重度のブラコンの妹達の守り(独占)が強すぎて、幼馴染でさえ簡単に俺には近づけない 続
一年以上前に書いた作品の続編です。
お時間があればこの作品の一つ前のものから読んでもらえるとより楽しめると思います。
俺ー才条悠夏の朝は妹に起こされるこよから始まる。
「お兄様。お兄様、朝ですよ起きて下さい。」
軽く俺の肩を揺すりながら声をかけてくるのは一つ下の妹である才条雪奈。
綺麗な銀髪を腰のあたりまで伸ばし、とても発育のいい体を持つ我が家の才女だ。
成績優秀、容姿端麗、運動神経も抜群に良く、人望も厚い。
だが、一つ決定的な欠点がある。それはー
「お兄様。早く起きないと、キス、しちゃいますよ。舌を入れるふかぁいのを」
「‥‥‥‥おはよう、ユキ」
「はい、おはようございますお兄様。可愛い寝顔を今日も堪能させていただきました。でも、もう少し寝ていてくれたらユキのキスで起こしてあげましたのに」
重度のブラコンであることだ。
ユキの愛情は家族愛を超えてすでに異性に向けるものになっている。
でも、正直悪い気はしないので昔から放置したままだ。
え?何でかって?そこら辺のクソみたいな男にユキが引っかかる心配がないからだよ。
「お兄様、朝ごはんの支度ができていますから着替えたら降りてきて下さいね」
「わかった。いつもありがとな」
「お兄様に私の手料理を食べてもらいたいだけですから。感謝なんていりませんよ」
そう言ってユキは先に下に降りて行った。
俺も制服に着替えて下の階にあるリビングに向かう。
扉を開けるとこちらに気がついた二人が抱きついてきた。
「「おはよう!お兄!」」
「おはよう。ハル、アキ」
その二人も俺の妹だ。
俺の三つ下の双子の妹達。春奈と秋奈だ。
二人ともユキと同じ綺麗な銀髪を肩のあたりまで伸ばしており、前髪をヘアピンで止めている。
その見た目は全く見分けがつかないレベルでそっくりであり、家族以外では見分けることができない。
そしてー
「お兄、お兄」
「おはようのチューしよ?」
「「ちゅー‥‥‥‥」
ユキと同じレベルのブラコンである。
妹全員が重度のブラコンであるのでこんな感じの出来事は毎日である。
「春奈、秋奈。お兄様を困らせたらいけません‥‥‥よっ」
「「ぐえっ」」
ユキが二人の襟を掴んで思いっきり後ろに引っ張った。
そのせいで二人から実に苦しそうな声が漏れた。
「何すんの!?」
「私達お兄と話してたんだけど!?」
「お兄様が困っていましたよ。それにお兄様のために作った朝ごはんが冷めてしまうでしょう?」
「でも、自分だってお兄を起こす時に同じことしてるじゃん!」
「そうだよ!何で私たちはダメでお姉はいいの!?」
「「ねえっ!」」
二人が至極真っ当なことをユキに聞いた。
ここで確認しておく。ユキはブラコンではあるが頭はいいのだ。なのでほとんどの質問には根拠のある答えを返し、反論の余地をなくす。
でも、こうした俺がらみの質問となるとー
「【長女権限】を持っているからに決まっているでしょう」
反論し放題な答えをすることが多々ある。
だがー
「「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」
「く、悔しいっ‥‥‥」
「これが、生まれた順番の差‥‥‥っ!」
この通り、我が家では反論ができなくなる。
いつの間にか妹達の間でルールが決まっていたんだよ。
【長女権限】なんて初めて聞いた日にはものすごく驚いたものだ。
「むふーっ」
ユキは妹達を黙らせることができ、尚且つマウントを取れて嬉しいらしい。
とても満足そうな顔でドヤってる。
可愛い。
そんな可愛いユキの顔を脳内フォルダに保存した俺はハルとアキに声をかける。
「ハル、アキ」
「「うぅ〜。お兄ぃ〜」」
「ほら、とりあえず朝ごはんを食べよう。遅刻するぞ。」
「「うん‥‥‥‥」」
若干凹んでるな。
しょうがない‥‥‥‥‥。
「ハル、アキ。今日家を出る時にほっぺに行ってらっしゃいのキスしてあげるよ」
「「ほんとっ!?」」
「ずるいっ!ハルとアキばかりずるいですっ!お兄様、私にも!私にも行ってらっしゃいのキスを!」
「ダメ」
