参考資料 混沌災害並びに極島史概説
世界衝突。
それは、本来はお互い交わることのない別次元の世界と世界が、衝突してしまった事件である。
科学が発達した世界シガンと魔法を扱う世界エーイロスを筆頭とした、大小様々な世界が衝突したその事件は、多数の異常な災害を引き起こした。
例えば異なる世界の地形や生き物が奇妙な融合をして狂い、地殻変動や崩壊、あるいは怪物化などの事態を引き起こした。
例えば情報ネットワークは歪み、本来は繋がるはずのない人やあるいは邪神の脳などと脈絡なく繋がった。
例えば今まで使用していた大地を豊かにする魔法は壊れ、毒の雨を作り出して逆に土を腐らせてしまった。
こうして世界の法則が狂ったことによる被害は甚大で、人的被害だけでも億を優に越える人々が亡くなってしまった。
事態を重く見た各世界の大国は互いに連携して、異世界連盟という名の同盟を作り合同調査を開始する。
その結果、混沌災害の中心は、現在、極島と呼ばれるこの島であることを突き止めた異世界連盟は、混沌災害の根本原因を調査しそれを解決するために、極島へ連合軍を派遣することとなった。
その連合軍の名は調査軍、何もかもが異なる世界同士が協力して生まれたその軍は、規模及び技術、質において当時の最高峰であり、まさに世界の希望であった。そんな彼らなら混沌災害を解決し世界を元の姿に戻してくれる、そう世界、種族、身分を越えて誰もが信じた。
しかし、大敗した。
調査軍は壊滅に近い打撃を受け、世界はさらなる混乱に包まれることとなる。
調査軍の失敗理由は様々挙げられる。
・元よりそれぞれ世界や国々で思惑の異なる烏合の衆であったこと
・混沌災害による人的、経済的被害が大きすぎて大規模な軍を維持するのが難しかったこと。
・混沌災害によって以前と異なる法則に世界が支配された結果、科学にせよ魔法にせよ大きな技術後退が起こっていたこと。
・極島の環境が各国が被った異常な混沌災害を更に酷くした、魑魅魍魎が跋扈する魔界であったこと。
これらの理由から失敗した調査軍は、それでも数度に渡り新たに組織され派遣され続けたが、はかばかしい成果は得られなかった。逆に異世界連盟及び調査軍の内部対立と腐敗を進行させ、極島は中立地帯という名の各国が覇権と利益を貪る魔都となってしまった。
そして混沌災害発生から数十年経った現在、一つとなってしまった世界は、なんとか秩序を取り戻し、再び破滅するまでゆっくり時を回している。
それは、この混沌の中心である極島も同じで……。