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魔力

身体の改善を目指して早3ヶ月が経った。もう、今では息切れもしないし食欲も落ちない。完璧に一般人並みの体力を手に入れた!!

これからは、ランニングや腕の筋力を上げる為に軽く練習用の剣を素振りしよう。やり過ぎると、メイドsと母さんが心配するので、程々にしないとな。


そんなある日、父親であるフィンラル・エレノール伯爵が昼の時間に帰ってきた。

これまても、夜遅くに帰って来ていたみたいだが、俺は爆睡中だった為にゆっくりと話すのは今回が初めてだ。

仕事のし過ぎだと、王様に言われてしまったらしく、帰って来たんだそうだ。



「おぉ、ソル!最近は、調子が良いそうだな。しかし、余り頑張り過ぎてまた身体を壊したら大変だ。運動も、程々にな」


玄関で出迎えたフィンラルに、頭を撫でられながら釘を刺されてしまった。


「おかえりなさい父様。今回は、いつまでお休みになられるのですか?お時間があったら聞きたい事があるのですが」


「聞きたい事?ソルが質問とは珍しいな。時間なら十分にあるぞ。なんせ、明日一日休みだからな!!書類を片付けたら、タリアをやるからその時でいいか?」


「はい!大丈夫です!!」


そうかと、また頭を撫でてからフィンラルは自室に向かって行った。

庭で素振りをしていると、タリアが呼びに来た。どうやら、フィンラルの書類仕事が終わったみたいだ。


庭から、父親の自室まで向かう。ドアをノックすると、入れとフィンラルの声がしたので入室する。

フィンラルの自室は、華美な装飾こそ無いものの綺麗に家具が置かれていて、好感が持てる。俺も、余りキラキラした装飾は好きでは無い。ソファに座って父と対面に座る。



「まさか、ソルが自室に来る日が来るとはな。それで、私に質問があるとの事だったがなんだ?」


「その事なんですが、実は前に書斎の本を読んでいたら魔法の使い方が書いてある本を見つけたんです。ですが、僕にはさっぱり意味がわからなくて。人には、必ず魔力が宿っていて訓練次第で魔法が使えるようになるって書いてあったんですが、僕にも魔力はあるんでしょうか?魔力を感じろって書いてあっても、全然分からなくて」


「ふふふ。そりゃ、分からないだろうな。ソルには、魔力が無いからな」



え!!??マジで!!

そんな馬鹿な。せっかく魔法ありの世界に転生したってのに、魔力が無い?なんてこった。



「そ、それは、僕は一生魔法を使え無いって事ですか?」



「いやいや、そうじゃ無いよ。ソルの身体は、まだ魔力を生成する力が備わっていないのさ。魔力が、身体から生成出来る年代は人によりけりだが、大体7歳から10歳までの期間に目覚める事が多い。朝起きたら、身体に違和感があってそれが魔力だったとか、身体が軽くなったと思ったら、魔力に目覚めていたからだったとかね。感じ方も、様々だよ」



そんな前兆も無しに生成されるのか魔力。

まぁ、身体に違和感も無いしな。いや、俺の病弱な身体がここまで回復したんだぞ?ある日を境に、、、。

これは、魔力に目覚めたんじゃ無いのか?可能性はあると思うが。



「ちなみに、人の事を調べる魔法なんてのもあったりするんだが、ソルには魔力が無いままだったよ。元気になったのは、全くの偶然みたいだね。いや、吃驚だ」


そう言いながらフィンラルは笑っているが、俺は残念過ぎて溜息が出そうだよ。

異世界に来たら、魔法なんて使ってみたいに決まってるじゃないか!!

やりたいゲーム買ったけど、本体が無いから出来ないみたいなもんだろ?切ない。

くっそー、最長で後5年も我慢しなきゃいけないかもしれないとは。



「でも、ソルは貴族の子だからね。案外、魔力に目覚めるのは早いと思うよ?上の2人も、8歳くらいには魔力に目覚めたからね」



なんと!!貴族だと、目覚めるのが早いの?

