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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

作者: ひじき

桜の木の下には死体が埋まっている。このあまりにも有名な一文は、元ネタは梶井基次郎の小説だという。普段見なれたもの、綺麗な綺麗な桜のもとには、普段見ない、グロテスクな死体が埋まっているというのだ。この綺麗な対比がこの文章をここまで有名にした理由であるのだろう。


私の場合はどうにも事情が違うようだ。まぁ、私自身の見た目が綺麗と言うよりグロテスク、グロテスクなものの下にグロテスクなものが埋まっていても誰も気にしないということなのだろうか。


私が自身の立っている地面に何かが埋まっていることに気がついたのは、幼稚園の頃だったか。幼稚園のころ、まだ可愛らしい私が砂遊びをしていたら、それは姿を現したのだった。

泣きだした私のもとに、保育園の先生、すみれ先生が来てくれたが、砂場には何も無かったそうだ。そらそうだ、私はほかの先生に連れられて移動していたのだから。


その時以来、私は自らが立つ地面というものを全く信用することが出来なくなった。なんせ、そこには常にあれが埋まっているのだから!


それでも小学生の頃は建物の2階以上にいれば安心していた。でも違った。それは、どうやって埋まっているのかは分からないが、2階にいようが3階にいようが、私の丁度真下をつけてきている。

今となっては、私は落ち着いて居られる場所というものは消えうせた。どうにかして、あれを取り去ろうとする試みは、中学の頃にやり尽くした。今の私は、地面の中のあれに翻弄され尽くしたただの人形である。


なぜこうなったのか。誰の仕業なのか。どうやったのか。考えてもしょうがなかった。

そんなことを考えるのは、目の前の問題が解決してからだと思った。しかし、私にはもう解決できる問題とは思えなかった。


しかし、この悩みと比べたら、世の中のほかの悩みなんて矮小なことか。大体の悩みは、その原因を取り除くことで解決する。それは、その原因が人であろうが同じことである。原因を取り除いてしまえば良い。


私は今、1本の桜の根元にいる。右手には赤く濡れたナイフ、左手には何か重たいものが入ったゴミ袋を持って。


私のルーティンワークである。原因を除いたら、過程で出たゴミをゴミ袋につめて桜の木の下に持って行く。そして、ゴミ袋をそこに捨てていくのだ。


この死体が、桜の木の下に行くことを願って。

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