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25話 リリィの結婚

チューハの一件があった、その日の内に

メアルは荷物をまとめて

翌日カーライルの家に来ていた。

荷物は少なかった。

後は食材を運び処分するものを処分し、

鍵をチューハ家に渡すだけである。

メアルの家は基本片付いていた。

ちなみに チューハ家に鍵を渡す役は

カーライルが行く事になった。

メアルは自分で行くと

カーライルの申し出を断ったが、

カーライルに抱きしめられ

「任せてほしい」と囁かれると

頷くしかできなくなった。


「というわけで今日からメアルはここで一緒に暮らす事になった。」


カーライルは 経緯を母と妹に説明した。


「お母様、リリィちゃん。宜しくお願い致します。」


メアルはカーライルの家にお世話になる事になった。

二人は快く、メアルを迎え入れてくれた。


「大変だったでしょう。

これからはここが貴女の家ですよ。」


「少しの間になっちゃうけど

メアル(ねえ)と一緒に暮らせて嬉しいよ。」


「ありがとうございます!」


二人の暖かさに感激し、涙ぐむメアル。


「メアル姉、泣かないの。もう家族なんだから。

それにしても兄さんがヘタレだからどうなる事かと心配してたよ。」


その言葉にメアルの顔が赤くなった。


「もう、リリィちゃん。恥ずかしいわ。

でも、こうしていれるのもリリィちゃんのおかげでもあるのね。」


「そうだよ。兄さんメアル姉にぞっこんのくせに

いつまで経ってもアタックしないからさぁ。」


「おいリリィ、バラすなよ!」


「母もハラハラしておりましたよ。」


「お母様、リリィちゃん。嬉しいです。

私もずっとカールと一緒になりたかったの。」


その言葉に今度はカーライルが赤くなる。

誤魔化す様に部屋を案内しだす。


「そうだ、メアルの部屋は」


「兄さん私はまだ婚前なんだから、

兄さんの部屋はダメだからね。刺激が強いわ。」


「え!」


言葉に詰まるカーライル返って墓穴を掘った様だ。


「兄さん…」


「あの、私はどこでも…」


「取り敢えず今日は私の部屋で一緒に寝ようよ。

聞きたい事いっぱいあるから。」


「え、ええ、お手柔らかにね。」


メアルは、アンに引き続きリリィからも

根掘り葉掘り聞かれる事になった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「なるほど、恋愛小説みたいだね。

いいなぁ、私もそんなドラマチックだったらなぁ」


「今度はリリィちゃんの番よ。」


「えー、私の話は普通過ぎて面白く無いよ。」


「でも、是非聴きたいわ。」


こうして、二人の夜は過ぎていった。

部屋の明かりを消して

二人並んでベッドに寝そべって

メアルがお休みを告げた時、

リリィがポソリと呟いた。


「メアル姉、今日は邪魔しちゃってごめんなさい。

兄さんをメアル姉に取られちゃうから

嫉妬しちゃった。」


「リリィちゃん…」


先のリリィの馴れ初め話では語られなかったが

メアルはリリィの秘めた思いを

勉強を教えていた頃から察していた。

そして、彼女の苦しみも。


「あと、1日だけメアル姉を独占したかったの、

メアル姉みたいなお姉ちゃんが欲しかったから。

今日は楽しかったよ。

明日からは兄さんと一緒の部屋でいいからね。

じゃ、おやすみなさい。」


リリィは恥ずかしさからか

メアルに背を向けてしまった。

そんなリリィを

メアルは後ろから優しく抱きしめた。


「ありがとう。リリィちゃん。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


リリィの結婚式まで

あと数日になっていた。

そんなある日のお昼休憩時、

メアルはアンにお説教されていた。


「メアル。最近のあんたちょっと酷いよ。」


メアルは椅子の上で正座だ。


「アン。ごめんさない、カールにせがまれるとつい……」


「つい。じゃない! ともかく遅刻しない!」


そう、最近メアルは遅刻しがちになった。

理由は朝カーライルに求められると、

メアルは応じてしまうからだ。

現在カーライル家では、広いベッドのある母の部屋(両親の部屋)にカーライルとメアルが入り、

カーライルの部屋に母親が移っている。

メアルはその移動の申し出を母親がした時

恐縮して辞退しようとしたのだが、


「孫の顔が早く見たいわ」


ニッコリと言われてしまい

辞退を封じられてしまったのだった。

そんな事があり、カーライル家内においても

二人の甘ーい生活が始まっていた。

朝からお盛んなのも

リリィにはからかわれるが母親公認だった。


「あんたのことだから、

カールが朝から求めてきても

『もう。カールったら♡』

って応じちゃうんでしょ!」


とクネクネしながら、メアルのモノマネをする。


「わたしってそんな感じなの?」


ショックを受けるメアル。

だがその通りだった。


「イエス。」


とアン。


「ともかく、この前教えた お口のテクニックで

素早く、済ましちゃいなさい!」


途端にメアルは赤くなった。


「練習はしてるけど…その恥ずかしいわ。」


「恥ずかしいって…」


呆れるアン。


「あんた達最近なんて呼ばれているか知ってる?」


「なんて呼ばれているの?」


「スタ 一番のバカップル。」


「本当に!?」


「イエス。」


腕を組み、仁王立ちのアンは

頷きながら答える。


「人前であんなけイチャついているのは

恥ずかしくないのに、

なんで二人きりのことが恥ずかしいのさ。

散々したんでしょ?」


「それは…そうだけど…ゴニョゴニョ」


「そっちは、なんとかして頂戴。」


「頑張ってみるね。」


「あと、これは心配だから言うけど

このままじゃ、男女の危機よ?」


「ええ!」


青ざめるメアル!