そりゃ、ラッキー、、、だと思っておこう。

確定では無いんだから、喜び損なんかしたく無いし。



「でも、以外だったよ。ソルが魔法に興味を示すなんて。アリアが魔法を使っているのを見ても、何とも思っていなかっただろう?と言うか、病弱だからと諦めにも似た雰囲気だったからな。私も、ソルが相談に来てくれるだけでも嬉しいよ」



そりゃあねぇ。前世の自分が病弱だったから分かるけど、本当に生きるのが辛いとポジティブになんかなれるわけ無いからね。

普通に暮らすって希望が、夢物語の様に感じるんだからさ。



「最近は、体力もついてきたし、ご飯も美味しいから一杯食べて太ってしまいました。そのせいか、元気が有り余ってしまって」



「いい事だよ。そうだ、魔法はまだ使えないだろうけれど、知識を持つ事は無駄では無いからね。今度、簡単な魔法書を持ってきてあげよう。魔法の件は、これで解決かな?他に聞きたい事はあるかい?」



魔法が使えたら、訓練場所や適性なんかの事も聞きたかったけど、まだ無理っぽいしもういいかな。

あ!!後、外出出来ないか聞いてみないと!!



「父様、僕は街に行ってみたいのですが、外出する事は出来るのでしょうか?」



「外出かぁ」と、腕組みをしてフィンラルは悩みながら深く息を吐いた。

いくら最近、身体が丈夫になってきたとはいえ、ほんの数ヶ月前までは病状に伏せっていたんだ。外出はまだ早過ぎたか。



「そうだな。2ヶ月後に、ソルの姉達を迎えに街までタリアが行く予定ではあるんだがな。その頃まで、高熱で寝込む事がなければ連れて行ってもいいだろう。どうだ?」



「はい!分かりました!!絶対に病気にはなりません!!」



気合い十分に答えたら、苦笑されてしまったが、これも俺にとっては重要事項だ!!

なんたって、魔科学が発達している街だぞ?

タリアを呼ぶ呼び鈴も、魔力に反応して作動する仕掛けがあるみたいだし。

現代でも、電気や電波を使って色々出来たんだから、俺の見たことも無い物で溢れている筈だ。ワクワクが、止まらない。

しかも、人間以外の種族に会えるなんてさ。早く、みてみたいじゃないか。




病気になる事も無く、あっさりと2ヶ月が経過した。その間に、筋トレメニューの強化と魔法書の初級を読破して、充実した日々を過ごしてきた。素振りの練習のお陰で、腕の筋肉が結構ついてきた。風切り音も、気持ちいいくらいに良い音になった。

空を見上げると、夏の太陽が燦々と輝いている。今日の気温は36度。真夏日だな。

何もしなくたって、汗が流れるくらいだ。

朝の日課が終わり、朝食の時間の時にアリアから今日の日程を教えてもらった。

午前中は、特に何もないが午後13時には、街に向けて出発するそうだ。

街と言っているが、一般的には王都と呼ぶのが当たり前だ。

ただ、俺は街って言っている。だって、まだ馴染みの無い言葉だから、恥ずかしくてさ。中二病みたいで、、、。


話を戻そう。コホン。[王都]に着いたら、3日滞在した後帰るんだけど、滞在中にやりたい事が山ほどある。しかし、俺はまだ5歳。

活動範囲には限界がある。

モア・ルナ姉妹に連れ回される事も考えると、時間の余裕も余り無さそうだな。

出来れば、ゆっくりと歩きながら王都を巡りたいものだ。




お昼を食べて、出かける準備も整った。いざ!!王都へ!!

と、馬車で何日掛かるかなぁ?とか、考えていましたが、ラノベ脳が全開でしたね。


「マジで?高級車じゃん」


この世界、化学も進歩しているのでした。

普通に道路は整備されているし、車は前世で知ってる様なリムジンみたいな黒塗りの高級車。

こんなの乗ったこと無いよ。


「いかが致しましたか?」


変な顔をしていたのか、タリアが心配してくれた。

いや、ビックリして硬直してただけだから。気にしないで頂きたい。



「おぉ!?」



本当に車かこれ。フッワフワだよ!!

座席がフッワフワ!!

すげー!!車の中とは思えないなぁ。前世の愛用車は、軽自動車だったから尚更だよ。やっぱり、免許とかこの世界でも取ったりするのかな?


「ふふふ。初めての外出だから、ソワソワしちゃって。可愛いこと」


「仕方がありませんよ、アリア様。随分、楽しみにしていらした様でしたし」



・・・母様とタリアに笑われてしまった。

いや、出掛けるのも楽しみだけど、今の状況に吃驚していただけで浮かれている訳では無いからね!?




