レシピを求めて!
こんにちわ!たんとです。
投稿がおそくなり誠に申し訳ございません。
今回のお話しはSクラスのみんなで大冒険をします。
よろしければ読んでみて下さい。
ルーベルクと言う家名と男爵という立場にも少しずつ慣れてきた今日この頃、僕達ルーベルク
家は王都に来てから、忙しい日々を送っていたが、やっとひと段落ついた。
新しい家にリアも父さんも母さんも大喜び。やっぱり3人とも王都で済むことが憧れだったみたい。
そんな家族であるがいまとても重大な問題を抱えていた。
(では、第25回家族会議を始める。)
そんな声が、ルーベルク男爵家のダイニング テーブルにいる3人に向けて発せられている。
(まず議案についてだが、25回目なので省略する。
何か良い案はないか?)
25回にも渡り家族会議の議題に上がりいまルーベルク男爵家を悩ませている問題。
それは
親の仕事問題である。
男爵という爵位を得たルーベルク家ではあるが村から王都へ来たこともあり、今まさに無職なのである。
これは、大問題だ。男爵様が無職なんて爵位をくださった。国王陛下に申し訳が立たない。
そして、あと7日後までに職業を提出しなければ、爵位剥奪もありうるのだ。
本当にどうしよう。全くいい案が浮かばないまま25回も家族会議を重ねている。
今まで様々な案が出されたのは出されたのだが、どれもいまいちなものばかりだ。
そして第25回家族会議も問題解決に至らないまま終わってしまった。
このままでは本当にまずい。また、学園が終わったら、家集合でそれまでにいい案を考えておくようにとのことだ。
今朝は家から学園に行くこともあって、いつもより大分早くついてしまった。
生徒もチラホラしか見当たらない。
教室に入ると、数人生徒がいた。その中に透き通るような水色の髪の女の子を発見した。
(フィアおはよう。)
僕が挨拶をするとフィアは可愛らしい笑顔を僕に向け挨拶を返してくれる。
僕はフィアに今の家の事情を相談することにした。
フィアに一通りの事情を話し終えるとフィアはある案を出してくれた。
(冒険者ギルドに登録するのはどうでしょう。アイクさんのお父様はお強いとききました。)
(うん。それなんだけど。初めにその案が出て、父さんは乗り気で決まりそうだったんだけど、母さんが危ないからダメだってきかなくてね。
それで諦めて他の案を探してるんだよ。)
確かに父さんなら、冒険者ギルドに登録して、モンスターを倒してお金稼ぎをするのは容易だろうが、やはり、冒険者は危険が常に隣り合わせの職業だ。
母さんが心配するのも無理はないと思う。
(そうですか。何かないですかね?)
そんな感じで、フィアと話していると、ある女の子が話しに混ざってきた。
ピンク色の髪の毛を肩まで伸ばしたその女の子は同じクラスで最近はフィアとよく一緒にいる女の子だ。
(なんの話ししてるの?)
(あら、ナノおはよう。今アイクさんの相談に乗っていたんです。)
ナノと呼ばれたその少女は僕のことを鋭い目つきで睨むと棘のある口調で話し始めた。
(あら、首席様でも悩み事があるんですね。)
最近フィアと話しているといつも睨んでくるんだよな〜この子。
(話すのは初めてだね。改めまして、僕はルーベルク リンクだよ。よろしくね。
君は?)
(私はフィルランス ノア。首席様に名前を言えて光栄ですわ。
それでなんの相談なの?)
いちいち嫌味を言ってくる女の子だな。まあ、こういうのもそろそろ慣れたので、気にしないでいる。
僕は首席で入学して、フィア誘拐事件の時も単独で族を捉えたりした。そのこともあって、みんな僕に対しての態度が一歩引いた感じになっていて、今学園で話すこと言えばフィアくらいなんだ。
フィアから、一通りの説明を受け、ノアが考え込んでいる。
しっかり相談に乗ってくれるみたいだ。
フィアは教室に人が集まりだしたのを見計らって、みんなに僕の事情のことを説明しだした。
僕は居ても立っても居られなず、フィアを制しようとするが、彼女は止まらなかった。
だってそうだろ、みんな僕と話したりするときは怯えたり、よそよそしかったり、きっと僕とはあまり関わりたくないんだと思う。
そんな人たちに相談したって、無視されるのが関の山だ。
それなら、初めから相談しない方がマシだ。僕はそう考えていた。
(なんだよ。意外と普通の悩みだな。)
(悩みなんてないやつだと思っていたよ。
意外と普通なんだな。)
(え。アイクくんの悩み相談?混ぜて〜)
こんな感じで、次々と予想外の声が上がる。
フィアは僕の方を見てニッコリと微笑んだ。
そして、気づいたら僕達の周りにクラスメイト全員が集まり、様々な案を出してくれた。
(本当は俺アイクと話してみたかったんだ。)
(私も私も。)
僕はみんなにお礼を言って、案をメモっていった。
フィアに後でお礼を言わなきゃね。
(お店出すってのはどうかな?料理屋さんとかは?)
