表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/41

17話 悪意と呪いと2

警護隊隊舎前で、多くの隊員達が居るにも関わらず メアルとの熱い抱擁を交わしたカーライルは、

当然のことながら

散々、隊員達や隊長にからかわれた。

顔を赤くしながらも

メアルは俺の女だ!と隊員達に言い放った。

先ほどの反応を見る限り

メアルがカーライルを好いてるのは

流石にメアルの言葉を聞かなくても

誰だって判る。

警護隊の隊員の中にもメアルの事を

狙っている男はいた。

2人の熱い抱擁を目の当たりにした彼らには

今日の見回りでの夜風は目に染みるものとなった。

(未だ諦めていないイケメンもいたが。)

見回りをしながらカーライルは考える。


〝抱きしめた時、メアルは嫌がらなかった。

抵抗どころか寧ろ抱きしめ返してくれたし、

喜びの声を上げてくれた。

あの声はヤバかった。

何もかんがえられなく、

いや、メアルを求めることしか考えられなくなってしまった。

あの時、アンの姐御に止められなかったらどうなっていただろう。

ともかく、メアルは俺の事を好いてくれている。

これは間違いないと思う。

ただ、メアルはその思いを邪魔する何かに

悩まされている。

それも間違いないだろう。

それが何かはわからないが

メアルが話してくれるまでは

彼女を包み込むしかないだろう。〟


<それにしてもメアルはすごく柔らかかったし

いい匂いだった。

そして押し付けられたメアルの乙πの感触。

完璧だ!最高だ!はやく触りたい!>


邪念が混ざっているが男としては

健全な思考だろう。

この手の邪念は男に活力を与える。

カーライルは決意を新たに見回りにの任務も

気合も漲り、意気揚々と足取りも軽い。

その逆に周囲の力は奪う様だ。

その様子に同行するカーライル小隊の部下は

げんなり気味であった。

カーライル小隊は3人づつの2チームで

受け持ちのエリアを見回っている。

ちなみに受け持ちのエリアにはメアルの自宅も含めれていた。


========================

(少し時は遡る)


