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2話 メアルとメアルの夢2

視点は、メアル、カーライル、第三者の切り替わりで進みます。

読みにくいかもですが

お付き合いください

俺の名前はカーライル。

皆からはカールと呼ばれてる。

()()この町の警護隊で小隊長をしてる。


俺の親父(おやじ)はこの町一の戦士で

警護隊の隊長だった。

自慢の親父だった。

しかし5年前、この地方を〝苦死病〟が襲い、

母親(オフクロ)、俺、妹のリリィを

残して逝ってしまった。

親父の最後の言葉は、


「カール……母さんとリリィの事は頼んだぞ…」


だった。

弱々しい声だった。

でもしかし、必死に俺に伝えてくれた。

おそらくもう何も見えてはいないだろう親父の手を握り、

俺は力強く、


「任せてくれ!」


と応えた。

その直後親父は力尽きた。

俺の言葉が聞こえたのかは判らない。

しかし、散々病気に苦しんだ親父の最後の表情は

安堵し、穏やかなものだった。


俺には夢があった。

だが親父に家族を養うことを誓った。

だから、俺は警護隊に入る事にした。

その時、俺は14才。

未成年で本来なら警護隊に入ることは出来ない。

親父の後を継ぎ隊長になった〝タジンのおっさん〟に頼み込み、何とか雑用からと言う事で入隊させてもらった。

お陰で母親(オフクロ)(リリィ)

貧しいながらも養う事が出来た。


タジンのおっさんは

親父が昔から面倒をみていた後輩で、

我が家にも良く遊びに来てくれた。

遊んでもくれたし、かわいがってくれた。

親父はあまり剣の稽古はつけてくれなかったが

おっさんは稽古してくれた。

警護隊に入隊後はおっさん、いや隊長に

ビシバシ鍛えられた。

何度も診療所送りになったものだった。

診療所には、アンの姐御(あねご)とメアルがいる。

アンの姐御(あねご)


「派手にやられたねー。」


とからかわれるのはまだいいが、メアルに


「無茶をしないで…」


己の無様な姿を涙目のメアルに心配されるのは

ただただ恥ずかしかった。

メアルに心配させまいと朝の鍛錬も取り入れ、

とにかく鍛えまくった。

隊長のシゴキと鍛錬により実力をつけ、

成人して、正規隊員になると、

悪党どもを千切っては投げ、千切っては投げ、

八面六臂の大活躍をした。(俺談)


一年前には

小隊長になり、部下を持つ身にもなった。

部下持つのは大変だ。

折角給料が上がったが、

部下との飲みニケーションも必要で

そちらに増額分は消えた。

ただ酒は十分に鍛えられた。

家族の生活を楽にしてやりたいのに

貧乏生活を強いてしまうのは大変申し訳ない。

つくづく親父は偉大だった。と思う。


そして今、俺の剣の腕は隊で二番手だ

未だ隊長には勝てないが

後、半年の間に勝つつもりだ。


俺は今、木刀で素振りをしている。

毎朝の鍛錬は自らに課したルールだ。

家族を養うことに追われてはいるが

俺は夢を諦めた訳ではない。

じっとチャンスを待っているのだ。


俺の夢は騎士になることだ。

騎士といっても並みの騎士じゃなく、

伝説になるような最強の騎士!

聖女様と共に巨像騎士を駆り、戦場で

群がる敵をバッサバッサと薙ぎ払う!

そうして世界に()()の名を轟かせるのだ!!

その為にはもっともっと強く、

誰よりも強くならねばならない。


騎士に憧れたのには理由がある。

幼い頃実際に巨像騎士を見たからだ。

この町を含め、この地域は北に広がる大深林に近く、度々魔物の脅威にさられている。

俺の幼い頃、この街も魔物に襲われたことがあった。

俺はその時、街の広場の時計塔に無断侵入し、

一番最上の鐘が在る所から見ていた。

時計塔は町のシンボルであり、15m程と町を囲う防壁より高い。

防壁のすぐそこまで来ている巨大な魔物。

大きな四足の肉食獣、巨大な狼のようだった。

その狼をたった一振りで斬り倒した巨像騎士。

その姿に魅了されてしまった。

ただただカッコ良かった。

おれもあんな風になりたい!

