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27話 聖女修行 1

元テリアの将軍ギルバートと聖女シエルニー

先の戦に破れ、落ち延びた二人は

アマリア王国にて

冒険者アルジとニースとして活動していた。

丁度、王都を離れ

地方に拠点を変えようとしていた所で

スタ行き商隊の護衛の依頼を見つけ

渡りに船とこの依頼を受けた。

この依頼を受けたのは

アルジとニース以外に後3人おり、

合計5人の冒険者が

商隊の護衛依頼を受けたのだった。

何度かモンスターや山賊と遭遇したものの

行程は比較的順調で予定通り

スタまで後3日のところまで来ていた。

明日には冒険者ギルドのある地方都市に着いて、

そこで最後の補給に入る。

アルジとニースはそこで

拠点変更の手続きをするつもりである。


夜中、二人は焚き火を囲んで

座りながら会話をしていた。


「アルジ。」


「どうした、ニー、ス。」


「そろそろ間違わないでほしい。」


何時まで経っても呼び方を間違える(あるじ)

ジト目で睨むニース。

アルジは苦笑いだ。


「すまん。つい、な。 それで?」


「わかっているとは思うが」


「ああ、まぁ大丈夫だろう。

目的はスタにあるようだしな。」


「じゃが、何者かに連絡を取っているからの、

帝国の可能性もある。」


「用心に越したことはないか。」


「うむ。」


二人が警戒しているのは、

護衛の内の1人の冒険者だ。

本名かは判らないが

ジーキスと名乗っていた。


今は商隊は夜営中。

冒険者達は交代で見張りをしている。

ジーキスは本日の報告を終え

見張り当番が回ってくるまで仮眠中だった。

その一部始終をニースに

聞かれていたとも知らずに。

ジーキスはニースが警戒したとおり

帝国のスパイだった。

厳密にはこの男の親がスパイで

ジーキスは詳細を知らずに

跡を継いだだけではあったが。

アマリア生まれアマリア育ち、

帝国に行ったことなど無い。

ジーキスは使令受けて、

使令をこなし、その報告をして

報酬を貰うだけ

報告の相手が帝国の者とは知らない。

自分がスパイだなんて

つもりは無かった。

ついでに言えば

手配書なんて見てないし

ギルバートとシエルニーの顔など知らない。

アルジとニースの心配は杞憂であった。


帝国はこういった、土着のスパイを

何人もアマリアに送り込んでいた。

今回、ジーキスに与えられたの使令は

スタに暫く滞在し、

そこで起きた事を報告するだけのものだった。

使令を与えたのは帝国将軍レネミー。

レネミーが聖女イデアの予知に従って

スタに送ったスパイがジーキスである。

レネミーは帝国将軍であり、

剣聖の10人の高弟『十傑』の一人だ。

更に言うなら十傑の中でも

『剣聖の三剣』と呼ばれる

いわばTOP3の第3位である。


護衛の依頼を受けた

5人の冒険者内残りの2人は、

アマリア第一王女ミリンダと

近衛騎士団の魔導師ガレッスだ。

二人は、冒険者ミリーとガレッスとして

帝国に渡り、帝国を拠点に

活動するつもりだった。

こちらは単に王女が王国に

居たくなかったからである。

ミリーとガレッスは見張り当番を

アルジとニースに交代するため

に2人に話しかけた。


「アルジさん、ニースさんそろそろ交代いい?」


「そろそろか、了解した。ゆっくり休んでくれ。」


「お疲れさんじゃ。」


「交代宜しく。」


アルジとニースが立ち上がった。


「あのアルジさん。」


ミリーはアルジを呼び止めた。


「何か用かの?」


アルジの代わりにニースが訪ねた。


「スタに着いたらでいいんだけど、

一度手合わせお願いできないかなって。」


「ふむ、どうしてまた手合わせを?」


「先のモンスターや山賊との戦いの時、

アルジさんの剣技を見ました。

私がどこまで通用するのか

試してみたくなって。」


「ああ、そういう事なら

スタに着いたら手合わせしよう。

しかし、そのアルジさんっていうのは

止めてくれないか? アルジでいいさ。」


「そちらの方が先輩じゃからな。」


ミリーとガレッスはDランク、

アルジとニースはEランクだった。

登録もミリー達のほうが少しだけ早い。

ミリーとガレッスは必死にランク上げに勤しみ

異例の速さでDランクまで上がっていた。

冒険者のランクは

Fランクから始まる、FからEランクは簡単で

ビギナー期間1年を過ぎるか、一定の実績を積めば

自動昇級する。

しかし EからDランクは試験があった。

試験自体は参加資格を問う課題をクリアすれば良い。

しかし、それを達成するのはある程度の実力が必要だった。

通常1年くらいはEランクで足踏みするものである。

万年Eランクなんて冒険者も多いのだ。

アルジとニースはその気になれば

Dランク試験など余裕である。

しかし彼等は目立つことを避けた。

しかがってのんびりその日暮らしを

楽しんでいたのだ。


「ありがとう!アルジ、ニース」


あるきながら手を振り、見張りに付くアルジとニース。


その様子を見ながら

ガレッスがミリーに話しかけた。


「あの二人、何者かな?