私は、ふわふわした感覚の中

自宅に向かっていました。

顔はまだ赤く、火照っていて暑いです。

警護隊の人たちのいる前で

カールと抱き合ってしまいました。

冷静なら穴があったら入りたいくらいに

羞恥に身悶えるのでしょう。

でも今の私は恥ずかしさよりも

安心感、幸福感、そして喜びが勝り、

その余韻に浸りきっているのです。

今は私自身どうしたいのかとか、

どうするべきなのかとか、

考えることができません。

カールに強く抱きしめられたあの瞬間。

もう何もかもがどうでもよく

カールを求めることしか考えられなくなりました。

アンに止められなかったら

きっと、どこまでもいってしまったと思います。

今、歩いていても

強く、キツく抱きしめられた感覚が残っています。。

そんな悦びの余韻に浸りながら

家に向かっているのです。

感覚に身を任せ、ふわふわ、ふわふわと。

どこをどう通ったかなんてわかりません。

カールの逞しい胸板のあの弾力。

カールの、大好きなカールの匂いが

鼻一杯に広がる。

力強い腕に抱きしめられ、

悦びの声をあげるほどの快楽。

その快楽の余韻に今も酔いしれています。


========================

メアルは自宅に着いた時、

内鍵を掛けるの忘れるほどに

舞い上がっていた。

今のメアルには目に写るものが見えてはなかった。

ただ見ているだけで意識が全く向いていない

だから、気づくこともなければ

記憶にも残らない。

朝メアルが開ける事なく捨てた小箱が

開けられて捨てあったのだが

メアルは気付かなかった。

そもそも朝贈り物を受け取ったことも覚えていない。


ジェッポはメアルの両親の部屋で気配を消して

様子を伺っていた。

メアルの家には鍵の複製を作って、

人々が家に帰る時間になる前に侵入していた。

色々と物色したがめぼしいものは魔法袋くらいか。

ジェッポが物色したのは盗む為ではない。

女の経済事情を知るためと、暇つぶしだった。

裏でメアルを自分の女にするつもりだったので

魔法袋が高価なものとはいえ盗みはしない。

そもそも下手に荒らして、

侵入者に気づかれたら元も子もないのだ。

ただ、ゴミ箱に捨てられた贈り物が何だったのかは

興味があったので開けてみた。

中身は細工の細かい彫金が施された花を象ったブローチだった。

何の花なのか、花言葉も知りはしないが

中々高価な物であることは細工の細かやさや

材質がプラチナということからも判る。

どうせ捨てたものだ、

これくらいは頂いて換金しても良いだろうと

ジェッポはそのブローチをポケットにしまった。

ちなみに、もしブローチをメアルがみたら

顔をしかめただろう。逆にカーライルからの

贈り物だったら有頂天になったに違いない。

花言葉が「永遠の愛」を意味する

花のブローチだったからだ。


メアルが帰ってきた時、

ジェッポはすぐにでも襲いかかりたかったが

逃げられて待つのは身の破滅だけだ。

慎重に、女が自室に入るのを待つ。

お楽しみは目前に迫っている。

しかし、肝心のメアルは中々自室に入らない。

なにか キッチンとダイニングの間をウロウロしている様だ。

まさか抱擁の余韻が冷めず、幸せのあまり

ウロウロしているなどと

ジェッポには判るはずもない。


<何をやってやがる!>


お預けを食らっているジェッポには

拷問の時間だったろう。

長い拷問の後、メアルは自室に入った。


ジェッポは自身も気づいていないだろうが

スキル〝隠密行動〟の所持者だ。

裏の家業故か習得してしまったのだろう。

スキルのレベルは高いわけではないが

素人のメアルに、まして今のメアルが気づくことは無かった。


ジェッポはナイフを片手にメアルの部屋の扉を勢いよく開けると

驚くメアルに近づき、ベッドに押し倒した。

そのまま馬乗りのなると、

ナイフの刃をメアルの首元に突きつける。

「へへへ。お嬢さん。こいつが見えるだろ!

命が惜しければ、騒ぐんじゃ無いぜ。」


<さあお待ちかねの時間だ。

焦らされた分じっくり可愛がってやる!>


=======================

何者かが私を押し倒し、

首元にナイフを突きつけている。

()()()()()()()、だと思う。

私は折角の余韻をこの男に台無しにされた。

最悪だ。

天国から地獄とはまさにこのこと。

しかし、私は知っている。

夢の中で何度も何度もこんな目には合った。

どうすればいいのかも知っている。

私は機嫌が悪い。

私の幸せの余韻を奪ったこの男のことなど

どうでもいい。

どうせろくな未来は待っていない。

はやく処理をしてしまおう。


「どいてください。

あなたの思い通りにはならない。」


「なんだと。殺されたいのか?」


どんどん私の気持ちは冷えていく。

カールにでさえ、私に馬乗りになるなど

許していないのに。

こんな男が私にまたがっている。

ましてはこの男はこれから私を犯すつもりなのだ。

私はカール以外に体を許すつもりも

触らせるつもりも無い。

カールだけ、カールだけが私を自由にしていい。

こんなどうでもいい男が…

吐き気がする。

台無しだ。

幸せな気分が全て台無しだ。

こんなことをしでかし、私の忠告にも耳を貸さない。

覚悟があってのことだろう。

私は男の処理を実行に移す。



「キャーーーー!!!!! 助けてーーーーーーー!!!!!」


私は大声で助けを求めた。


「このアマ!!!!」


男は私を殴って止めようとする。

仕上げの一言を放てばそれでお終わりだ。


「あなたの顔は覚えたわ。」


当然嘘だ。

こんな男の顔なんて記憶に残すはずがない。

汚らわしいこの男では無く、

カールのことでいっぱいにしたいのだから。

焦る男は私の陵辱を諦め、覚悟を決めた様だ。

ナイフを私の首につきたてようしている。


「黙れ!」


ナイフを逆手に持って首に振り落としてくる。

ナイフは私の首に刺さる前に、止まり

そして錆びて柄ごと粉になった。

夢の通り。

いつもの悪夢の中での出来事と同じだ。


「ひぃ!」


変異に驚く男、そして


「うぁ!」と小さく叫んだ。


処置は終わった様だ。

私にかけられた呪いは、

呪いが私を殺すまでは私を守る。

呪い以外が私を殺すのを許さない。

だから、私を殺そうとしたこの男は

私の呪いに呪われた。


ドンドンドン!

