か?」

「なんだそれ。そんなことしてないぞ」

 じゃあ誰なんだ?助けてくれようとしたんだし味方であることに変わりはないだろうからまあいっか

「よし、行くか」

「おう!」

 まだ涼を信じきったわけではない、全てに警戒するべきだ。もう死ぬわけにはいかない。一度死んで俺の肉体の半分死んだことになってるらしい。次死ねば生きてる半分のうちのさらに半分が死ぬ。何回も繰り返せば死んだと扱われるだろう。その時は、、、どうなるか分からない。なにがなんでも生きなくては。


 *僕は冥斬士の家系に生まれた。小さい頃から悪魔を殺すことを叩き込まれた。友達もつくらずひたすら道場にこもり稽古をつけられた。父はもう他界した。稽古稽古で親子の会話はまったくといっていいほどなかった。そんな僕が実際に悪魔を見たのは確か小4の夏だった。悪魔は人に取り憑き、そして体を蝕み脳を侵食し自分のものにする。あの日はトラックの運転手に取り憑いていた。低級のザコだった。しかし気づいたときには犠牲者がでていて3人が事故に巻き込まれていた。僕の唯一の失態はそれだ。

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