(お、それいいな。)
(私面白い話聞いたことあるよ。なんでも、東門から出て、まっすぐ進んだところに、廃墟があるんだけど、そこはずっと昔にご飯屋さんですごく美味しいって評判だったみたいなんだ。
それで、そこの料理のレシピが全て書いてあるレシピ帳が廃墟のどこかにあるって話し。)
(あ、それ私も聞いたことある。)
(私も私も)
料理屋さんはいい案だと思っていたし、いいんだけど、どうもレシピ帳の話は胡散臭いんだよな。
でも、みんな聞いたことがあるなら、少しは信じられるかもしれない。
裏を取っておくか。
(ハクちゃん。今の話し聞いてたでしょ。廃墟って本当にあるの?)
(うん。あるよー!)
となれば行ってみるしかないね!
(じゃあ、そのレシピ帳探し学院が終わったら行ってみるよ。)
僕がそういうと、
(え。私も行きたい。)
というのがみんなに伝染したのかクラス全員で行くことになった。
話しがひと段落ついたところで、ベザルク先生が教室に入ってきて、みんな散らばった。
学院が終わり、僕達Sクラスは全員で東門を出て、森に入ろうとしていた。
みんな武装をして準備万端って感じだね。
森にはモンスターも出るので、完全武装で来たみたいだ。
案の定モンスターが出たが魔術学院のSクラス。いわゆる精鋭なので、軽くモンスターは屠られていった。
こんな感じで一団は順調に進んでいき、ついに廃墟の前にたどり着いた。
柵に囲まれた廃墟は外に椅子とテーブルが置かれていたり、二階建ての建物に煙突が付いていたりと、元飲食店を連想させる。
本当にこんなボロボロの建物にお目当てのレシピが存在するのか。
僕達は柵をくぐり中へ入っていく。建物の中は当時使っていたであろう椅子やテーブル。厨房まで、残っていた。
クラス全員で目当てのものを探してはいるが一向に見つからない。
一階と二階それぞれくまなく流したが目当てのレシピ帳は見つからなかった。
やっぱり噂はでまかせだったんだな。
そう、みんなも口々に言い始めた。
(ちょっと待って、あれ何?)
そう声を発したのはノアだった。ノアは一階の四角のうちの1つを指差している。
そこに目を向けると、なにやら、丸いボールのようなものが丁度角にある。
僕はそれに近付きそのボールのような赤色の球体をひっぱってみる。
硬くてなかなか取れない。僕は思いっきり足に力を入れて、引っ張ったすると
ポン
という音を立てて、丸い球体は角から取れた。
次の瞬間ゴゴゴゴゴという音を建物が揺れ出す。
先ほどまで厨房のあったカウンター席が急に爆発して、そこの下に階段が現れた。
(おお〜!きっとあそこにあるぞー!)
みんなワクワクが止まらないみたい。
でもこんな仕掛けまであるなんて、本当にここは料理屋さんだったのかな?
僕達はみんなで罠がないかを確認しつつ階段を降りていく。
階段を降りると、そこには丁度Sクラス全員が入れるくらいの広間があった。
あたりを見渡してもそこは行き止まりで先に進むことはできないみたい。
そんなことを考えていると、急に地面が光り出して、魔法陣が出現した。そして次の瞬間。
クラス全員転移させられたのだ。
みんな突然のことで、びっくりして、落ち着かない様子だ。
転移先の状況を確認する。
周りは大きなゴツゴツした。岩で囲まれ、出口は見当たらない。
そして、さっきの階段を降りたところにあった。広間の5、6倍ほどの大きさの空間が広がっているのだ。
程なくして、広間の中心に、またしても魔法陣が浮かび上がった。今度はさっきの転移の魔法陣ではないらしい。
奇怪な咆哮とともに一体のモンスターが現れたのか。
推測するに魔法陣は召喚の魔法陣だったらしい。
耳を抑えても、痛くて涙が出そうな奇怪な音を発している。
はじめ見るモンスターのため透視を使ってみた。
名前 コカビエル
種族 堕天使
レベル 443
スキル ???
うわつよ〜
以前戦ったソウルイーターよりレベル的には少し良いくらいだ。
僕1人だけならなんとかならなくもないけど、今はクラス全員がいる。
状況的にはかなり悪い。
どうしたものかと考えていると、ノアがコカビエル向かって突進していった。
(私が倒してやる。)
そんな掛け声とともに、ノアはコカビエルの側面を取ると、ファイアーボールを叩き込んだ。それを合図とするかのように、クラスのみんなが一斉攻撃を開始した。
それぞれが最大火力の魔法を放ち凄まじい爆炎でコカビエルは見えなくなった。
さすがはSクラス。魔法の威力がみんな桁違いだ?!
