猫ならざるもの
僕の住む町では、「町外れの館に足を踏み入れると異形の姿になってしまうぞ」という言い伝えがある
だけどみんなは、その話を信じてはいない、様々な人たちが度胸試しや肝試しで入っては行くものの誰一人異形の姿になることもなくただの怪談として話題に上がるだけだった
今日は、祝日。大人たちも家にいてみんながみんなぼくにかまってくる。そんなことに嫌気がさしてどこか遠くへ行きたくなった。
そこでぼくは、町外れの館に立ち寄ってみた。みんなには、何も起きない館でもぼくにだけ起きる異変があるかもしれないから……
館の入り口には、珍しくドアがあった。この辺では、なかなか見かけないのに。僕は、おそるおそる館のドアに手をかける。ここに来るまでの間にどうやって館の中に入ろうと考えては、いたがいざ入るとなると不安になる。様子を見るためドアの隙間から中を覗いて見るとそこには、誰もいないはずの館のはずが、メイド服を着た人間がいた。ただその人たちは、頭に僕の友達と似たような耳や尻尾がある。僕は、見たことがない人間に目を奪われている内に背後から
「もしかして君は、久しぶりのお客さんかな?」
「!?」
「ごめんね。びっくりしちゃった?でも私の家を覗き見してたんだから悪いのは、そっちだよね。怒らないであげるからその代わりに私といっしょにお茶でも飲んでいってよ」僕は、お姉さんに言われるがまま館の中に連れ込まれてしまった。
「どう?美味しいでしょ。私のメイドが入れてくれた紅茶。お菓子もメイドの手作りなんだよ」
館を覗いていたぼくが言うのもなんだがこのお姉さんは、あやしいけど嫌な気配は、しない。急な出来事には、驚いたけどこのお姉さんは、みたことがない。ぼくは、町にいる人の顔は、全員覚えていたつもりだったのに
「ねぇ君、もしかしてこの館について言われている噂を聞いてやってきたの?」
「……」
「ああ、別に責めて言っている訳じゃないよ。ただこの噂を聞いてここにきていると言うことは、異形の姿になりたい気持ちでもあるのかなって」
お姉さんがぼくに尋ねた瞬間、ぼくは、心がざわついてしまった。なぜかは、わからないけどこの時好奇心と恐怖心が同時にやってきた。もしかしたらこのお姉さんは……
「どうしたの?うとうとしてきたみたいだけど眠たくなっちゃった?」
「…!!」
「君は、少しの嫌気で家から離れたい気持ちと少しの好奇心でここに来たけど、取り返しのつかないことになるんだよ」
ぼくは、こんな状況になっても少しの好奇心は、消えないままだ。お姉さんに恐怖心は、あるけどただ、ぼくは、こんなに感情が動くことが初めてな上に自分が変われるかもしてないという、嬉しさがある
「こんな状況なのにすごく楽しそうだね。せっかく出し君がどうなるかは、君の素直な心に決めてもらうよ」
「私が君に何者かを問おう。その時君が想像した物に変えてあげる」
お姉さんは、そういってぼくの額に手を当てぼくに問う。
「君は、何者なんだ?」
その瞬間ぼくは、意識を失い、館にいたはずのなのに家のベッドで横たわっていた。突然のことで驚いたが冷静になり、自分の姿確認してみると人間だった。
「お姉さんに問われた時になりたい姿じゃなく素直に人間って答えたのがわるかったのかな?」
しばらくして自分は、ふと気になりもう一度館に立ち入ったがそこには、誰の気配もなく、お姉さんの姿もなかった。ただ違和感がある。前に来たときより館が小さくなっている。館のことをみんなに聞いても小さくなったのは、気のせいだといってくる。館に立ちよったあの日をきっかけにみんなに変わったね。といわれるがじぶんでは、よくわからないままだった。
お姉さんの顔は、よく覚えてないけど一つ覚えているのは、猫のような姿だった。