「な、なぜですかっ!?」
ユキの要求に即答したら、ユキはこの世の終わりのような表情を浮かべて詰め寄ってきた。
「いや、流石にハルとアキが可哀想すぎるから」
「「ねえねえ、今どんな気持ち?」」
「妹に【長女権限】使って」
「結果的にお兄にキスしてもらえなくて」
「「今どんな気持ち?プークスクスッ」」
ハルとアキが煽って、それに激怒したユキが二人を追いかけ回したりで結局遅刻ギリギリになるような時間に家を出る羽目になった。
今回は俺が原因だしちょっとは反省しようと思う。うん。
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「はあ、疲れた‥‥‥‥」
あの後四人揃って家を出て全力で走ってきた。
家から一切止まることなく走ってきたから足がパンパンだし、じっとりと汗をかいてしまって服が肌に張り付くので気持ち悪い。
今の季節が夏というのも最悪だ。
「汗だくじゃねえか。どうしたよ。悠夏が遅刻ギリギリなんて珍しいな」
前の席に座る吉永康介が話しかけてきた。
「妹達がな‥‥‥‥」
「あ〜‥‥‥‥」
俺の妹達がブラコンであることを知っている人間は数多くいるが、そのほとんどが家族愛の範疇で収まると思っている。
だが康介は妹達のブラコンが家族愛の範疇を超えていると知っている。
なので短い言葉で大体のことを察してくれるので大変助かっている。
「まあ、とにかく頑張れ」
「少しくらい助けてくれてもいいだろ‥‥‥‥」
「お前、二年前を忘れたとは言わせないぞ?お前達の問題に口出しした俺がどうなったか知ってるだろ?なあ、おい。忘れたとは言わせないぞ?」
‥‥‥‥‥‥‥。
「‥‥‥‥何のことだか」
「悠夏、テメェ!」
康介が切れたタイミングで担任が入ってきた。
「おーい吉永、HR始めるから座れー」
「う、うっす」
「担任に注意されてて草」
「‥‥‥あとで覚えとけよ、お前」
実に憎しみのこもった目で睨まれた。
あとで何されるんだろう、俺。
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四限目の授業がチャイムと同時に終わった。
今から約一時間は昼休みだ。
いつも通り康介と他にも何人かの友人と昼食を取るために教室を出ようとしたところで声をかけられた。
「あ、いた。ユウ!」
「ん?ああ、美香か」
声をかけてきたのは幼馴染の霧谷美香だった。
美香は少し明るめの茶髪をセミロングと言われる長さまで伸ばしており、若干吊り目がちながらも可愛いの割合が多い顔立ちをしている。ユキやハル、アキに負けず劣らずな美少女だ。
発育についてはユキより少し小さいくらいなのだが、時々ユキにそれを煽られて喧嘩している。
美香とは幼稚園の時からの付き合いで家が近いということもありいまだに関係が続いている。
「何か用か?」
「ユウは今からお昼?」
「そうだけど‥‥‥」
そう答えると美香は一瞬俺の手元を見た。
「なら、よかったらこれ‥‥‥」
そう言って美香は一つの包みを渡してきた。
受け取ると何となく包みの中身に予想がついた。
「これ弁当?」
「そう。私が作ったの。‥‥‥別に、要らなければ返してくれればいいから」
「そんなことしないよ。ありがとな。めっちゃ嬉しい」
これまでも何度か受け取ったことがあるのだが、美香の作る弁当は実に俺好みの味付けで量もちょうどいいので密かな楽しみになっている。
「っ‥‥‥!笑いかけるのは反則っ‥‥‥‥!」
「あー、あー。悠夏、お前またそういうことを」
「本当だよ。お前がそうやって笑うたび周りで災害が起きるんだぞ」
「そろそろ自覚しろって」
美香が顔を真っ赤にして目線を逸らすと同時に康介や他の友人がそんなことを言ってきた。
その言葉を受け、周りを見渡すとー
やってしまった‥‥‥‥‥‥。
周りではそこそこの数の女子が顔を赤くしていたり、その場に座り込んでしまっている。
妹であるユキやアキ、ハルの顔が整っているのなら兄である俺の顔が整っているのは当たり前なわけで。
さらに自覚はないのだが俺は女子からしたらとても理想的な性格をしているらしく、まあモテる。この光景がそれを表している。
