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自販機暮らしのサンピエール(3世)  作者: ブリ大根
サンピエール三世の優雅な日常
8/42

燃えてアイとアンモナイ子!Dokudokuレッドブラッド!

前回のあらすじ!

アンモナイコは恋に恋するうら若き乙女!

そんなナイコに恋の隕石落下!ずっと前から気になっていた幼馴染のたっちゃんと、突然現れた怪しくも魅力的なサンピエールの間で揺れ動くナイコの心!

最終的に選んだ相手は、なんとサンピエール3世?!

ナイコの恋のいく末はいかに!

禍々しいオーラを持った怪しい人間、そう僕サンピエール3世!突然アンモナイトに絡まられてとっても困ってるんだ!深海旅行を楽しもうと思ったのにチョベリバ!イラついたからぶっ倒すよ!


私アンモナイコ!サンピエール3世とかいう謎生物に隕石的に恋しちゃってとりま猛アタック中!恋ってスゴイ、今私とってもチョベリグー!


闘いが始まってからアンモナイコはサンピエールが繰り出す徒手空拳の弱さに驚いた。打撃も刺突も殴打も、あらゆる攻撃がナイコの外殻によって完全に無効化できている。逆にサンピエールの拳は、ナイコの外殻を叩くたび赤が飛ぶありさま。


ナイコの外殻は母のものよりも脆い。母はマッコウクジラ100連鎖体当たりされようと潰れないが、ナイコは一発浴びただけで砕けてしまう。母が規格外であるだけでナイコの殻が脆い訳では勿論ない、が、その母の殻をも破ったはずのサンピエールの拳がナイコに通じない。不気味な優勢、ナイコは攻撃を絶やさぬままサンピエールを探る。


はじめナイコは加減されているのではないかと疑った、が、それはナイコの今までの経験により否定される。ナイコが今まで対峙してきた戦士は大概が卑劣卑怯を是とするものたちだった。その中でもナイコを死の淵に立たせた巧者たち、サンピエールは彼らと何処か似ていた。彼らは油断も慢心もしない、己の弱さに憎しみさえ抱いているからだ。彼らがナイコの対して手を抜いたことなどあったか?いや!断じてない!

絶命の直前であろうと彼らの心は、体は、真摯に闘い続けていた。サンピエールも彼ら同様にそうであろう、ナイコはそう直感している。


ならばこの弱さには何らかの理由がある。


策など弄せずに己の心技体のみを頼りに生き延びてきたナイコには、サンピエールの思惑など分かろうはずもない。しかしがむしゃらに闘うだけではやられる。サンピエールを倒す為には母の守りを崩した何かを破らなければならない。


焦りにより力任せになっていくナイコの触腕。そのすべてがサンピエールに吸い込まれるようにぶつかる。


乱れ散り尾を引きながら海水に溶け消える血液!


くたりと弛緩する肢体!


サンピエールは倒れた!


確かな手応えを返す己の拳、ナイコの期待とは裏腹に、あっさりと、サンピエールは倒れた。倒れたのだ!


「なぜだ!まだ私のこの身は闘いを望んでいるのに!」


闘いへの色濃い期待、それが裏切られ怒りに燃えるナイコ。だから普段なら気づけたはずの背後への反応が致命的に遅れた。


「ナイコー!」


ナイコの後方、もう事は終わっていた。サンピエールに俵担ぎされるたっちゃん。こちらを振り返りもしないサンピエール。


「たっちゃん?!」


まさか、奴ははじめからたっちゃんを狙っていたのか?!慌てて追いかけようとするも、突如捲き上る土煙、現れた巨大なエイに乗りサンピエールは去っていった。


「たっちゃん!たっちゃーん!」


ナイコの叫びは海底に沈んでいく…


「ナイコ、ついにときがきてしまったわ…」


「母上?!お怪我はよろしいのですか!」


「やられたわ。まさか我が朋に合間見えるとは思わなんだわ…奴は超古代文明アルミカーンの遺物を持っている。気をつけよナイコ、お前と奴の相性は最悪よ」


「超古代文明アルミカーン?」


「ふん、とうに消えた文明の名だ。知らんのも無理はない。お前には伝えていなかったが…私はアルミカーンに作り出された兵器、オレンジジュスの残骸ゆえちと詳しいのだ」


「それはそうとナイコ!父さん最近日曜大工にハマってな!これを持っていくといい!携帯折り畳み椅子だ!」


ナイコにとってたっちゃんは居て当たり前の存在だった。だがサンピエールに連れ去られ気づいたのだ、己の心にたっちゃんへのただ暖かいだけの気持ちがあったと。恋のように心臓をぐちゃぐちゃに搔きまわすのではなく、穏やかにそこにある癒す熱。これは、この感情は…愛だ!!!


「サンピエール!たっちゃんを返せ」


「たっちゃん?」


「お前が攫ったタツノオトシゴだ!」


「いや!これはタツノオトシゴではない。超古代文明アルミカーンが作り出した兵器、オレンジジュス試作機の尾てい骨部だ!みよ!このなだらかな丘陵!まさに理想的な尾てい骨!」


「俺は!タツノオトシゴの辰ノ尾俊子だ!自律型尾てい骨なぞではない!」


「たっちゃんあなたもしやと思っていたけれど…」


「ああ!そうさ、ナイコ。実は俺は女なのだ…」


「親方の命令なんぞ知ったことか!私はもうこの素晴らしい尾てい骨を愛してしまった。深海制圧なんてやめだ!共に余生を過ごそうぞ!」


「誰がお前なんかと!」


「たっちゃん、いや俊子!愛してる!私と結婚してくれ!」


「はい!」


「なぁに!」


「いくぞサンピエール!俊子を賭けて今度こそ決着をつけるぞ!」


ナイコの父母はその頃、激突していた!そうナイコの父、ヤドカリのヤドオこそがサンピエールの親方、ことの黒幕だったのだ!


サンピエールは母との激突で消耗していた遺物を使い果たし敗れ、ナイコは俊子と幸せに暮らし、ナイコの母は再び父を尻に敷いている。


この失恋をバネにサンピエールはコンクリ詰めを更に極め、なんと東京代表に打ち勝ちコンクリ詰め初の王者となった!

アンモナイトは中間層!

オウムガイは上位層を経験したことがある!

さすが生きてる化石!オウムガイセンパイ!

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