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11話 ブウェイ砦の戦い4

2019ー06ー15

巨像騎士のダメージ設定を変更しました。


光の柱から現れた 3騎の巨像騎士。

それは人の形をしていなかった。

人馬。 上半身が人間、下半身が馬、ケンタウロス。

この世界〝イバラーク〟ではケンタウロス族はあまり人界には現れないが、彼らのは風の民とも言われており、風を司る神「クテレ」を信奉するクテレ正教ではケンタウロスを聖なる神の使いと教えている。

そしてクテレ正教はモス国の国教であった。


その神の使いであるケンタウロスを模した巨像騎士が 3騎。

左右の人馬騎士はそれぞれ右手に騎乗槍「ランス」、左手にカイトシールドを装備していた。

そして中央の1騎は見たことのない長柄の獲物を持っている。

地球でいえば 〝青龍偃月刀〟と言われている武器だ。

三国志の英雄、関羽が使っていたことで有名な武器である。


人馬の巨像騎士と対峙したギルバート。


「人馬だと? まともに動けるのか?」


ギルバートが疑問に思うのも無理はない。

考えてみてほしい。

もし、あなたに羽根が生えたら?

腕が6本になったら?

動かし方をイメージできるだろか?

本来無い物を動かす意識を持てるだろうか?

そう言った理由から、

巨兵も巨像騎士も普通は人型だ。


だがしかし、巨像騎士が なぜ巨像と名付けられているのか?