リムジン(と、呼ぶ事にした)に乗って、早3時間。何事も無く王都へと向かっていたのだが、いや、異世界面白すぎるだろ。


車道に馬車は走っているわ、木陰には冒険者がいるわ。まんまラノベの景色を見た感じだった。

実は、車を所有して良いのは、貴族だけらしい。何故ならば、犯罪率が高くなってしまうから。詳しい事は分からないけど、便利な道具は使う人次第で凶器にもなるって事だ。

厳しい試験もあって、中々合格出来ないみたいだから、車があるってだけでも貴族のステータスとしては目立つんだってさ。流石は伯爵家だね。



王都に近づくにつれて、武装して騎乗している騎士達も見かけた。彼らは、王都の兵士達で訓練も兼ねて毎日見回りをしているらしい。野生動物みたいに、魔物も何処かで産まれたのが人里目指して来たりするんだって。

あと、王都から少し離れた場所には、森があって魔力が溜まりやすいから魔物も産まれやすいみたいだね。丁度、俺達が来た反対方向にあるらしい。

警備も、厳重にしている様で此方側みたいにほのぼのしていないってタリアが教えてくれたよ。



「でっかい壁に、でっかい門。これを見に来るだけでも、前世なら観光名所になるぞ」


白く装飾のない見上げるほどの壁に、獅子と龍が剣を加えてこちらを見ている黒門。

そこに並ぶ人、人、人。


門番達が、審査の為に忙しく動き回っている。その横を、華麗にスルーしていくリムジン。車=貴族なので、一般の門とは別の貴族用の門へと向かっていく。


身なりの良い門番と、母様が話をしてすぐに通過の許可がもらえた。

俺的には、一般の門も一度通ってみたいなぁ。



門を通過すると、すぐに駐車場になっていた。流石に、王都は人が多すぎて車で走るのは無理だし、貴族だから狙われる可能性もあるしね。ここからは、一般的な馬車に変更して王都の家に向かうんだって。


王都は、三重の門が存在していて、まずは王城の周りに第1門。次に、貴族街に第2門。次に、一般街の外壁が3門だ。

陸上は、この門で敵に対処して、対空にはなんと、魔障壁って言う透明な壁とレーザー砲が王城に整備されてるんだって!!魔化学半端ねぇ!!

やっぱり、魔法って言う要素が加わると可能性は無限に広がっていくな。前世の地球は、電子機器で溢れていたし、東京とかコンクリートジャングルって言われるくらいビルが多かったけど、こっちはビルが無い。

ほぼ、一軒家かお店。

化学が進歩してるんだから、マンションとかあるものと思っていたけど、そうでもないんだな。


「ねぇ、タリア。さっきから頭のこめかみを押さえてる人がいるけど、何してるの?」



「あれは、テレパスですね。生活魔法の1つですよ?離れた相手とリンクして、姿や会話が頭の中で出来るんです。本人達が、契約を交わすか、フリー契約の登録をすれば色々と出来るんですよ。王都のフリー広告とかも、テレパスで見れたり、文章をイメージして自由に書き込みをしたりも出来るシステムがありますね」



なんと、ファンタジー。

そりゃ、スマホなんざ要らないわな。

地球では、マストアイテムだった物も魔法で解決出来るんだから凄いわ。



「でも、これだけ人がいるのに皆んな何処に住んでるの?大っきい家も無いのに」



「一般の方々は、主にシェルに住んでいらっしゃるかと」



シェル?シェルとは何ぞ?


「シェルは、地下住居の事で御座います。あちらに、丁度入口が御座いますね」



おぉ!地下鉄の入り口見たいだな。懐かしい。


「王都には、いくつかのシェル住居がありまして、皆様そこで生活をなさってます。意外と通路も広くてお店なんかもありますから、賑わっていますよ」


「へぇ。でも、なんで地下なの?地上の方が気持ち良いのに」


「それはですね。まず、王城よりも高い建物を造ってはいけない決まりがあるんです。敵襲があった時に、建物が邪魔でレーザー砲が撃てなかったり、門が突破されてもシェルへ続く地下入り口を閉鎖してしまえば、一般人を気にせずに思いっきり兵士達が地上で戦えますからね」


なるほど、シェルの入り口を固めておけば、避難誘導とか、他に人員を割かなくてもいい訳だ。



「それに、地下には緊急用の脱出経路もありますから。いざとなったら、王都の外へも行けますよ。普段は、王家の騎士達が警備してますから通れませんが」



よく、考えられているもんだなぁ。


「まぁ、地下で暮らす1番の理由は家賃が安いから、、、ですかね」


まぁ、大事だよね。お金。そんな会話をしていたら、いつの間にか貴族街に入っていたみたいだ。

周りには、お屋敷が沢山。お金掛かってますよね。

一般人側だったからか、なんか複雑だなぁ。


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