たまたま通りがかった王国の騎士が

倒したことになっているが、

今にして思えば巨像騎士の正体はおそらく

親父(おやじ)母親(オフクロ)だったのでは無いかと思っている。

親父は タジン隊長よりも更に強かった。

更に2人ともこの町の出身ではなかった。

この町に来る前の事を語ることもなかったし

知っている人もいなかったのだ。

この件関しては タジン隊長も母親(オフクロ)

も通りすがりの騎士としか答えてくれなかった。

巨像騎士となれる 騎士と聖女がこんな小さな町にいるとしたら色々と事情があるのだろうと思う。

国家にとって巨像騎士の保有数を上げることは国防上重要なのだ。

こんな小さな町に 騎士と聖女が住むことなど

許してくれないだろう。


余談だが、聖女不足が深刻な昨今、聖女教会は見込みのある女性をスカウトしまくっているそうだ。

そういえば、メアルの噂を聞きつけた聖女教会がメアルにもスカウトした事もあった。

結果は適し無しだったとメアルは言っていたが…


両親の秘密は気にはなるが

教えてくれないのだから仕方がない。

俺にも誰にも言えない秘密はある。

メアルにも言えない秘密だ。

むしろ絶対に知られてはいけない気がする。

俺は16歳になった日(成人した日)

ある能力に目覚めた。

それは、女性の胸を見ると

服の上からであっても サイズやおっぱいの良し悪し、美しさ(カーライル好みでの基準)が

判ってしまうのだ。

能力が判明したキッカケ。

それは妹のリリィの部屋に行った時の事だ。

ある日、リリィの部屋にノックせずに入ってしまった。

お約束の展開だがリリィは着替え中。

そしてモロに観てしまったのだ。

なんとなくそうかなと思っていた事が

確信に変わった瞬間だった。

その後俺がどうなったかはあえて言うまい。

取りあえず兄として言えることは一つ。


<リリィよ。それだけが女性の魅力ではないさ。

強く生きろよ。>


リリィに関しては今後も暖かく見守ろうと思うのだ。

能力が開花して以降

俺はどんどん 美の双丘の世界にハマっていった。

今では無類のおっぱい好きである。

そして今一番気になっている〝おっぱい〟、

その胸の持主がメアルだ。

この町、いや恐らくは世界で一番と言っても過言ではないだろう。

とにかく素晴らしいの一言に尽きた。

大きさならアンの姐さんの方が大きい。(直接見たことはない。)

だがしかし、メアルのおっぱいは

美しい双丘のライン、質感と大きさのバランスなどなど

どれをとっても究極の美といえる。(当然だが直接見たことは無い。)

もし俺が無類のおっぱい好きで

凄腕の目利きだとメアルに知られたら

もう会ってくれないだろう。

俺も恥ずかしくて顔を合わすことが出来ない。

だから 俺のこの能力は秘密だ。

誰にも明かすことは出来ない。


素振りの最中に邪念が入りすぎたようだ。

剣筋が乱れている。

一時、おっぱいの事は忘れよう。


実は待ちに待った一大チャンスが巡ってきた。

リリィが3月前に16才になり、無事成人した。

そして何と、来月結婚することになったのだ。

俺から見てもリリィは(胸はともかく)器量良しだ。

妹のハートを射止めた義弟(ヤロウ)

妹にゾッコンだった。


「妹を泣かせたら広場の時計塔から服を剥いで逆さに吊るす!」


と釘も刺してあるし、大丈夫だろう。

なにより義弟(ヤロウ)はこの町では有数の商家の跡取りで母親(オフクロ)も養ってくれるという。

リリィが俺の夢の為にアイツを選んだとは思いたくはない。

しかし、この結婚のおかげで俺が前に進めるのも事実なのだ。

ここは素直にリリィに感謝しておこうと思う。

半年くらい後に王都で騎士採用試験がある。

その試験で


<最強の騎士に俺はなる!>


ここまではいい感じに進んでいる。

となると、重要なのがメアルについてだ。

はっきり言えば俺はメアルに惚れている。

もうゾッコンだ。

俺は彼女に一緒についてきて欲しい。

それにメアルはきっと聖女になれると思っている。

俺はメアルと二人で最強になりたいのだ。

彼女のことは俺が絶対に守る。

こう言っては何だが

俺は結構イケてる!と思う。

(あくまでカーライルの主観である)

彼女は俺の事どう思ってるだろうか?


