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四十二話 『夢を語って肯定されるという喜び』

 アークス・クラネットによるシャルル・アルザリア・シャルロット王女暗殺未遂事件から早二週間。

 十年前と同じく、犯人の失踪や、シャルル王女の権力不足で、事件の真相は帝国の闇へと葬り去られたが……

 

 今回はシャルルの裏工作が功を奏し、事件当時、彼女の為に動き守ったもの達が称賛された。


 先ずは、リン・ハットリ千騎士長。(ござるだよ) 事件最中、シャルルを最も守った者としと第一功積者となる。


 彼女と彼女の騎士団には、金一千が贈呈され、爵位と騎士階級が一段階上がった。

 つまり、お庭番騎士団員、百人が全員騎士に昇格。リンも二千騎士長に昇格したのだ。

 彼女の昇格は、二千騎士長に昇格予定だったアークスの代わりとも言える。


 次に、騎士イグアス・グレイシス。王女暗殺をいち早く悟り、的確な対象を行ったとされ、第二功。


 彼には、金五百の贈呈と、一気に百騎士長への昇格が言い渡される。

 これは、英雄グレイシスの名と、事件を通して、イグアスの実力を知ったクラネット公爵が強く働きかけた為である。

 

 そして、タレム・アルタイル騎士見習い。王女暗殺を防ぎ、敵を撃退したとして、第三功。


 金百と、晴れて騎士の爵位を授かることになる。

 タレムの評価はシャルル王女が不満をあらわにするほど、低いものだったが、それは権力を失っているアルタイルと言う名前、何よりタレムが銀髪碧眼の元異国人であると言うことが大きい。


 ――そんなこんなで、

 

「すまぬな……タレム。私の力が及ばんばかりに」


 王宮・シャルル王女専用執務室で、お姫様ドレスを着ているシャルルが、正騎士の正装をしているタレムを抱きしめながらそういっていた。


「良いよ。別に、俺は、功績の為にシャルを守った訳じゃないからさ」

「うむ……それは、そうなのだろうが……悔しいのだ」

「フッ。シャルが悔しがってくれるから、俺は全然悔しくない。むしろ嬉しいね。これでようやく、俺の夢が始まった」


 タレムはその場所で、王女シャルル直々に、騎士の叙任式を受けていた。

 もちろんシャルルとタレムの仲があってこその特例であり、暗殺阻止が王貴族界で有名なり二人の関係をこれまでのように隠す必要がなくなった為だ。


 通常は、粛々と行われる叙任式だが、何せ王女の執務室。シャルルとタレムしかいない叙任式は式典という名前だけ借りた様なものだった。

 