あの腕前でEランクはあり得ない。」


「そうね。でも冒険者だもの

こちらと同じく事情があるんでしょ。」


「そっすね。詮索は野暮か。」


ミリーは帝国に渡る前に

自分の実力を知りたかった。

アルジに通用するなら、

帝国でもやっていけるだろう。

ミリーは不安を消すためか

いつまでも夜空を見つめていたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


メアルは警護隊に入隊した。

ただし、隊長のタジンは

カーライルと同じ小隊に配属しなかった。

当然といえば当然の判断と言える。

なにせ二人は『スタ1番のバカップル』なのである。

同じ小隊に配属なぞしたら、

イチャイチャしまくりで任務にならないだろうし、

他の部下の士気も下がる。

更に警護隊全体の士気も下がるだろう。

だが、他の小隊に配属しても

配属された小隊が浮かれてしまいそうだ。

カーライルという恋人がいるが、

メアルは美人なのだ。

ミランの小隊か自分の直属か迷った末、

自分のの直属とすることにした。

メアルは回復魔法を使うことが出来るが

戦闘に関しては全くの素人だ。

新人教育も通常の隊員の様に

扱う訳にはいかないだろう。

彼女は聖女修行の為に入隊した事はわかっているが、

聖女について教えることが出来る者は

警護隊にはいない。

本来は 聖女協会で教育を受けたり、

何がしらの神殿で神々と契約を結ぶべきなのだが、

メアルは強く警護隊での修行を望んだ。

だから戦い方をメインに教えるつもりでいるが、

あと数ヶ月では出来ることは限られる。

自分の目の届くところに置き、

回復などの支援をさせながら

彼女自身が〝聖女の戦闘時の立ち回り方〟を

自身で学んでもらうしか無いだろう。

本来であれば、彼女に

入隊許可を出すことはなかった。

前例も無い。

しかし、タジンが入隊を許可したのは、

ひとえにメアルがカーライルのパートナーとして

聖女を目指しているのを応援したかったからだ。

タジンはカーライルを贔屓にしすぎると

自身でも思うが、自分の思いを裏切れなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


スタ町の北方に大森林があり、

大森林はそのまま北の山脈に繋がっている。

スタ町の北にあるコバ村を襲った魔物も

大森林に住むマッドベアに魔が取り憑き、

人界に出てきたものだ。

魔物が出て以降、

森林内部の状況が変わったのか

モンスターがよく大森林より出て来て、

商隊を襲うようになった。

警護隊は街道警護も行なっているが、

ゴブリンなどのモンスターとの遭遇が

ここのところ急激に増えている。

メアルも隊舎に戻ってきた怪我人の

治療に忙しかった。

こういう時、回復魔法の使い手が

隊に増えるのは喜ばしいことであった。

また診療所にいたメアルは

怪我は見慣れており、

魔法を使う以外の手当てでも

処置が早く適切だった。

実はメアルは

初級HPポーションの調合も出来る。

HPポーションは一般家庭では

あまり必要とされないが、

警護隊では各小隊が

常に数本は常備している。

そのHPポーションの消費が

ここ最近急激に増え、

隊の備蓄が危うくなってきていた。

小さな町であるスタでの

ポーションの流通量は少量だ。

いきなり消費が通常の倍になっても

急には入荷せず、

また地方に行くほど王都からの商品は

輸送コストがかかる為割高になる。

スタでポーションを買うのは高かった。

従って隊の予算も厳しい状況にあった。

初級HPポーションが調合出来るメアルは

隊の経費削減の為に

初級ポーション調合に勤しんだ。


<診療所の時と同じことを