「大丈夫か!!!」


私の悲鳴を聞いて掛けてつけてくれたの()()()()

ドアを叩く音と、声が聞こえ()()()


男の人は、女性に振られて意気消沈したかのような表情をし、わたしから降り、フラフラ玄関の方歩いていきます。

私も起き上がると玄関の方に向かいます。

玄関の扉が開けられました。

どうやら私は内鍵をかけなかった様です。

男はそれで入ってこれたのでしょう。


「大丈夫か!」


助けに来てくれたのは警護隊の人たちでした。

なんとなく見覚えがあります、

カールの小隊の人たちだったかと思いますが

残念ながらカールはいませんでした。


私を襲った男はフラフラ外に向かって歩いていきます。


「ごめんなさい、大丈夫です。

内鍵をかけ忘れていたみたいで、この人が入ってきたから驚いてしまって。」


「この野郎! メアルさんの家に侵入とは!」


「許してあげて。言い寄られたけど、きっちり断ったらわかってくれたし、何も無かったから。」


フラフラ歩く男は傍目には振られた男そのものでしょう。


「メアルさんがそこまで言うなら。」

「一応小隊長を呼んできましょうか?」


「カールを? お願いしていいですか?」


男は私の家を出ていきました。

もう会うことはないでしょう。


<さようなら>


やがて、カールが来ました。


「メアル大丈夫か!」


「えぇ大丈夫よ。」


カールは人目を憚らずに私を抱きしめてきました。

ああ、カール。しっかりと抱きしめ直して。

私はカールにしばし甘えていました。


「小隊長、どれだけ見せつけてくれれば気が済むっすか?」


その声に私たちはパッと離れます。

つい他にもいることを忘れてしまいました。


カールに経緯を説明して納得はしてない様ですが、

男に対する矛を収めてくれたカールは

再び見回りに戻っていきました。

1人になった私は、遅めの夕食を取り、

せっかくカールに抱きしめられたのですが、

水を浴び、身を清めます。

(水といっても沸騰したお湯を混ぜ、温水にしたものです。)


再び自分の部屋に戻った時は、流石に平静でした。

ベットに腰をかけ、今日のことを考えます。


私の心、感情が、あそこまで理性に反発するとは

想像もしていませんでした。

理性的に考えれば、

カールの夢の為には身を引かなければなりません。

でも感情が、どうしてもカールとの別れを拒絶するのです。

現にカールに抱きしめられた私に

理性は働かず、喜びしかありませんでした。

側から見ればわたし達は既に付き合っているように

見えるでしょう

あんなに熱い抱擁を大勢の前でしてしまったのだから。

そのことに思い至って、恥ずかしさが戻ってきて

わたしはベッドの上を転げまわりました。


冷静さが戻り、ベッドに寝転がったまま、

これからのことを考えますが

もう私にもどうしていいか判りません。


カールに好きだと言われました。

断ったのに、諦めないと言って笑ってくれました。

力強く抱きしめられてしまいました。

もう、この幸せを手放すなんて考えられません。


〝カールと一緒にいたい。

カールに抱きしめられたい。

ずっと私を見ていてほしい〟

その気持ちを私はもう抑えられないのです。


「カール、わたしをこんな気持ちにさせるなんて

罪な人。」


呟いてみますが、

やはりカールへの愛おしさが募るばかりでした。

でも、何故でしょう、

私の心は軽いのです。

呪われて、未来はないはずなのに。


今日も私は祈ります。

でも祈りの内容が少し変わったかもしれません。


カールが成功して立派な騎士になれます様に。


月が優しくカールを包んでくれますように。


お日様が、カールの行く先を照らしてくれますように。


カールが、私がいなくなったら素敵な女性と巡り会えます様に。


カールが幸せな家庭を築けます様に。


カールが満ち足りた人生を送れます様に。


カール がいつまでも私のことを覚えていてくれます様に。


きっとこれが偽りのない私の本心。


=======================


<なんだ、なんで俺は歩いてんだ!>


<体が言うことを聞かない。勝手に動く。>


<声もだせない!>


<あの女の首にナイフを突きつけた瞬間

なにかおぞましい感じのなにかが俺に入ってきた

そしたら体を乗っ取られちまった!>


ジェッポは予想外に大声を出され、

命惜しさにメアルを殺して口封じしようとした。

こうなった以上この町を捨てなければならない。

しかし、そのこと以上に、

現在異常事態に陥っていた。


<あんなに冷酷で気が強いなんて。

あの女 魔女なのか!>


<どこに行く気だ。>


フラフラ心のない感じに歩くジェッポ。

ジェッポの体は今自宅に向かっている。

途中、飲み仲間に会った。


「よお!()()()。元気ないな!」


と声を掛けるがジェッポを手をあげるだけで

顔は俯いたままフラフラ去っていく。


「なんだ? 振られでもしたか?」


酔っている男はさして気にもしなかった。


「男が振られたくらいでくよくよするなっての!」


千鳥足の酔っ払いはジェッポとは対照的に陽気に去っていった。


<おい! 止めてくれ! 体が勝手に動くんだ!