「あんたカールの求めに全て応えてるでしょ?」


「そう…かな。

カールが求めるなら全てを捧げたいの。」


うっとりとした感じでメアルが答える。

思った通りの答えにため息をつくアン。


「それが危険なのよ。 」


「え?何故?」


「男はねぇ、思い通りになっちゃうと

満足して見向きもしなくなるのよ!

手に入れたい時は必死だけど、

いつでも抱けるようになると興味を無くすのよ。」


「カールに限って……」


青ざめながら呟くメアル。

はぁ、更に大きくため息をつくアン。

この娘にはやはり〝正しい男女交際〟について

キッチリ教える必要がありそうだ。

ここからは、正しい男女交際講座の時間である。


「そんな お嬢さんに朗報よ!」


「え?」


期待の目を向けるメアル。


「男を飽きさせない淑女の嗜みテクニックというものが世の中にはあるのですよ。(ニヤリ)」


「そんな夢の様な!本当に?(ゴクリ)」


「イエス(キリ!)」


「どうしたらいいの?(ゴクリ)」


「それはね……」


「それは?」


「………」


「………」


「……」


「……」


「…」


「どうして焦らすの!?」


「そう! その焦らしが重要なのよ!(バーン)」


「!!」


アンの焦らしに堪らず質問したメアルに、

アンは間髪入れずに焦らしの重要性を告げる。

果たして効果覿面だった。

アンの話に完全にメアルは引き込まれた。


「最終的には叶えてあげるにしても

『あとで』とか「『今はダメ』とか言って

その場ですぐには応じない。

これを、まんざらでもない感じで言うの。

これで男は言いなりよ!」


「焦らす…これでカールがもっと喜んでくれるの?」


「なんかちょっと違うけど、

まあイエスかな。」


そんな会話のあった次の朝。

カーライルの求めに対しメアルは


「ダメよ遅刻しちゃうから、また夜にね♡」


と言ってみた。

しかしカーライルはより興奮してしまい、

結局、押しに弱いメアルは


「もう、カールったら♡」


と言って応じてしまった。

いつも以上に興奮したカーライルは

1回では済まなかった。

メアルはその日のお昼も正座となった。

次の日の以降、メアルは意を決して、

口のテクニックを実行に移した。

カーライルは喜んでメアルにしてもらい、

その日から遅刻は無くなった。


そんな事があり、メアルはたまに焦らす様になった。

しかし、焦らしはカーライルも行う様になり、

二人の行為をより燃え上がらせたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そしてリリィの結婚式の当日になった。

この世界での結婚式は、

一般的には命を司る〝大神スメティ〟に婚姻を誓い

新たな命を授かる様祈るのだ。

儀式は見届け人の神官が立ち会う以外は2人で行う。

通常はこの誓いを午前中に行い、

その後披露宴をお昼から夜遅くまで行う。

披露宴の最初に婚姻の儀式に立ち会った神官が

婚姻が成ったことを宣言し、

参加者の皆がお祝いの言葉をかける、

そしてそのまま宴会に突入して夜まで騒ぐのだ。

羽目を外しすぎる者もいる為、

警護隊も参加しているが、

一切お酒を飲めない為損な役回りである。

リリィの夫はこの町有数の商家の跡取りであり、

披露宴は盛大に行われた。


メアルとカーライルは揃って

リリィとリリィの夫にお祝いの言葉を述べた。

(夫への祝いの言葉は割愛とする。)


「リリィおめでとう!」

「リリィちゃんおめでとうございます。

とても綺麗よ。」


純白のドレスをきたリリィはとても綺麗だった。


「ありがとう兄さん。メアル(ねえ)


リリィは嬉しそうに答えた。


「メアル(ねえ)、いえ、もう義姉(ねえ)さんって言ってもいいかな? 兄さんのこと宜しく。

あまり甘やかしてはダメだよ。」


「おいおい」


「もう、リリィちゃん。」


こうして楽しいひと時を過ごした。

披露宴が終わり、

カーライル、メアル、アン、ミランが4人で歩いていた。

それぞれ自宅に帰る為だ。

衣装や料理についてなど、

色々と感想を話していた4人だが、

不意にメアルが話があると言い出した。


「カール、アン、ミランさん 聞いて。

私、診療所を辞めようと思うの。」


「え? 」と驚く、カーライルとミランとは対照的に、

アンはまるで知っていたかのように切り出した。


「うん。いつ言うのかなと思ってたけど、

ついに決心したのね。」


ニコリと笑ってアンが答える。


「驚かせようと思ったけど、

アンには敵わないわね。」


こちらも微笑んでメアルが返した。


「カールのために聖女目指すんでしょ。

頑張りなさい。応援するよ。」


「アン…」


メアルはアンの胸に飛び込み泣いてしまった。


「コラコラ。この胸はミランのだぞ?

まあ今だけは貸したげる。」


「ぶ!」と吹き出すミラン。


「アン。今までありがとう。」


「よしよし、

まあ、あんた達が王都に行くまで

まだまだあるんだから 。

すぐのお別れじゃないし、

しんみりするのは早いでしょ。」


と言いつつもアンの声も少し湿っていた。


「メアル、ありがとう。」


カーライルも少し湿った感じで言った。


「で、辞めて具体的にはどうするの?」


と、ミランが空気を読まない発言をした。


アンは思った。


<これは教育が足りないかな?>


メアルはアンの胸から離れると、

決意を固めた表情で言った。


「警護隊に入ろうと思うの。」


こうして1ヶ月後、メアルは診療所を退職し、

警護隊に入隊した。

運命の日まであと4ヶ月だ。

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