している気がするわ。

しかもより忙しいのでは?>


とメアルは感じていた。

でも、もしカールが怪我をしてしまって

その時HPポーションが無かったら…。


<あぁ、カールがそんなことになったら 私は…>


後悔してもしきれないだろう思い、

頑張るのだった。

タジンは申し訳無く思っていた。

この事に関して、カーライルは不満を言わなかった。

メアルもカーライルが言わないから

自身も何も言わずに従ってるのだろうと思えた。


タジンは 隊の財政難対策として、

モンスターが街道に出てくる原因の究明と、

HPポーションの材料となる薬草の採取を兼ねて

大森林を調査する事にした。

その調査隊は、2小隊を動員し、

タジン本人がの指揮を取る事にした。

薬草が見分けられるメアルは隊長直属として、

カーライルも調査隊に編成された。

カーライルの小隊を調査隊に選んだのは

聖女修行をさせてあげれていなかったタジンの

メアルに対するせめてもの謝意だった。

一応自分の目が光っていれば、

そこまでイチャイチャしないだろうとも考えた。

そして、その考えは甘かったと

後で思い知らされる事になる。

今回は最寄りの冒険者ギルドがある町を通じて

調査隊同行の依頼を出した。

丁度、スタへ商品を運ぶ商隊の護衛で

その町に立ち寄った冒険者チームが

その依頼を受けてくれた為、

依頼を出した2日後に

その商隊(と冒険者チーム)がスタに到着した。

ちなみに商隊の帰りの護衛は

警護隊1小隊が受け持つことになっている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


スタの町の中に丁度手頃な空き地があり

しかも、草が生えておらず

平らに整備されていた。

ここは、カーライルが

毎朝勝手に使っている鍛錬場だった。

整備されているのは、

カーライルが鍛錬場維持のため

毎朝鍛錬を始める前に地道に

草むしりや地ならしを行っているからだ。


「いい場所があったな、ここでやろうか。」


アルジとニース、ミリーとガレッスは

ミリーの頼み、即ち手合わせをするため、

町を探索し、この場所を見つけた。

ここなら、周囲を巻き込むことはないだろう。


「じゃ、やろうか。」


「アルジ、宜しくお願いします!」


二人は距離を取り、剣を構える。

アルジは悠々と構え動かない。

ミリーは焦れて、アルジに向かって走り出した。


夕刻、カーライルとメアルは腕を組んで歩いていた。

警護隊での仕事を終え、家に帰る途中だった。

そこでちょっとした人だかりが出来ているの見えた。


「なんだろう? 空き地の鍛錬場に人が集まってる。」


「本当ね、喧嘩かしら?」


「剣を打ち合う音も聞こえる!

ちょっと行ってくる。メアルはここで待っててくれ。」


「いえ、私も行くわ。」


二人は人だかりをかき分けて空き地に入ると、

まるで剣舞のような華麗な戦いを見せる

二人の冒険者風の剣士が居た。

見届け人だろうか。

二人の戦いに手出しをせず

見守る者も居る。


「これは!」


帯刀しているカーライルに気づいたのか、

ガレッスが話しかける。


「この町の警護の人かい?

これは手合わせで、決闘とかじゃないんだ。」


「この町内での抜刀は禁止されているのは

知ってるだろ?」


「知らんかった、すまんの。」


ぬけぬけと知らないと言ったのは、

目深にフードをかぶり、

顔を見せないようにしているニースだった。

彼女がそうしているのは

エルフは目立つからである。


「今回は周囲に

危害を加えているわけじゃないから

俺としては穏便に済ますけど

見回りに発見されると連行れるからな。」


「ありがとう 警護のお兄さん!