誰もがやったか?と思ったが、煙が収まるとともに各々の顔が驚愕の色に染まる。
コカビエルは無傷で不敵な笑みを浮かべているのだ。
コカビエルは今度は自分の番だと言わんばかりに、鋭い爪を1番近くにいたノアに振りかざした。ノアはそれを躱す。また躱す。レベル400越えの堕天使だ。ノアは上手くかわしているように見えるが攻撃はかすっている。しかもわざと急所を外した攻撃をしている。
ノアはコカビエルに遊ばれているのだ。
ノアへの攻撃が次第に早く深くなっていく。そして彼女のスピードも先ほどまでとは比べものにならないくらいに落ちている。
このままではいずれやられる。
(アイクさんノアを助けてあげてください。)
フィアが僕の方を掴んできた。手が震えている。
当然僕もノアを助けるつもりだ。
(うん。任せてよ)
そろそろかな?!僕は身体強化の魔法をかけてもらい。足に魔力を貯めた。
そして、ノアとコカビエルめがけて、突進していく。
その時ノアの足元に巨大な魔法陣が出現した。
遅かったか。
僕が今まで動かなかったのには、理由がある。
エスパースソードを使うための魔力を貯めていたのだ。
魔石をいくつも割り、全ての魔素を取り込む必要があった。
だが、一足遅かった。
この攻撃はかわせそうにない。僕は魔法陣の中に飛び込むと、ノアを魔法陣の外へと突き飛ばした。
彼女が魔法陣から、外へ出た瞬間。
天井にも魔法陣が出現し。雷が無数僕に向かって、降り注いだ。
次に足元の魔法陣が起動して、炎が僕を包み。丸い火の玉のようなものが僕の周りを浮遊し、身体に当たった瞬間連鎖のごとき爆発が発生したのだ。
防御魔法を5枚貼ったのだが、雷と爆発によって全て割れ、攻撃を食らってしまった。
身体が熱い。頭もガンガンして割れそうだ。力も入らないし、立ち上がれない。
まだ、生きてはいるみたいだ。そのくらいは認識できる。
(アイクさん!
皆さん援護を)
そんな声とともに、フィアが僕の元へ駆けつけてきた。僕の腋の下に手を入れて、後方へ退避させている。
その間にほかのみんなはコカビエルに攻撃をして意識を集めてくれている。
後方に離脱した僕はフィアから回復魔法をかけてもらっていた。
その間にも、何人ものクラスメイトたちが攻撃を食らっている。
僕は動ける段階まで回復したのを見計らって、すぐさま攻撃態勢に入る。
エスパースソードを抜き魔力を充填する。
剣が光に包まれ出した。
魔力充填確認。規定値オーバー。
スキル発動します。
そんな声とともにエスパースソードは七色の光を放った。
討伐目標前方確認しました。
オートモードで討伐します。
そんな掛け声とともに、身体が勝手に動いていく。操られているような、かといって自分の意識下で身体が動いているかのような感覚。
身体はまだボロボロなのに、剣から溢れ出す魔素が身体を包み込んでくる。
コカビエルの意識が僕に向いた。凍てつくような殺意を感じる。
コカビエルは僕を本気で殺しにきている。
僕の足元にいくつもの魔法陣が出現する。だから、攻撃にあたることはない。魔法が発動するまでに魔法陣の外へ動いているから、コカビエルは僕を補則できないでいた。
コカビエルは、攻撃を諦め体の周りにシールドを張ってガードしようとしている。
僕はコカビエルの射程範囲にはいると、シールドごと切り裂いて浅くコルカビルも切り裂く。
コルカビルは後ろにバックステップを取ったがもう遅い。
エスパースソードがコカビエルに吸い込まれるように真横から時空ごと切り裂いた。
コカビエルは2つの亡骸となって、地面に落ちた。
そして僕の意識もゆっくりと遠のいてった。
目を覚ますと見慣れた天井で安心した。そこは学院の寮。僕の部屋だ。
(あ。目を覚ましましたね。よかったー!)
僕が横を向くとそこにはフィアとノアがいた。
(みんなは?)
(無事ですよ。あの後みんなでアイクさんを連れて学院に戻ってきたんです。)
(そうか。よかった。)
(あのさ。その、た.た助けてくれてありがとう)
先ほどまでまで話さなかったノアが僕にお礼の言葉を言ったのだ。
(その、アイクがいなかったら、私死んでた。)
彼女は照れ隠しのように俯き加減で話している。横になっている僕からは丸見えだけどね。
(いや、ノアが無事でよかったよ。)
(ノア。お礼が言えて良かったですね。)
ノアはいっそう俯き出す。
(ところで、レシピ帳はあったの?)
(はい。モンスターを倒した後、奥の隠し扉が開いて、そこに一冊の紙の束がありました。)
そう言って、後ろからその紙の束を出したフィア。僕が中をみるとそこには様々な料理のレシピが書かれていた。あたりだね!
(これ、貰っていい?)
(もちろんです。)
僕はそのあと一度家に戻り、今回のことをみんなに説明して、料理屋さんを開くことを提案した。
父さんも母さんもやる気で本当に良かった。
これから僕もリアも出来るだけ手伝いをしなきゃね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
Sクラスみんなでの大冒険どうでしたでしょうか。
新しいキャラも登場しましたね。
次回も間隔開けずに投稿できるように頑張りたいと思います。
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