俺は素振りをしながらメアルのことを考える。

メアルは昔から可愛かった。

水色かかった銀色の髪は素直に美しいと思った。

初めて会った時、彼女は5才くらいだっただろうか。

2才年下のメアルに声をかけれなかった。

声を出せなかったと言った方が正しい。

一目惚れだったのだと思う。

そして同時に何故かは判らないが

この子を守るのが俺の使命だと思った。

メアルはよく笑顔を見せてくれた。

その笑顔を見たくて

用も話題も無いのに話しかけてみたものだった。

メアルが12才になった頃、

苦死病によりメアルの両親が亡くなった。

葬儀のあと、お墓の前でメアルは静か泣いていた。

町の墓地は町から少し離れた見晴らしの良い

丘になっていて町が見える。

メアルの頰を伝う涙。

不謹慎だけど初めて見るメアルの静かに泣く姿が

夕日越しに美しく、目を離すことが出来なかった。

それから暫くは気丈に振る舞ってのことだろうが

いつもの笑顔も見せてくれた。

いつからだろう?

いつからかメアルの笑顔は変わってしまった。

彼女は心から笑わなくなってしまった。

町で起きた面白い事を話しても

伏し目がちに微笑むだけになった。

それはそれでドキッとする。しかし…

年を重ねるにつれ、どんどん美しくなっていく彼女。

憂いを帯びた笑みを浮かべる彼女。

俺は彼女の笑顔を取り戻したい。

きっと俺なら彼女を救える!

今日、メアルに俺の想いを伝える!

その為に今日はここにいるのだ!


流れる汗もそのままに素振りをつずける俺。

しかし、思考は今日の計画のことでいっぱいだ。


今日の計画をおさらいしよう。

今日、メアルが休みの日なのは確認済みだ。

診療所はなかなか忙しい。

だからメアルは休みの日に朝市で食材を買い込み

日中に家事にこなす。

必ず早朝にこの空き地の前を通り、俺に挨拶をしてくれる。

今日はなんとかメアルの買い物に付き合う様に

話を持っていく。

一緒に買い出しに付き合い、

これまたなんとか聖女教会に連れて行く。

そこで告白するのだ。

今までの感じからすると嫌われてはいないだろう。

他に好きな男がいるのなら潔く身を引くつもりだが、俺の中では この賭けは 五分五分と見ている。

メアルが成人した時、

彼女は男どもから一斉にプロポーズを受けた。

その中には幼少期散々メアルを虐めていた実に呆れる連中もいた。

実は俺もその時プロポーズするつもりでいたが、

任務が重なりタイミングを逃してしまった。

遅ればせながら告白しようとしたところ、

先にメアルから困っていると相談を受けてしまった。

彼女は結婚するつもりは無く、

全員悉く断ったのだと言う。


そうか…結婚する気はないのか…


俺は内心のショックを必死に隠しながらも、

困っている彼女を助けるべく動いた。

メアルが断ったのに、しつこく言い寄る野郎には

釘を刺していった。

その甲斐あってかメアルの求婚騒動も収まり、

今は言い寄る男は居ない。

しかしスタ一番、いや世界で一番といってもいいかも知れない。あれだけの美しい女性だ。

諦めていない男もいるだろう。

きっとチャンス当来を待っている筈だ。


この国が女王制でなければ、きっと王宮に持っていかれたと思う。

この国に生まれてくれたことに感謝するしかない。

この町は貴族の領地でもなく、

国の監督下にありながらも自治を認められた町だ。

またスタの自治を担う有力者達は

町の人を守ろうとする気概のある連中だ。

(中には腐った性根の男もいるが)

そうでなければ 魔物のリスクの高い地で

やってはいけないだろう。

なので、たまにメアルを娶ろうとする貴族もいたが、

どんな好条件でも彼女が首を縦に降ることは無かったし、強行手段に出てくる貴族も居なかった。

こうして現在は 膠着状態ともいえる状況だ。

今日告白することは、

抜け駆けになるのかも知れない。

彼女は結婚したくないと言ったが

聖女ならどうだろう?

ともかく告白しないことには、

想いを伝えないことには始まらない。

………………………………

………………………………………………………

………………………………………………………

………………………………………………………

……………そろそろ………………………………

………………………通りかかるはず……………

………………………………………………………

………………………………………………………

(来た! 落ち着け俺!!

いいか俺、自然な感じだ!!!)