「夢……か。ふふっ。そちの夢はなんりなりか?」


 そんな場所で、抱き合っていたシャルルがニヤリと微笑んでそう言った。

 それにタレムが、シャルルの腰を抱く力を強めて言う。


「俺の夢は……っ。俺の理想のハーレムを作ること! シャル……君を娶ることだよ?」

「うむ♪ よい夢だ」


 裏表のない満面の微笑みでシャルルは、


「だが、私の心はとっくに、そちに嫁いでおるぞ?」


 そう言って、タレムに唇を重ねていた。

 そして、


「タレム。頭を下げよ!」

「……ハッ。王女殿下」


 二人は表情を変えて、騎士の叙任の儀を始める。

 これはいくら二人の仲が良くても、真面目にやらなければいけないこと。

 何より、タレムの夢の第一歩、シャルルが真面目にやりたかった。


「タレム・アルタイル。帝が後継、シャルル・アルザリア・シャルロットが、貴様を帝国騎士として認めよう」

「ハッ! 有り難き!」


 シャルルは言いながら、準備していた騎士剣をタレムに手渡す。

 普通は代役にするのだが、帝国王家の血縁から、騎士剣を授かることによって、帝国騎士は真の帝国騎士となる。 

 これは、帝国騎士を目指す者達にとって特別な意味のある儀式なのだ。


 タレムもそれを解っていて、誇らしい気持ちでシャルルから騎士剣を受けとった。

 この受けとった剣こそが、タレムが騎士である証になる……


「って! あれ? なにこの純金の輝き? 重厚な重さ……いや。銀色?」


 色々な思いを馳せて受けとった剣は、銀色と金色に交互に輝く見たこともない剣であった。

 少なくとも普通の騎士に渡される騎士剣ではない。


「うむ♪ そちと私を模した剣だ。急いで造らせたんだぞ?」

「いや……え? じゃなくて、この剣。素材は? 等級は?」

「む? 銀鉱石(ミスリル)金鉱石(ゴールド)の特殊配合らしいな。等級は……超特等級(超強い)。名を、『シャル・カテーナ』」

「カテーナ!?」

「うむ。シャルロット家に代々伝わる宝刀に、ミスリルを加えて打ち直したのだ。名刀なのだが……不服か?」

「いや……」


(名刀過ぎるんだよ! 何で、騎士階級になったばかりの俺に、千騎士長クラスと同じ武器等級を渡してくれるんだ! アホか? シャルってアホなのか!? ……まあ」


「シャルが良いなら良いけどさ。貰っておくよ」

「うむ。それを私だと思って大切にしてほしい」

「大切過ぎて使えないよ!?」

「ふふふっ。たわけもの」


 そこでシャルルは表情を柔らかくして再びタレムの首に腕を回して抱き着いた。

 そのまま耳元で囁く。


「タレム……夢を叶えるのだ。私を必ず娶るのだ。共に……な」


 言って、シャルルはタレムに唇を近づける。

 そんな甘い香に誘われてタレムもシャルルに唇を近づけて、


「うん……必ずシャルを俺のハーレムにする」

「ふふふ、うむ。信じて待っておる。私はそちのハーレムに入りたいからな。そちが狂うしい程好きだ」

「俺もシャルが好きだよ」

「「……」」


 ……キスをした。

 ハーレムの王を目指す者。騎士タレム・アルタイルの始まりである!

《一章、見習い騎士編 完》


 とりあえず、最後まで、読んで頂きありがとうございました。

 二章に行くか行かないかは、感想とか反応を見て、後で決めるとして、ここで一旦完結です。

 (頭の中では、大まかだけれど二十章までプロットがありますぜ! ……絶対に辿り着かない気がするけれど)


 今回はハーレムものなので、バトル描写をライトにして、日常編・会話を多目で書いてみました。

 このシリーズはこのノリで書きたいな。

 さて、主人公タレムの魅力が伝わってれば幸いです。伝わってなければどうしようもない。


 因みに、名前の由来だけ……時間を操るからタイム。ハーレムを目指すからハーレム。合わせてタレム。タレムのハーレムです。

 はいダジャレ。


 当時人物過去最多な今回、ちゃんと伝わっていたら良いですね。


 そんな中でも、一章はシャルルにスポットを当てて書きました。

 別に他のヒロインがシャルルに負けてる訳じゃないよ? 裏設定はみんな同じぐらい頑張った。

 二章行ければ、次はおそらく、マリカにスポットを当てます。そして、一章と違いゆるゆる日常編です。

 晴れて騎士になったタレムが次にするのはもちろん!! ムフフ♪


 アイリスはラスボス。というか闇主人公。


 そして、騎士と魔法の話を書いていた筈なのに何故か、忍者が暴れまくって、忍法を使いまくっていましたね。

 因みに、忍法は魔法と違って種も仕掛けもある技ですので。彼女が一番すごい。


 ま、こんな所でです。

 本当に最後までありがとうございました。


 どうか、感想・評価・ブクマを残して言ってください。


 ……何故かシリアスちっくになったけれど、次はマリカにウエディングドレスを着せます。

 幸せ生活書くぜ! ……人気でてたらだけれど。

(というか、人気出てる奴見ると憎悪が沸くという末期症状。ちょっとメンタルやられています)


 ――追記。


 やっぱり、二章までは書きますね。

 この話、騎士編。日常編。の二つで一つなので。

 まあ……そこから先は、ちょっと厳しいですが。

 

 読まれない作品を書くのは精神的にも肉体的にも辛い。……けど、キリの良いところまでは書く。

 最低限、読んでくれる読者様への感謝として。

 因みに、二章は、現在、執筆中で半分くらいまでは行っているので、多分、仕上がると思います。


(僕の場合。五万文字くらい書くと、完結までイケる割合が高いのです)


 とか、言っててエタッても怖いので、完結表示にしておきますが。

 どうか、応援して頂ければ幸です。

 ……あ、今のところ結構、ユルユルで書けていますよ。……流石、日常編。


 ――さて。完結ブーストを楽しみにしつつも、どうせ、いつも通り何も無いんだと諦めつつ筆を置きたいと思います。

 (……せっかく、ここまで読んでくれたなら評価を残して行って欲しいなぁ)

 下にスクロールして、評価欄をカチカチっと……て。

 感想欄や、レビュー欄まで書く人は僕よりも優等生(笑)

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