今、農業生産の現場で起きていること
肥料が大高騰しますから、家庭菜園などされる方は早めにお買い上げて下さい。
肥料の価格改定は毎年6月と11月の2回行われます。これは全農が毎年行っているもので、とは言え、通年であれば、6月に値上げがあれば11月はほぼ上げないという形で、実質は年一回の値上げないし、値下げを決めるものなんですね。
しかし、昨年から今年にかけて、肥料(化成ベース)の値上げは昨年の10月から今年の2月にかけて毎月上がり続け、そして、この6月でも上がることが決まっています。
高度化成(組成14-14-14)は10年ほど前は1200円前後でした。昨年の春はおよそ1500円ほど、そして今年の春は2200円、6月の値上げで遂に3000円台を大きく突破する見込みです。
農業に使われる化成ベースの肥料価格が昨年から2倍、ほんの10年で3倍近く上がることになります。
更にご存知の方も多いかと思いますが、農業用に使われていた尿素は現状はエネルギー関連に使われていること、中国の輸出規制がかけられていることから、すでに原料が枯渇して生産ができなくなっています。
農業用に使われる泥炭、水草の堆積物であるピートモスもエネルギー関連で使われていること、資源枯渇が起こり初めていることで昨年から不足気味で値上り傾向でしたが、ウクライナ事変によるロシアの制裁措置により、サハリンピートモスの供給が無くなったため、ほぼカナダピート一択の状態が起きています。
今まで中国から輸入していたリン酸やロシアから中国を経由して輸入していたカリを遥かアフリカ大陸まで原料メーカーは調達しにいっています。
アフリカ西海岸まで調達を余儀なくされている、それらの便はアフリカ大陸を西側から南下、大きく迂回してインド洋に出ることを余儀なくされています。
農業生産の転換点として2015年があげられます。
その年、秋田県の大手肥料メーカー太平物産の偽装表示が発覚、以降、無農薬無肥料栽培の認定制度であるJASの基準が法改正され、それまで以上に厳しくなり、JAS適合肥料の生産からメーカーが手をひき、生産者も減りました。
コロナ禍で米価は3年連続で下がり続け、今年も下がる見込みです。
太平物産の件から上がり続ける有機肥料に加えて化成ベースの肥料の高騰、ビニール、鉄、アルミ、銅と農業に必要な資材が軒並み上がり、農薬も生産拠点が中国や東南アジアのために高騰。
ですが、市場売価には反映されることはなく、それに対する個別保障も無いのが実情です。
米の作付け面積は如実に減っていますし、商業農家、法人農家が作付け面積の縮小をしている状態です。
兼業農家の多くが出荷するほどの作付けを止めており、食品生産が完全に赤字、収益を出すことが出来なくなっています。
農業を護るために、緊急の措置で個別保障を行うなどをしていかなければ、早晩、日本の農業は壊滅するかもしれません。