話が判る人でよかったわ。」


「カール、もう行きましょう?」


そこでメアルがカールを促した。


「ああ、メアル行こう。」


カーライルとしてはこの戦いを見ていたかった。

しかし、メアルはお気に召さないようである。

仕方がないのでカーライルは帰ることにした。


「まぁ、程々にな。」


カーライル達はそう言い残して去っていった

メアルは可愛らしい女性が華麗に戦っている、

それをカーライルが魅入っている。

その事に軽く嫉妬していたのだった。

帰り道、いつもより強くカーライルの腕に抱きついていた。


「メアルどうした?」


いつもより当たりが強い胸の感触に戸惑う。


「カールは活発な娘が好きなの?」


「え? ああ さっきの手合わせてした娘かい?

勘違いさ、魅入っていたのは男の方の剣技だよ。」


「そうなの?」


少しメアルの腕の力が緩む。


「ああ、あの二人では圧倒的に男の方が強い。

あの場では全然本気じゃ無かった。

俺だったら通用するだろうか?」


「そうなんだ。カールなら勝てるわ。」


完全にいつもの様子に戻ったメアル。

カーライルはホッとしながらも

戦っていたあの娘も可愛かったなと少しだけ思った。


手合わせは、ミリーがクタクタになって終わった。

はっきりと決着がつくようなことを

アルジがしなかったからである。

決着のつかない手合わせに

野次馬も次第に減り

日もくれたこともあり、

今彼等を見ている者は居ない。


「楽しかった。じゃあまた縁があればどこかでな。」


「それじゃあの。」


アルジとニースは去っていった。


「ミリー立てるかい?」


へたりこんでいるミリーにレガッスが手を差し伸べた。


「今は無理、もう少し待って。」


「へいへい。明日には帝国いくってのに無茶するね。

しかし、全く歯が立たなかったな。」


「ええ、悔しいけど、ここまで届かないとは。」


「ミリーもいい線いってるけど、

あれは別格だと思うぞ?」


「AかSを相手にしているのは

わかってるつもりよ。」


「むこうはオッサン。

こちらはまだまだ伸びしろあるんだからさ

帝国行って鍛えればいいじゃない。」


「そうね。そうよね。

ところでさっき騒がしくなかった?」


「ああ、この町の警護隊の人が来てね。

町内では抜刀禁止と怒られたのさ。」


「あ、それはそうね。大丈夫だった?」


「話が判るニイちゃんで助かったよ。

それよりも

そのニイちゃんが連れてた娘が

めちゃくちゃ可愛くてさぁ。

恋人なのかなー。」


「あっそ。」


鼻の下をのばしているガレッスに

冷たい視線で返事するミリー。


「また、変わった髪の色をしててさ銀髪なんだよ。

この国では珍しいね。すごく神秘的だった。」


「え?」


銀髪。この国では大変珍しい髪だ。


「ミリーどうした?」


「その娘の髪ってどんな銀色?」


「どんなって、夕日に混ざってはっきりとは。

それがどうした?」


「いえ、何でもないわ。」


そうよね、偶々よね。

もしミリーが

前世の姉とそっくりであるメアルと出会っていたら

どうなっていただろう?

ミリーの心は壊れてしまったかも知れない。

幸いにも今回はニアミスで終わったのだった。


「そろそろ立てるかい?」


「ええ、ありがとう。行きましょう。」


ミリーとガレッスもカーライルの鍛錬場から去っていった。



「どうした、ニース。」


宿に向かって歩いていた

アルジとニースだったが、ニースの様子が少しへんだ。


「ん、アルジ問題ない。

少し異様な者を見て落ち着かぬだけじゃ。」


「異様な者?」


「うむ、まぁの。 もう大丈夫じゃ

宿に急ごう。」


「ふむ、そうだな酒が待ってるからな。」


ニースは嫌な感じを忘れることにしたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アルジとミリーが手合わせをした翌朝。


