間話・二十九話後談 『その後の可愛いマリカ』
《前書き》
……普通にただの余談になったので、没……にしようと思ったけど。
マリカが可愛く書けたので公開。なので、ストーリーだけおいてぇんだよ! 馬鹿野郎っっ! て、人は読み飛ばして全く問題ありません。
スーッスーッという、マリカの浅い息遣い。
ムチムチと柔らかく扇情的な身体。
……それが今、目の前にある。
タレムは、マリカを抱きながら、ベッドに入り、就寝しているのだ。
(何でこうなったんだろう?)
「タレム様……まだ、起きておりますか?」
「……ん? 起きてるよ?」
普段よりもマリカが密着するせいで、その魅惑的な身体の全容が手に取るように分かってしまう。
押し付けられる乳房が、極上の心地なのは当然として、感じる大きさもまた、極上な代物だった。
所謂、隠れ巨乳と言う奴だろう。
(今更だけど、マリカちゃん……。着物や修道服で隠されていただけで、容姿だけじゃなく、肉体も最高級クラスだよ……)
今までは、暗いのもそうだが、何よりもマリカの存在に興奮してしまい、気付かなかった。
……逆に言えば、ようやくマリカのアプローチに慣れてきて、落ち着いた心持ちで分析出来る様になったと言うことだ。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ……。
「うふふ」
だからこそ、余計に、心臓がバクバク音を鳴らしてしまう。
そんなタレムに微笑して、ぐいっと、更に密着したマリカは、おへその辺りをくすぐったそうに動かして、
「今夜も元気一杯で、ございますね」
「……うっ」
甘い息を吐きながらそう、耳元で囁いた。
「……ごめん。でも、コレばっかりは、マリカちゃんといると、勝手になっちゃうんだ」
「いえいえ。女冥利に尽きると言うものでございます。ですが……」
――ぎゅぅぅっ。
前に一度、処理までしているマリカは、動揺することもなく、タレムを抱く。
ひたすら抱く。
それが、マリカにとって一番の安らぎを得る方法なのだから仕方が無い。
「コレでは、上手く休めません」
「そりゃそーだろうね。……まあ、嫌なら自分の部屋で寝ることだ」
「タレム様がわたしを嫌いと言うのならば、そういたします」
「っ! 言わないよ! むしろ大好きだよ! ……くぅ」
「ふふ。ありがとうございます♪」
抱き着けば抱き着くほど、大きく硬くなるタレムの一部が、マリカのおへそをぐりぐり押し付けている。
……不快。という事は無いのだが、もっとタレムの身体に密着し、その体温に包まれたいマリカとしては邪魔でしかない。
そして、タレムも好きな女の子に、そんなこと強要する性癖は無かった。
「もう……分かったよ。ちょっと、外出てて」
「いえいえ。その必要はございません……よっ」
――ズンッ。
諦めて、処理しようとするタレムだが、マリカは引き止めると、むずむず脚を動かして、大きくなったソレを太股の内に入れて挟んだ。
――ぎゅむにゅん。
そのまま、向かい合わせで密着し、タレムの腋の下を、両腕で縦に噛み合わせるように背中を絞める。
重なる顔は、顎を右肩に置くことで最大限に密着面積を増やした。
お互いに、下も上も、余すことなく人肌がくっついている状態だ。
……体温を熱い位に感じてしまう。
「――ッ!」
「ふふ、コレで、大丈夫でございますね」
凄まじい肉厚の圧迫感がタレムを襲い。
それに伴い背筋に、電気が如く、何かが駆け抜けた。
……それを俗に、人は、快感と言うのかも知れない。
――更に、
「ま、ま……ゃん」
「っん? んふふ。タレム様。汗をかいておりますよ?」
――ぺろっ。
「はぁうっ!!」
マリカは、首筋に溜まったタレムの汗を、舌で舐めとった。
――ヌルヌル。ヌメヌメ。
その、べとべとな感触は、普通なら不快なのだが、マリカのモノだと思うと……思考が天に登っていく。
甘い匂い。柔らかい身体。重厚な乳房。体液の接触。
ムチムチの太股に挟まれて尚、腫れ上がる……男の証。
……理性が持たない。
「マリカちゃん。それはヤバい……ヤバいって、色々な意味でピンチ。タレム様、ピンチだよ!」
「……あ、ここも、汗が凄い。……ぺろり。ここも、ぺろぺろ。あっ! ここも、ペロペロペロ……」
「だめ! ダメだって! ……どこ舐めてんの! っていうか! そういうの、今日から無しなんでしょ?」
「あっ! ……ふふ。タレム様の反応が可愛くて忘れておりました。今日はわたしが癒される番でございますね」
「可愛いって……おいおい。女の子に言われる台詞じゃないよなぁ」
「ふふ。なぜかタレム様には、気持ち良く為ってもらいたいと、思ってしまいます……。……っ」
タレムの耳元で囁かれる艶っぽい声には、残念そうな色があった。
……本当に、癒されることより、癒すことがマリカは好きなのだろう。
そこは、修道女の性なのである。
「ふふ」
――久しぶりにマリカは、心からの安らぎに包まれて笑えていた。
……やはり、タレムの言う通り、今までは無理をしていたのだ。
「……わかりました」
「……ん?」
「コレからは、タレム様にだけは……甘えさせて頂きますね」
愉悦を感じる自分の心に素直になって、マリカはそう呟いた。
……だが、
「タレム様はわたしの……尊敬するお方。何より、花婿様……」
「――ッ!」
「……役、で、ございます」
「役……か」
「はい。修行の身、故。花嫁として、自分を磨かなければなりません」
「……」
「なので、タレム様も花嫁に甘えてくださいまし」
「……ん? 甘えるって? これ以上……何を?」
「ふふ、もっと、己を……欲望をさらけ出してくださいまし」
「……欲望。(ごくりっ)」
「どんな事でも受け止めますので。それが、わたしの修行となります」
「修行……(ムズムズ)」
「……それとも、わたしは、欲情するほどの価値もありませんか?」
「そんなことは無い! ……って、分かっていってるでしょ」
「ふふ、はい。大きいので♪」
「……おっふぅ」
「…………。タレム様……早く。これ以上、わたしだけ、恥ずかしい思いをさせるお積りで、ございますか?」
――プチリ。
潤んだ瞳のマリカにそう言われて、タレムの中で理性が消し飛んだ。
だから、
「マリカちゃんッ!」
「あはっ♪ タレム様、激しい♪」
タレムはマリカの胸に貪り付いた。
……ずっと、そこに顔を埋めたい衝動があったのだ。
そんなタレムの背中をマリカは、丁寧に撫でながら、自らもタレムに抱き付いて、
「こういうときはマリカと呼んでくださいまし」
そう言うのであった。




