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自販機暮らしのサンピエール(3世)  作者: ブリ大根
サンピエール三世の優雅な日常
6/42

パンチラ!

僕は脱サラ農家を目指すニート!今日はバイトをクビになってクソみたいな気持ちを持て余してるんだ!公園で昼間から酒を飲んでたら子供が話しかけてきた!


「あんた、ちょっとママゴトに付き合ってくれねぇか。どうせ暇だろう?」


んだこのガキナメてんのか、イラつくがガキ相手にどうこうはさすがに気がひける。ここは穏便に追いはらおう。


「あんだぁ。ボクちゃん友達いねぇのか、カアイソウになぁ。でもごめんなぁ。おじさん一緒に遊ぶのは無理なんだ。わかったらあっちいっけ。」


「子供の遊びじゃねぇ。大人にはそう見えるだろうが俺たちガチでブロードウェイ目指してんだ。おっさん子供の夢を手伝うのも大人の仕事だろ。なぁ頼むよ。」


ごちゃごちゃウルセェな、こちとら傷心の身ってやつだぞ。なんでこんな面倒くさいやつの相手をしなけりゃならんのじゃ。


「ママゴトでブロードウェイ目指すって?その前にまず園の学芸会の方頑張った方がいいんじゃねぇか。あれだろ海外なんだろ海外。英語できなきゃダメなんでしょ。はいおじさん英語無理なんだ。ゴメンねおままごとがんばって。」


一気にそこまで言って立ち上がった。別の場所で飲み直すか。引く様子を見せないガキに嫌になって立ち去ろうとすると足に縋り付いてきた。


「おじさんだけなんだよ!暇そうな大人は!ちょっとくらい手伝ってくれてもいいだろ!手伝ってくんないなら防犯ブザー鳴らすぞ!」


防犯ブザーの恐ろしさを俺はよく知っている、あのけたたましい音ときたら!あれのせいで俺は!忌々しい過去をつい思い出す、そう、あれは夏の暑い日だった。


俺には可愛い姪っ子がいた。小学生になったばかりの彼女はおじちゃんおじちゃんと俺を慕ってくれていて、よく母親に叱られては俺のところへ来ていた。


「おじちゃん!」


だからその日の夕方も、母親に叱られでもしたんだと思っていた。


「おお、どうしたミエコ。またお母さんに叱られたのか?」


頰をプクーとふくらませ膝丈あたりのスカートを揺らしたミエコは真剣な表情で俺をみた。


「違うよ!わたし聞いちゃったの。おじちゃんそよ風起こしの天才っていわれてたんでしょ、わたしパンチラがうまくなりたいの!手伝って!」


そよ風起こしの天才、懐かしい名前だ。あまりに絶妙な風量でスカートをめくる風を起こす俺に周りの男子どもは俺の技術に感嘆し、女子は畏敬をもってそう俺を呼んでいた。だがもう何年も前の話だ。パンチラとはもう何年も関わっていない。


「どこでその名を、、、。それはもう過去の話だ。俺はもうパンチラ界から足を洗ったんだ。パンチラにろくなことはない。諦めろ」


「嫌!わたしお色気ムンムンの女優になりたいの!そのためにパンチラは絶対必要なの!お願いおじちゃん!」


防犯ブザー片手に俺を脅すミエコ。俺は頷くしかなかった。


パンチラは手首に多大な負荷と羞恥をもたらす。子どものエミコには到底耐えられないだろうと俺は始め思っていたが、ミエコは過酷な訓練にもめげずにパンチラを極めていった。


俺の満足がいく出来に仕上がったころ、いつもの公園でそよ風を起こしミエコのパンチラをしていると大声がした。


「変態だー!」


あたりに響き渡る防犯ブザーの音。集まってくる大人たち。俺は情状酌量の余地なく豚箱に入れられた。そうして何年もおっかない先輩にいじめられてようやく出られたと思っても定職にはつけない、バイトは長続きしないでその日暮らしていくにも困る有様。


そんな俺と正反対にミエコは純情系アイドルになった。昼ドラにも出演して一瞬のパンチラお色気シーンでお茶の間を騒がせた。


そういう意味では俺も報われたのかもしれない。だが未だに俺は防犯ブザーが怖い。だからクソ生意気なガキに従うしかなかった。


「わかった!わかったよ!」


「本当か!じゃあ早速俺たちのママゴトの評価をしてくれ!」


始まったのは脈絡の全くないストーリーともいえないなにかと猿芝居。困惑しながら必死にどうやったら改善できるか悩む俺に天啓が降りてくる。パンチラだ!男もいるけどパンチラしかない。


こいつらにミエコと同じようにパンチラの極意を教え込む。通報はされなかった。スタジオを借りたからだ。


幼い彼らはパンチラをスポンジのように吸収し、ハリウッドで大ウケし、大好評。俺に恩義を感じているらしい彼らのおかげで俺には監督しての仕事が仰山舞い込んだ。


それで俺はいまやハリウッドが誇るムショ勤の敏腕ペドフィリア!びっくりだよね。

ハリウッドとブロードウェイってなんだろう!

よくわからないや!

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