2話了


======================

補足


[巨像騎士]


本来、巨大な魔物に対抗するために

生み出された秘術。

聖女が、自らを依り代にして

契約する神や精霊を顕現させたものが「巨像」である。

巨像というだけあって全高10m程度と巨大だ。

基本的に神や精霊の似姿がベースになっているが

聖女の想像力にも左右される。

巨像は神や精霊の力を使うことができ、

高い戦闘能力をもつ。

しかし聖女は巨像の維持や力の行使に

意識や能力の大半を費やす為、

単純動作ならまだしも

巨像状態での戦闘は聖女一人では不可能だった。

そこで巨像を動かす者〝騎士〟を取り込みリンクする事で巨像の体の操作を行わせる。

高い戦闘術や体術を持つ者が巨像の動きを担当することで

巨像本来の高い戦闘力を発揮できるようになった。

それが 巨像を操る騎士「巨像騎士」である。

また、聖女と騎士の相性が良いほど

リンクの反応速度が速くなるので

相性の良し悪しは戦闘力に大きく関わる。


基本的に巨像に名前は無い。

巨像は神であり精霊である為

人が名前をつけることは不遜だからだ。

しかし、能力の高い聖女は契約した神から

名前を授けられることがあり、

〝ネームド〟と呼ばれる。

ネームドは特に高い戦闘力を持つことが多い。

とはいえ、

名前を明かすことはほとんど無く、

通常は識別のため通称や アダ名で呼ぶ。

もっともポピュラーな巨像騎士は

戦を司る女神〝ラーファル〟の巨像騎士だ。

ラーファルは剣と盾、鎧にヘルムといった

姿とされている。

そのためラーファルが顕現した巨像騎士は

剣と盾を持った割とスマートな鎧騎士が多い。

通称「ラファ型」と呼ばれる。

戦場で「ラファ型」同士が戦うことはざらである。

精霊との契約の場合は、

大精霊に限るが気に入られると名付けるのを許されることがある。

精霊は名付けられると、その時の聖女のイメージにより、性格付けがされ、個性が強くなると同時により強い影響力を世界に持つようになるという。


現代では〝巨像騎士〟の所有数は

国家の戦力を左右する大きな要素である。



[ラーファル]


戦を司る女神であるが

その姿は兜や鎧、 剣と盾で装備を固めた 中性的な姿とされている。

ラーファルを信仰する聖女は

イバラークでは最も多い。

これは戦闘に関して

一番癖のない剣と盾に関する能力を持ち、

また各国家も安定した能力を持つ、

ラーファルの聖女を求める傾向にある為だ。

聖女志望の女性に不動の人気No1である。

尚、ラーファルには娘が9人いるとされ

ラーファルの娘の名前を与えられた

ネームドは現在8人いる。

ルアメットゥーナ(ラメット)もラーファルの娘であるがその名を与えられた聖女はいない。



[聖女教会]


特定の主神を崇める教会ではなく、

聖女の育成を目的とした組織である。

一応主神ではないが、信仰の偶像として

最初の聖女を崇めている。

運営には複数の国家が係っているとされる。

聖女候補ををスカウトや募集により集め

聖女として育成したのち、

聖女教会に賛同、出資する各国へ斡旋する。

従って、聖女の信仰する神に関しての

決まりは特に無く、その事による

聖女同士の諍いも頻繁であると言う。

また、聖女教会大神殿の所在地は何故か

最初の聖女が生まれた いわば聖地とも言えるアマリア王国では無く、

6大強国と言われる6国の内、

大陸西にある 〝魔導王国〟にある。

そこには歴史的な背景があるようだ。

戦乱の世が続き、昨今はどの国も

聖女不足が深刻になっている。

聖女教会も一段とスカウトが各地を回るようになっている現状がある。

裏補足


カーライルは無意識にパッシブスキル〝おっぱい審美眼〟を習得したようだ

おっぱい審美眼は、おっぱい系スキルの中では

習得必要なにスキルポイントは多い方であり、

ポイントの無駄使いである。

通常3ポイントに対し、おっぱい審美眼は15ポイント必要であり、スキル5個分も無駄にすることになるのだ。

ポイントを消費せずに習得できたのなら

幸運なのだろうが……


======================

サブタイに反して

ほぼほぼカーライルの話になりました。

あと補足が長すぎですね。

判っていますが

長くなってしまったものは仕方がない。と

開き直っておくとします。

本編でなるべく 解説を少なくしようとした試みでしたが、本編の説明臭さは抜けて無いです。

力不足なのは否めません。


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