助けてくれ! >


ジェッポの叫びは声にならない。

だから誰にも届かなかった。


自宅に着いたジェッポ。

メアルの家の鍵の複製をハンマーで叩きだした。


<あの女の家の鍵! 何をする! 忍び込めなくなっちまう!>


この後に及んでまだそんなことを考えるジェッポ。

鍵の複製はすぐに原型をとどめ無い程に

ぐちゃぐちゃになった。

ジェッポはハンマーを無造作に捨てると

机に向かう。

何かを紙に書き出した。

ジェッポは文字の読み書きができた。

配送屋をやる上で必要だからだ。


<何を書いている? >


<!!!!>


書いているのは遺書だ。


<死ぬ気か! やめてくれ! 助けてくれ!

俺を殺さないでくれ!!>


遺書を書き終えたジェッポは 荷造り用の頑丈なロープを持って歩き出す。


<嫌だ! やめてくれて! 助けてくれよ!>


ジェッポは自宅の裏にある大き目の木に向かった。

ロープの一端を輪っかにし自分の首にかけた。


<ひぃ!!! やめてくれー! たすけて!!>


木をよじ登っていくジェッポ。

太めの枝に腰をかけロープのもう一端を枝にしっかりと結びつけた。

あとは飛び降りるだけとなった。


<ああああああ! やめて! すまなかった!

俺が悪かった! もう二度としない!

あんたには近づかない! だからやめて!

ゆるしてくれ!!!

いやだー! まだ死にたくない!

おねがいだ!!!! たすけてくれ!!

ゆるして! たのむよ!! たすけてー!!!!!

やだやだやだやだやだ!!!!!

神さま助けて!!!>


神に祈った事がない男が神に祈った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


遅めの朝食を優雅に取っている ロヨイ・チューハの元に

老執事がやってきた。


「お食事中のところ失礼致します。」


「なんだ? 」


「配送屋が自殺したようです。」


「なんだと?」


「女に言い寄って、振られた挙句、失意のあまり自殺した。と聞きました。」


「ふん、それがどうした。計画に関係あるまい。」


「いえ、それが ロヨイ様が贈られたブローチが

配送屋のポケットから出てきたのです」


「なに?」


「配送屋が女に贈ろうとして突き返されたということになっている様です。」


「それなら」


「配送屋の収入で手に入るものではありません。

当家に関係の無い品になる様

裏で手を回す必要があります。」


「ああ?」


「旦那様より、一応ほとぼりが覚めるまで自重せよと申しつかっております。」


メアルがらみで短期間にいろいろ起こりすぎると

不審がられるということだった。


「な! 親父に言ったのか!」


「私めは 旦那様にお仕えする者です故。」


一礼して執事は下がる。


「くそが!!!」


ロヨイ・チューハはナプキンを床に叩きつけることしかできなかった。


17話了


======================

補足


[この世界でのスキルとレベル]


この世界にはスキルとレベルが存在する。

しかしこの世界の住人は

そのシステムを知らないようだ。

ある程度人生経験を積めばlvは上がるが、

一番経験値が入るのは戦闘経験である。

スキルはスキルポイントを割り振って手にいれるのだが、それまでに行ってきた行動により、

自然に習得する場合がある。

この世界の住人はスキルポイントの割り振りも行うことを知らないため、

体験による自動入手のみとなっているようだ。

またスキルポイントはレベルの上昇時に

1レベルにつき1ポイント手に入る。

なおレベルの上限は30である。

スキルポイントの初期値が1で29レベル分手に入るので

最大スキルポイントは30だ。

それ以上の入手は限界突破し、

レベル上限を上げない限りは手に入らない。

ちなみにレベルアップ時に効果音はならない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