ハムチュゥ〜! その三十五!
あらすじ!
知りたい死ねない!そうだ宇宙、行こう
自爆は禁忌!でも必須!
ご飯は時間厳守!ハルさんにかかれば2分で全壊だよ!
「死ぬかと思うた!」
「おかしい、権限は剥奪されていないのに閲覧可能なデータが一ファイルのみ?システムの管理者は」
「いやーまさか土壇場で覚醒して早着替えのタイムを縮められるとは!これでわしのベスト記録大幅更新じゃな!」
「なぜ、権限がハムネ一世の識別コードに置き換わっている……?」
「あー!空気が美味しい!生きてる実感と解放感が格別じゃわー!今なら空飛ぶ棺桶としか思えんブツに勝手に載せられた恨みも洗い流せそうじゃー!」
チラ、とドブネズミが端末とにらめっこをするハムネ三世に目線を向ける。しかしハムネ三世微動だにせず。
「それ以外の積年も恨みも!」
ジッ、とガンつけながらドブネズミがハムネ三世の耳元でデカい独り言を言う。しかしこれまたハムネ三世はピクリともせず。
「今わしが半裸なことも!許してやってもいいんだがなー!!!」
ジト、と濁った目でドブネズミがハムネ三世の五体無事の服をみながら、半裸の(致命的な方を露出している)ドブネズミがヤケクソに叫ぶ。
片手には綺麗に真ん中から破けたズボン。
ドブネズミの命を救った飛行服の残骸だ。
あのロケット爆発の最中、飛行服を着れたはいいものの乱暴に足を突き入れたせいで強度が弱い内側から破けてしまったのだ!
そのため辛うじて飛行服の外装により命は助かったものの、ドブネズミの下半身の毛皮はこんがり色黒に焼けてしまっていた!
変わり果てた自らの下半身(夏色アゲアゲ陽気なテクスチャ)への悲嘆を込めたいいシャウトだったが、またもやハムネ三世全くの無反応!
もうこいつ置いていっていいか、とドブネズミが剥ぎ取ったズボンを履きながら思う中、剥ぎ取られてもブツブツぼそぼそ言っていたハムネ三世が突如カッ!と目を見開き叫ぶ。
「そうだ秘境いこう!」
「まず経緯言ってもらってもいいか?」
「ええ、もちろ、ん?……まぁいいか」
先に馬鹿弟子ブチのめしたい、と思いつつ話を促すドブネズミに、なぜか半分服がないことに首を傾げながらハムネ三世は滔々と語り出す。
開国の祖、ハムネ一世が遺した願いを知る旅は、片方半裸、片方ガングロ(下半身のみ)の状態で始まろうとしていた……。
***
不時着したロケットの破片を背に歩き出した二匹。端末を手にしたハムネ三世の先導で進むは獣道もない山の中だった。
青々と茂る藪は太く長く、ドブネズミはこの旅路の困難と長期化を覚悟した。
しかし、その予感に反してハムネ三世が到着告げたのは山に踏み入ってから半日と経たないころだった。
ハムネ三世がそのちみっこい指先で示したのは、身体が人、頭部が猫の姿をした石像だった。
「猫か、不吉じゃな」
ネズミの天敵とアニマルの天敵が合わさった禍々しい石像に、思わずといったようにドブネズミが呟く。
それに頷くでもなく当たりを見回すハムネ三世は、石像以外の何がしかを目的としているかのような素振りで石像に近づく。
石像の周囲を歩き出すハムネ三世だったが、ちょうど石像の裏で歩みをとめた。
「ありました、なるほど。これが鍵……」
***
「よぉよぅ!
陽気なラップ、口ずさみ、誰かれ問わず惹きつける、WASHIがドブ川ネズ公よ!
あんたその顔知らねえな?WASHIが誰だかわかってねぇ。やってやるぜ、無茶な課題、WASHIにかかればおちゃのこさいさい!」
ドブネズミが軽妙なステップを踏む。
石像の頭部、半開きの猫の口に向かって、韻を踏もうと努力はしているラップを吐く。
横でみていたハムネ三世が首を振る。
「語彙が古臭っ。しかもWASHIってなんですか」
「別に古くてもええじゃろ!「わし」の発音を変えてみたんじゃがそんなにおかしいか?
……ええい、つべこべ言うならお前がやれ!」
「では、こほん」
どこまでも流行りに乗れないハム平の首魁に代わり、ハムネ三世が猫の前に立つ。
今こそハム源こそがイケイケのアゲアゲだと示すときだ!
「プププッププ、プゥープゥープゥ。
(私がハムネ、トップofトップ)
ぷくぷくぶっぷプゥープゥープゥー
(望みはシークレット、あんたのレコード)」
そう!ボイパとラップのヒュージョンだ!
「ラップって口笛とは違うんじゃぞ?」
しかしドブネズミはボイパを知らなかった!
「それで結果は……通りましたね。
私のラップが功を奏したようです」
「はぁ?採点どうなっとるんじゃ。
なになに、
『一番手は語彙が古臭いうえに要件がわからない、あとWASHIが意味不明のため不合格。』
『二番手は簡潔で要件は理解できるため合格。だがラップの体をなしてない、今後に期待』
なら初めからラップ調とか条件つけるな!
無駄に恥晒したんじゃが!」
ドブネズミが猫の口からぴろぴろと出た採点用紙に地団駄を踏む。
こうして石碑にあった「我は秘境の案内人。道を求める者よ、韻を踏め」という条件を、ドブネズミの羞恥とハムネ三世の口周りの筋疲労を代償に満たした二匹。
猫頭人体像から紙吹雪とともに飛び出てきた秘境への地図と何かの鍵を掴み取ったドブネズミに、ハムネ三世は言う。
「ここまではかつて派遣された探検隊も記録に残しています。問題はこの先です。まずは秘境の周辺にあるという隠し里へ行きましょう。
彼らはとても友好的だと記載がありましたので、食事と寝床を提供していただけるかもしれませんね」
***
「なんかはちゃめちゃに攻撃されとらんか?」
「そうですね」
「友好的な里のはずじゃろ?お前さん他に何か知っとるか」
「いえ、なにも」
「あっ……思い当たる理由がないでもない。」
「そうなんですか?」
***
「なにぃ?半裸と足だけガングロの侵入者だと?矢を放てぃ!里長の権限で許可する!」
「ハルさんワシ許可しとらん〜!」
「おっと三時ですね、外敵は一旦無視します!私のおやつは誰にも渡さない!」
「ハルさん多分それワシのおやつー!」
***
トリュフ畑の芳醇な香り漂うその真ん中で、
13本の縞々がある尾を風に揺らし俯く獣。
「どうして、一匹だけでいってしまったの」
―――リスゴロウ。
かつての友の名前は、トリュフとともに口の中でかき消えた。
次回予告!
先天的なものです!描いてません!
探し物はなんですかー!
無色透明、1cm角、86年前に紛失して……
見つけにくいものですねー!