巨像騎士の生みの親、〝最初の聖女〟アリーは、巨大な虚像という意味を込めて、巨像騎士と呼んだ。

もともと実体のない精霊や、神々を、聖女の体をを媒体に顕現させた神や精霊の似姿、

それが巨像騎士なのだ。

神々の姿は必ずしも人型と考えられてはいない。

本来の姿で顕現されればより大きな力を発揮できるだろう。

ただやはり、人と形状が異なる姿では

実際に動かす側の騎士がついていけない。

そこで、巨像の姿は聖女の想像力にも左右される為、通常では人型に矯正されている。

力を落とすことになっても。


(あるじ)。凄まじい風の力を感じる。警戒すべき!』


聖女シエルニーが ギルバートの意識に直接話しかける。


『ああ、これはモス、いやクテレの大聖女だろうな。』


ギルバートの言うクテレの大聖女とは

クテレ正教に3人いるという1級聖女、

即ち ネスカ、ネスレ、ネスルの事である。

ともかく今回モス国が参戦していることが確実になった。


『クテレ正教の秘蔵っ子の三つ子か。ふむ

面白いの。どれ試してやるか』


シエルニーが好戦的な笑みを浮かべる。

ただし、その笑みを見ることができるものはいない。



『ネスカ、ネスル、 準備いい?』


『こちらは完了です』とネスカ。


『こっちもOKだよ お姉ちゃん』とネスル。


『ブレン様 おっけーだって』

ネスレがブレンに伝える。


『では 始めるように 言ってくれ。』


『二人ともー 突撃だってー』


ネスレが2人に伝える。

三つ子はお互いに会話をしていた。

通常ではあり得ないことだ。

聖女はリンクしている騎士の意識に

語りかけることで騎士との会話はできる。

だが、他の巨像騎士や 聖女に語りかけることはできない。

だから、通常では事前ミーティングなどにより

意思を統一し、想定外の事態に対し連携できる様、

訓練を通し味方の動きを理解する。

しかし 会話による意思疎通ができるなら、より高度な連携が取れるだろう。

3人の聖女が三つ子だからできる特殊能力だった。

三つ子聖女のパートナーになった騎士、

ネスルと組むコーミ・バイセと

ネスカと組むマキシム。

2人もまた天才であった。

人馬を自らの体として完全に動かすことができた。

また動かすことができたからパートナーとなった。


聖女と騎士は相性がある。

聖女は騎士とリンクするのだが相性が良いほどシンクロ率は高い傾向にあり、

シンクロ率が高いほど 動作の反応速度に反映される。

相性を高める為か騎士と聖女は恋仲になるケースも多い。

余談だが、妻帯者の騎士や 貴族の中には愛人代わりにする不届き者もいる。


ネスカ、ネスレ、ネスルの 3人は11歳。

本人達は背伸びして大人ぶるが、真に恋仲になるには 若すぎた。つまり子供だ。

また バイセは女性である。

バイセはネスルを妹、 マキシムはネスカを自らの子供として見ており、

愛情をもって接するためか聖女もよくなつき

シンクロ率も高かった。


『いくぞ、ネスカ!』

『はいマキシム様。』


『いい? ネスル』

『うん コーミ。やるね。』


ネスレの伝言を受け、2騎の体に風が渦巻き出す。

そして、2騎のランスにも回る様に風が渦巻き出す。

切り裂く風の刃が高速で回転する。

〝切り裂く嵐の穿ち〟

掠っただけでも大きく抉られるだろう凶悪な技だ。


左右の人馬の巨像騎士がランスを同時に構える。


「来る!」 イエットは身構える。


その瞬間、ギルバートの巨像騎士の背中の甲殻が開いた。無数の煌めきが生まれ、3騎の人馬騎士に向かって打ち出された。風の刃である。陽の光が乱反射し

煌めい見える。


『挨拶がわりじゃ、気に入ってもらえたかの』


シエルニーとしてもこれで倒せるとは思っていない。

風の聖女達に向かって、あえて風の刃を無数に飛ばしたのである。

人馬が飛び出そうとする瞬間を狙い、出鼻をくじいた。

地味な嫌がらせ程度のものだが、

出鼻をくじかれると調子が狂うものである。

はたして


『うわわ!』


飛んでくる風の刃を防ぐべく、より強い風を体に渦巻かせ、風の刃を飲み込む。 3騎とも無傷だ。


『私たちに向かって風の力で向かってくるんなていい度胸してるよね。』


ネスレは激昂気味だ。

それをブレンが抑える。


『ネスレ。 私たちはゆっくり行くよ。

とはいえ、あの力は厄介だな。封じらるかい?』


『えーすぐに行かないの?』とネスレは不満を漏らす。


そこへ 風の刃の第二陣が飛んで来た。

しかし、風の刃は、こちらに届く前に全て消滅した。


『ブレンさま。風の刃を無効化したよ。』


敵の攻撃を無効化して気を良くしたのか

ネスレは冷静に戻ったようだ。

三つ子の聖女がそれぞれに働きかけ、

この場の風を支配したのだ。

今、ブレン達には追い風が吹いている。

風に魔力を乗せ風の刃を無効化したのだった。



風の刃をかき消されたシエルニーは

さして焦る様子は無かった。


『この地の風を支配されたようじゃ。』


『向かい風か、向こうのほうが力が上か。』


『悔しい事を言ってくれる。じゃが勝負はこれからじゃ。』


シエルニーが言い終わるや否や、

ギルバートの騎体に風が渦巻き出す。

シエルニーの力が弱い訳では無かったが

3対1では流石に力負けするのは仕方がない事だろう。


『お返しだよ!』


ネスレが風の刃を無数に作り出し、

ギルバート騎に向かって放った。

シエルニーが作った倍はあるだろうか。

ネスレが放った風の刃は全てギルバート騎に

届く前に方向を変え、空に向かって飛んで行った。


『あれれ?』


結果に不思議がるネスレ。


『大聖女様は相当の負けず嫌いのようじゃな。』


シエルニー言葉を聞いたギルバートは


<どっちもどっちだと思うが。>


と思ったが、念話にはしなかった。

その代わり


『どうやって防いだ?』 と聞く。


『なに、敵の作った風を利用し風の向きを少し上に捻じ曲げただけじゃ』


シエルニーは〝属性同調〟を利用し

風の刃の軌道を変えたのだった。

ここまでは、小手調べのようなものだ。

しかし、ギルバート側は飛び道具である風の刃を封じられてしまった。

ギルバートは 他の巨兵隊を心配するが、

目の前の人馬騎士から発せられるプレッシャーを感じ、目の前の人馬騎士から目を離せない。


妨害が無くなり、左右の人馬騎士が動き出した。


イエットはこちらに迫る敵騎士に対して

冷静だった。

〝あれは、要は騎馬兵だ 。左右から挟み込めば良い。〟

しかし、彼は今回幸運に恵まれなかった。

彼の隊の 部下の内1人は今回が巨兵戦闘の初陣の新米騎士だった。

イエットは彼の隊では彼を中心に左右後方に部下を配置していた。

まず打ち合わせ通りのジェスチャーをし、

イエットが攻撃を受け止め 左右から挟み込む様に指示を出した。

イエット自体は盾を前面に出す事なく、

メイスで迎撃する構えを取る。

攻撃を受け止め様としている事を悟らせないためだ。

メイスで敵のランスをいなし、

その直後にタワーシールドを前面に押し出し動きを止める。

敵を止めたら左右から攻撃を仕掛け、仕留める。

という戦術だったのだが、

新米騎士は敵の迫力に飲まれ、イエットの指示に

一瞬対応が遅れた。


イエット隊に迫る人馬騎士を操るは、

騎士コーミ・バイセと聖女ネスルのペア。


新米騎士が出遅れたその一瞬を見逃さない。


『もらった!』


バイセは一気に加速!

