ハムゥ〜! その十三!
あらすじ!
墓展覧会に向かうハムネとドブネズミ!
兵カーマハルにてハムネ一世とご対面!
ハムネ一世っていっぱい居たんだね!
「お前がやったのか!」
掴みかからんばかりの勢いでドブネズミはハムネにつめよる。
興国のアニマルであるハムネ一世に対する尊敬の念はハム平であろうとハム源であろうと共通している、それを子孫と名乗っているハムネ三世が冒涜するなど許せない、ドブネズミは義憤を一瞬で燃え上がらせた。
ドブネズミにとって一世は偉大な先達であるというだけではない特別な思い入れのある存在であったこともそれに拍車をかけた。
ドブネズミの詰問に兵カーマハル紹介時の熱を消しハムネは淡々と応える。
「ハムネ二世です」
犯人が目の前のハムではなく既に死んだ者であると知りドブネズミの怒りは萎み、幾分か冷静さと疑問がドブネズミにかえってきた。ハムネが墓の内情を知らせた理由がわからない。ハムネはハムネ二世が墓に複数の種の骨を埋めたと答えた、つまりは一世の墓にあってはならないものがあったということ、ハム原であった二世にとってそれはハム以外の骨に他ならない。そう推測されることはハムネもわかっているはずだ。なのにそれを一番知られてはいけないハム平の首魁をご丁寧に墓まで案内して核心となる質問に答えた。
じっと凝視してくるドブネズミに構う様子もみせずハムネはこう続ける。
「原初の集団の長、その子孫であるあなたに聞きたいことがあります。あなたがハムネ一世をネズミとみなした理由はなんですか」
目を見開き驚愕を露わにするドブネズミ。誰にも漏らしたことはなかった自分の出生をよりによってハムネに当てられるとは思ってもみなかったのだ。惚けたままにハムネに応えるドブネズミ。
「父の手記だ。ハムネ一世はネズミだとそこにあった。」
「見せてもらっても?」
ドブネズミは肌身離さず持ち歩いていた父の手記を無言で差し出した。手袋をはめていた手で受け取ったハムネはペラペラと手記をめくっていく。目が上下に素早く動いていることから読んではいるのだろう。そう経たないうちにハムネは最後のページを閉じてドブネズミに手記を返し、口を開く。
「ハムネ一世が書いたと思われる雑記帳があるのですが、そこにあなたの父と思われる存在の記述があります。推測ではありますがどちらも正史でしょう。ハムネ一世の初めはあなたの祖先であり、その名は私の祖に継がれた。代替わりということでなく実権以外の全てを」
「ハムネ一世はあらゆる学問の道を開いた万能であったがただひとつ、政治に関しては凡才以下だった。それを支えたのがワシの父だと、聞いたかぎりはそういう話だ」
「一世についてこれ以上は私は特に知りません。私が知っていてほしいといったのは一世のことでなくハムハムフードについてなのです」
ハムネは一度大きく息を吸ってからまた話はじめた。
「我々の本能は親兄弟伴侶子どもであろうと縄張りへの侵入を許さない。現在ハムスターが群れで活動できているのはハムハムフードの作用によってです。この円滑な社会はハムハムフードがあってこそなのですよ。
過去三度にわたりこの国では内乱がありましたよね。例外的な三度目を除きどちらも内部分裂で決着が有耶無耶になりました。この内部分裂は戦線が長引くに連れハムハムフードの供給が行き届かなくなったことで起こったものと思われます」
衝撃的事実の暴露、ハムハムフードの作用は今まで公式には発表されていなかった。これは発表できまい、いくら発展のためとはいえ、本能をつくり変えられるとあって抵抗を覚えないものはいないだろう。
これをハム平のトップに伝える意味とはすなわち。
「ハムネお前さんこう言いたいわけか、ハムハムフードなしにはこれ以上の発展も現状維持さえ叶わない、だから認めろと」
「ええ、そして協力しましょう、我々のさらなる発展のために」
ハム源によるハム平吸収の提案…!
ところ変わって塔の内部、倒れ伏す看守とアリークイッたちは崩れゆく塔の内部にてアリークイッ一匹のみで上から降り注ぐ破片を捌いていた。
時間が経てば経つほど落ちてくる破片の数は増え続け、アリークイッの体には傷が目立つようになってきた。看守との闘いで足を負傷したクマハチはこの場から動けない、看守は倒れたままでこの状況を対処できるのはアリークイッだけだ。
「アリークイッさん、もういい!あんただけでも逃げてくれ!」
逃げるよう促すクマハチの悲痛な叫びにアリークイッは構うことなく破片からクマハチたちを守り続ける。だかとうとう一際大きい破片が避けきれなかったアリークイッにあたり倒れてしまった。
「このままじゃ全員あの世行きだ。そんなんじゃオレはウグイス嬢にも超大型新入りアイドルにも、ましてセクシーレースクイーンにもなれない。くっオレのカワイさを全世界が知ることなく終わるってのか。そんなの、そんなの認められるか!オレほどカワイイアニマルが無名のまま散っていくなんて…許せねぇ!」
クマハチの激しい怒りはそのまま莫大なオーラとなり辺りに満ちた。そしてトリュフになった足のことも忘れクマハチは立ち上がり、側に転がっていた看守を抱えて出口まで一歩踏み出した。
あまりに莫大なそのオーラは空気を揺らし、クマハチが踏み出した地面はひび割れた。その一歩で勢いがついたのか、クマハチはドスドスと重低音を響かせながらアリークイッに向かい走り出す。
何度か破片にあたりながらもクマハチの走りはむしろ速さを増して素早くアリークイッを拾い上げた。
そして瓦礫に埋まりつつある出口に体当たりするようにぶつかる、クマハチの運動エネルギーにより辺りに散る瓦礫。だかそれに目もくれずクマハチはただひた走る。外に出ようとも気づいていないかのように走り、走って、ばたりと倒れた。
次回予告!
バレリーナの回転さえもスケーターの回転さえも置いていく、そのターンの持ち主こそ…!
ビターンビビターンビビビターン
サンピエール!落ち着いて!