美香の言葉から察するにただ笑っただけなんだろうけど‥‥‥‥‥もう少し気をつけよう。
「美香、弁当ありがとな。明日にでも洗って返すよ」
「う、うん。ね、ねえ、ユウ今日の放課後って何か予定ある?なければ付き合って欲しいところが‥‥‥」
「それは許せませんね。美香姉さん」
「きゃあっ!?」
美香が俺を誘おうとしているタイミングで俺の後ろからニュッとユキが現れた。
美香はそれに驚いたのか可愛らしい悲鳴をあげた。
「美香姉さん、お弁当については見逃してあげますがそのお誘いはダメですよ。お兄様は私と帰るんですから」
「何よ。帰るだけなら私と遊びに行ってもいいでしょう?」
「な、なんて酷いことをっ‥‥‥。私とお兄様の数少ない二人きりの時間を邪魔しようなんて‥‥‥‥この悪女!」
ユキが大袈裟にふらついたような演技をして俺にもたれかかってきた。
俺はそれを受け止める。
そしてその光景を見ていた美香は‥‥‥‥‥‥‥‥‥
目が怖い‥‥‥‥‥お願いだからその目でこっちを見ないでほしい‥‥‥‥‥‥。
「あら〜、それを言うのなら私のほうがユウと二人きりの時間が短いと思うんだけど?このブラコンッ!」
「お褒めに預かり光栄です」
「くっ、そうだった!コイツにはブラコンは褒め言葉だったっ‥‥‥‥」
多分美香は悪口のつもりでブラコンって言ったんだろうけど、ユキからしたら褒め言葉なんだよな。
俺が何とも言えない目でその光景を見ていると康介達が声をかけてきた。
「悠夏〜、俺たちもうメシ食いに行くけどどうする?」
この場をおさめてから来るか、このままにして来るかと言うことだろう。
二人はまだ言い合いを続けてるし、このままにしておくか。
「ああ。今行く」
「え!?お兄様!?」
「ユウ!?」
まさか放置されるとは思ってなかったのか二人が後からついてきた。
こんな感じで昼休みは終始賑やかだった。
ちなみにだが、ユキと美香が俺に『あ〜ん』をしようとして盛大に事故っていた。
これはまたの機会に話そう。
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「よーし、HR終わり。部活あるやつは部活。部活ないやつは気をつけて帰れよー」
担任の言葉を合図にしてみんな席を立って教室を出ていく。
俺もカバンを持って席を立つと、一年生の教室がある一階に向かう。
一年生もすでにHRが終わっているらしく廊下はそこそこ賑やかだった。
「えっ!?あれ、才条先輩じゃない!?」
「本当だ!かっこいい〜」
「一年生の教室に何か用かな?」
「多分、雪奈ちゃんのお迎えだよ」
「あ〜、なるほど」
この顔のおかげで一年生の間でも認知されているのでそれなりに自分の話題が聞こえてくる。
目的の教室に着いたのでユキを探して声をかける。
「ユキ。帰るよ」
「あ、お兄様!」
ユキは俺の姿を見ると花が咲いたような笑顔を浮かべて駆け寄ってきた。
可愛い。脳内フォルダに保存。
「いつもありがとうございます」
「別にいいよこれくらい。じゃ、帰ろうか」
ユキと今晩のメニューについて話しながら歩いていると、校門のあたりが騒がしいことに気がついた。
「ん?校門のところに人が集まっているな」
「何かあったのでしょうか?」
不思議に思いつつ近づいていくと校門が騒がしい原因がわかった。
その原因は二人の美少女だ。
ユキに似た銀髪を持っており、顔がそっくりなー
「ハルとアキじゃん」
「「お兄!」」
俺が二人の名前を呼ぶと二人は笑顔を浮かべて抱きついてきた。
「どうしたんだ?うちの高校まで来て」
「んーとね」
「えーとね」
「「お兄に会いたくなったから!」」
お兄ちゃんの心にクリティカルヒット!
お兄ちゃん、ニッコリ。
「そうか。じゃあ、一緒に帰るか」
「「うん!」」
「やってくれましたね‥‥‥‥‥」
一名、ものすごく悔しそうにしている子がいるが今のお兄ちゃんは目の前の双子に夢中です。
そんなわけで四人仲良く帰路についた。
まあ、こんな毎日が俺の日常である
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