急に加速したため、ベテラン騎士イエットすら

一瞬巨大化するかのような錯覚を覚え、

身構えてしまい、動きを硬直させてしまった。

新米騎士なら尚更だろう。

新米騎士は新米故にイエットの右手側に居た。

今回はそれが災いした。動きが遅れた為、

武器も盾も構えが雑だった。

バイセは加速しながらも、新米騎士の右横を通る軌道に変える。

バイセの右手に持つランスが猛威を振るうコースどりだった。

新米騎士は自分が狙われているとわかるや

ますますパニックになりメイスを振り上げ

全力で 振り落とそうとした。

そのために邪魔なタワーシールドは手放した。

致命的だった。

この瞬間、胴がガラ空きになった。

既にランスの間合いに入っている。

バイセは更に加速。

全体重と、速度の乗ったランスが新米騎士に向かって

突き出される。

ランスは巨兵の胴に刺さり、そのまま突き抜ける。

ランスの周りに高速で回転する風の刃が巨兵の胴を割きながら貫通していく。

新米騎士の駆る巨兵はメイスを振り上げたまま

上半身が砕け散った。魔導球も粉々だ。

断末魔を発する間も与えられなかった。

新米騎士は初陣で何もなす事なくまさに戦場に散ったのだった。


『コーミ。やったね!』


喜ぶネスル。


『まだまだ。ネスル次行くよ!』


『うん。次だね。』


バイセの操る人馬騎士はそのまま駆け抜けていった。


「一撃! なんて破壊力だ!」


イエッタは焦った。

防御力には定評がある巨兵「タイタン」をさらに

改良したタイタンII、それが1撃だった。

タイタンⅡは硬い筈だった。

しかし人馬騎士は簡単に砕いのだ。

これでテリア側に優位性が無くなってしまった。

こうなると 重く動作の遅いタイタンⅡは

ただのカモだ。

イエッタは覚悟を決めた。


動かない人馬騎士と対峙中の

ギルバートは舌打ちする。

助けに行きたくとも目の前の人馬騎士が

許してくれそうもない。


一方のヴェルノ・バークイ隊の方では斜陣でマキシム、ネスカ ペアを迎え撃った。

バークイを中心にバークイの左側の部下を前に、

右側の部下を後方に密集陣形を取っている

密集しているので武器は振るいにくいが

盾も盾を全面に押し出し、人馬騎士の突進を受け流す作戦の様だ。

うまく盾を当てれば人馬騎士を転倒させられるかもしれない。

あと数秒で接触するだろうタイミングで

ネスカがマキシムに告げる。


『マキシム様。このままではこちらが不利ですね。』


テリア側の狙いはこちらの弱点をついている。

が、こちらは巨像騎士だ。

どうやらあの巨兵隊隊長は

巨像騎士の恐ろしさをわかってないとみえる。


『このままならな。 ネスカ。スイッチだ!』


『了解しました。』


刹那、マキシムのランスと盾が入れ替わった。

そうなのだ 武器も盾も顕現させたもの。

左右を入れ替えるなぞ造作もないのだ。

マキシムは両利きで左右どちらでもスイッチできる。

ランスを右から左に変えてもランス捌きに差は出ない技量を持っていた。

マキシムはバイセと同じく軌道をずらし 、

バークイ隊の左前の巨兵の左側を通るルートで襲いかかる。

しかしバイセとは違い加速はしない。

そのままの速度で巨兵と交差する。

マキシムのランスは鋼の盾を突き破りそのまま

巨兵の胸を貫き、砕いた。

バイセの持ち味が速度ならマキシムはパワーだった。

マキシムはランスに刺さったままの敵のタワーシールドを、ランスをまた入れ替えることで捨てた。


2騎の人馬騎士はそのまま通り過ぎ カーブを描きながら方向を変え今度は 左右の逆の隊の巨兵を襲う。

巨兵はその動きについていけなかった。

軽量化の魔法をかけてあっても石の体は重く、

強化された頼みの石の装甲の硬さも

敵は簡単に砕く。

2度目の接触でさらに2体が砕けた。

この接触でバークイが戦死した。

バークイは決死の体当たりを敢行したが

バイセの速度と巧みな軌道操作について行けず

なすすべも無く狩られたのだった。


「くそ!! 速すぎる!」


イエットは先程新米騎士を屠ったバイセと再び対峙する。

迫る人馬騎士。

バイセが仕掛けるより先に

イエットが仕掛ける。タワーシールドを持った

左腕を盾ごとランスに当てに行った。

バイセのランスは盾を突き破り、巨兵の腕を貫通。