調査隊は、

大森林までは馬で移動する算段になっているが

そこで一つ問題が起きた。

メアルは馬に乗れなかったので、

タジンと同じ馬に乗せようとしたのだが、

メアルが拒否した。


「隊長。申し訳ありません。

隊長が嫌いという訳ではありません。

でも私はカール以外の男性に

体を触れさせる訳にはいきません。

カールと同じ馬にして頂けませんか?」


メアルは涙目で訴えた。

そう、馬に同乗させてもらうなら

体が密着してしまうのである。

メアルにはそれが耐えられなかった。


一度カーライルの馬に同乗させてみたが、

即、幸せオーラが漂い、

体が触れ合うたびに

小声で「もう、カールったら」と

甘えた感じで顔を赤らめられては

一緒に乗せて置けなかった。

やってられないのもあるし、

大変危険だからだ。

これから馬で走る。

落馬されたら命の保証は出来ない。


そうして揉めているところに、


「とんだバカップルがいたものじゃな。

ある意味貴重じゃぞ。」


と声をかけてきた者がいた。

外套を頭まで深く被り、

顔ははっきりとはしないが、声、体格からして女性だ。

ニースだった。


「おい、ニース、失礼だろうが。」


その声に反応したのは一緒にきた男。

こちらは分かり易い。

体格が良く、精悍な感じの中年男。

動きやすさ重視の革の軽鎧を身につけており、

盾は持たず小剣を2本差している。双剣使いなのだろう。

この男はアルジである


この二人が今回

タジンの依頼に応じてくれた冒険者だった。


「じゃが、ここまで酷いのは初めてじゃぞ?」


「まあ、そうだが…

おっとまだ挨拶も自己紹介もしてなかったな。」


アルジは自分たちが名乗ってもいないことに気づいた。


「やぁ 失礼。隊長殿はどちらだろうか?

我々は冒険者ギルドから派遣された者だ。」


と言いつつも、タジンの方に視線が向いている。


「私が隊長のタジンだ。今日はよろしく頼む。」


「こちらこそ宜しく。

俺はアルジ。こちらの毒舌はニースだ。

悪気はないから気にしないでくれ。」


「毒舌は余計じゃ。」


「怒るな。早速だが ニース。

あのお嬢さんはお前さんの後ろに乗せてやれ。

女性同士なら問題無いだろ。」


「む!、アルジが言うなら仕方あるまい。」


二人のEランク冒険者アルジとニース。

その正体は元テリアの将軍ギルバートと

そのパートナー、聖女シエルニーである。


ニーが ギルバートのことを、

(あるじ)と呼ぶのをやめない為、

ギルバートは「アルジ」と名乗っている。

ニーが「ニース」と名乗っているのも

ギルバートがついつい 「ニー」と

呼んでしまうからだった。


二人はアマリア王都に無事たどり着き、

身分の保証がなくても登録できる冒険者になった。

二人はアマリアで冒険者になったことは無く、

当然〝登録該当なし、犯罪歴なし〟なので

(実はベテランだが)

新人冒険者になりすました。

しかし割と早く、

テリアとクドナルが講和条約を結んだ為、

ギルバートが捕虜になっていないことが

テリアと帝国にバレた。

逃亡者となった2人には賞金首として

手配がかかってしまったのだ。

アマリアにいる限りは安全、

とは言えなかった。

賞金稼ぎの網にかかると面倒だ。

しばらくほとぼりが覚めるまで

地方で活動することにした。

そこで王都から離れるのに丁度いい

護衛の依頼を受け、

そのまま地方都市に拠点を移した。

そこで目を引いた依頼が今回の調査の同行依頼だ。

丁度スタに行く必要もあるので都合がいい。

これが今回、依頼を引きうけることになった経緯だ。


「そこの娘、我の馬にのれ。」


「えーっと。 メアルです。

よろしくお願いします。」


カーライルと離され残念そうなメアルも

相手が女性ならばと、了承した。


ニースの背中にしがみつく格好で馬に乗るメアル。


「しっかりしがみついていろよ?

落とされても知らんからの。」


こうして調査隊は大森林に向けて出発した。

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