そのまま巨兵の胸まで突き進み。

魔導球に達する直前で止まった。

激突する巨体と巨体。

イエットの巨兵は後方に押される

巨兵の足跡は直線に20mくらいだった。

石でできた重い巨兵が後方に引きずられた。

しかし、この接触では イエットが賭けに勝ったと言える。

バイセの突進がイエットの捨て身の防御に止められたのだ。


激突の衝撃は凄まじいものだった。

しかしイエッタにダメージは無い。

巨兵は、魔導球にダメージ負わない限り、

同化した操縦者にダメージは無い。

巨像騎士側は騎士と聖女に直接ダメージ無いものの

蓄積ダメージが溜まると巨像騎士化が解除される。

従って バイセの巨像騎士はそれなにりにダメージを負った。


「勝った!」


メイスを振り上げるイエット。


『やるねえ! でもね。』


足を止められたバイセはランスを手放し

後方に飛んだ。


「くそ!!!!」


反撃を早々と潰され、イエットは

心底悔しがる。これで勝機は無くなった。


『ネスル。やって。』


冷静に、冷淡にコーミ・バイセがネスルに指示を出す。


『うん。』


ネスルが了承した瞬間、イエットの巨兵に刺さっているランスが破裂した。


ボン!!


そんな音と共にイエットの巨兵の上半身は弾け飛んだ。

当然 魔導球も弾け飛んだ。

ベテラン騎士のイエットは一矢報いることもできず

戦死したのだった。

その後、悠々と新たなランスを出現させたバイセの巨像騎士は、再び走りだした。


バークイ隊では隊長を失った残りの一体も

マキシムに易々と砕かれていた。


<イエット!>


いずれは聖女付きの騎士になりたい、と一緒に盃をかわしながら夢を語っていた副官の死を

ギルバートは一瞬悼むが 聖女シエル二ーはそれを許さなかった。

シエルニーとてイエットの死を悼む気持ちはある。

だがここは戦場だ。

気を抜けば次は自分たちが屍を晒すのだ。


『気をぬくな 、(あるじ)


『すまない!大丈夫だ。』


『あれらの力がこれほどとは。 不味いことになった。』


『ああ、残された手は 中央の大将らしきアレを打つしかない!』


この世界の戦にもしきたりはある。

大将を討った側が勝ち。 シンプルなルールだ。


『ブレンさまー !まだ?』


『やれやれ、囲んで時間稼ぎしようと思ったんだけどね。 ネスレがそこまでやる気なら始めようか。』


『ブレン様大好き!! じゃあ 特大のいくね!』


ネスレは姉妹の中で最も能力が強く、

ブレン騎の体を包む風の気配は 他の2騎よりも強い。

刹那、 ブレン騎は跳んだ。


一瞬、敵の姿が消えた。


『上じゃ!』 とシエルニーが叫ぶ。


頭上より 振り落としの一刀が迫るのを察知したギルバートは双剣をクロスさせ、人馬騎士の一撃を耐える!


「く!!」


着地同時に来る体当たりを バックステップで

避ける。

ギルバートはギリギリの間合いで避け、敵の動きが止まった瞬間を狙い クロスさせたままの双剣から斬撃を放つ

それを ブレンは事もなげ受け止める。


敵の足が止まった。

本来は ここで 2体の巨兵が 人馬騎士を左右から攻撃する作戦だった。

しかし、マキシムとバイセの投げたランスがそれぞれ巨兵を貫いており配下の巨兵は動かない。

2名とも即死だろう。


ギルバートは いよいよ腹を括るしかなかった。


11話了


=======================

補足

[属性]

魔法や聖女達が使う術には属性があるものがある

この世界の基本属性は

風、水、火、土、木、金、雷、光(聖)、闇(魔)である

相克関係は、

①水>>火>>風>>地>>水

②金>>木>>雷>>金

③火>木>(風・地・水)

④(火・水)>金>(風・土)


相反関係は


光⇔闇


となっている。


[属性同調]


魔法や聖女達が使う術は 同属性の場合

同調しやすい。

シエルニーは風の流れを捻じ曲げた上で

迫る風の刃を同調せせ、風の流れに乗せて

当たらないようにした。


ネスレは風の刃をより強い風に同調させて

吸収した。


他にも同調による技に、増幅や上書きなどもある。

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