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十八話 『敗北王って呼ばないで』

 ゆっくりと、タレムは、腰から《ライト・エンペラー》を抜き、眼前の黒騎士を見つめる。

 タレムの魔力に反応し、淡い黄色に発光するライト・エンペラーを、両手で真正面に構え、ジリジリと距離を詰めていく。

 ……間合いの取り合いだ。


「……」

「……」


 黒騎士も、油断なく、ソレに応じ、両の手に装備したレイピアを交差して持ち、集中力を高めていく。

 ……嵐の前に訪れる沈黙。

 その静ずけさの中、周りを取り囲む、白銀騎士団の兵士達は、青い顔で唾を飲み込んで、ただ呆然と成り行きを見守っている。

 兵達の瞳に宿るのは、タレム……騎士団長に対する、信頼ではない。

 ……むしろ、鬼のように強かった、副団長ノーマを倒され。今更、タレムが来て、どうなるというのか……というような、疑心が強い。


(《敗北王》……か。いまいち信頼が勝ち取れてないような。まぁ、兵達が逃げないだけ、愛されては、いるのかな……っと)


 ――来る!


 タレムが、黒騎士の攻める気配を敏感に感じ取った瞬間、黒騎士の姿がかき消えた。

 ……ノーマを下した、駿速の技だ。


「####――ッ!」

「ふっ……」


 間合いの取り合い中に、いきなり攻撃に出たということは、黒騎士はタレムの力が自分より下だと、見切りをつけた……ということ。

 端的に、タレムは弱いと言われたのだ。


(ったく……どいつも、こいつも、まぁ、間違っちゃ、いないけど、な)


 実際、タレムは、ノーマのように、黒騎士の駿速攻撃と、真っ向から競えるような技は、持ち合わせていない。


 ――だが。


 ……駿速に対応する手段がないとも、言ってない。


 タレム、唯一の、デメリットがない魔法、《光速思考》……発動。

 思考速度を、百倍速にする魔法だ。

 ……これで。


 普通なら目で捉え切れない、時間を置き去りにして移動する、黒騎士の姿が良く見える。

 一歩目で、地面を強く蹴り、超低空を飛びながら迫ってくる黒騎士がスローモーションで。

 もちろん、時間を止めている訳ではないタレムの動きは、黒騎士以上に遅くなっているのだが、


(やっぱり……ゴザル、よりも、断然、遅い)


 いつも、もっと早い、相手に特訓をしているタレムは、慌てず、騒がず、黒騎士に合わせて、重心を移動し、片足を後ろに下げた。

 俗にいう、半身の構え。

 そこから、ライト・エンペラーを振りかざし……振り下ろすっ!


 ――ぎぃんっ!


「――ッ!?」


 攻撃速度自体は、タレムの方が、何倍も遅いのだが、攻撃を完全に見切って放たれた一撃は、超高速移動中の黒騎士には、攻撃されると、解っていても、躱せなかった。

 ライト・エンペラーの重い一撃が、黒騎士の背に激中し、湿地帯の土に身体を埋める。


「悪いな……。一応、俺。不名誉だが《敗北王》って、二つ名持ちの騎士なんだ。そこら辺の《正騎士》と一緒にしないでほしい」


 ――うぉぉぉぉぉぉっ!! 敗北王! 敗北王っ! 敗北王ぉぉぉぉっ!


「こら、敗北王は、やめろいっ!」


 途端、一気に沸く、白銀騎士団の兵士達。

 ……調子の良い、連中だ。


「ツヨイ……ナ。《ハイボクオウ》……ッ!」

「だから、敗北王って言うんじゃねぇぇって――ええッ?」


 殆ど自業自得だが、黒騎士に、騎士名を口にされ、憤慨する。

 そんな、タレムが驚いたのは、アレだけの気持ちがいい一撃を入れたのに、意識があった……からではない。

 戦場であろうと、不殺を貫くタレムは、もともと、峰打ちで攻撃を放っていた。

 敵の異様な打たれ強さは、初日の夜、《アイリスの筆卸し》の時に、嫌と言うほど、解っている。


 それでも、タレムが、驚いた理由……それは、


 ボロり、ボロり……


 タレムの攻撃で、黒騎士の鎧が、破損し、その姿の一部が露出した。

 絹の如く、滑らかなで玉のような白い肌、小さく、だが、確かに膨らでいる胸元……そして、割れた兜から垣間見えた、端正な顔立ち。


「超絶美少女!?」


 そう、女だったのだ。

 全身を黒甲冑で包んでいたのが、嘘と思えるほど、純白の髪に、大きく鋭い翡翠の瞳。

 浮世絵ばなれした、その容姿は、帝国一の美女と言われた、マリカよりも……。


「ねぇ。君、俺と結婚しない? 可愛がってあげるからさ」

「キサマッ。ワタシを、愚弄ッ! スルナッ!」

「してないけどッ!?」


 思わず、顔が緩んで出たタレムのツッコミに、黒騎士……否、最早、白騎士が、レイピアを横に凪いだ。


「うぉぉっと……美女を前にすると、我を忘れちゃう、悪い癖だ」


 一瞬、呆けてしまった、タレムだが、咄嗟に、飛下がり、顔を引き締めて、再びライト・エンペラーを構え直した。


「――煩悩滅却! 俺には、マリカちゃん。シャル。それにアイリスちゃんがいるんだっ。白枠は、シルが居るし……落ち着け、俺のハーレム欲望っ! やばい、戦争のせいでしばらく、発散してないから、いっきに、股間が……くぅっ。貞操帯外してくればよかったぜ。……痛てぇ」


 いや……持ち直したのは、顔だけであった。

 そんなこんな、お馬鹿なことをしている間に、白騎士がサッと立ち上がる。

 しかし、受けたダメージが大きく、レイピアを地面に差して、それを支えにしていた。


「……ハイボクオウ。オマエ……ワタシと同じ、匂いがするナ!」

「いや、いや、流石に、そんな砂糖菓子みたいな女の香りはしないだろう……。俺の男らしい匂いが好きって、妻も言ってくれてるし……」


 ――剣からダ!


 ザッっと、素早く、右手でレイピアを抜き、湿った土を舞上げなら、切り上げ。

 それを、タレムが躱すと、流れるように、くるりと腰を回し、左手のレイピアを回し斬り。


「うぉっとっ」


 これも危なげなく、タレムは回避。

 白騎士は、攻撃の流れを切らず、地面を蹴り、ブワッと飛び上がると、上空から、体重を乗せた、振り下ろし。


 三連激だ。


 ギィンっ。


 魔法《光速思考》を発動しているタレムは、全てを見切り、最後の一撃は、ライト・ケンペラーの刀身で受け止めた。


「キサマより、さっきの長剣使いの方ガ、剣才があっタ」

「……まぁ。俺は、《魔法はんそく》を使っているからな」

「――ワタシの剣を受けル、キサマの剣……数百、否! 数千年の時の積み重ねを感じルッ」

「……っ!」


 おもったよりも、流暢に話す、白騎士の言葉に、タレムは、聖都で繰り広げた、《ルシファー》との死闘を思い出す。

 確かに、あの戦いで、時間に換算すれば、数千年近く、剣を振るうことになった。

 ……それを、この短い時で、見破られたのか。


「ニンゲンが、その剣を習得することナド不可能。キサマ……《妖精族トモガラ》カ!」

「期待させたなら、悪いけど……俺は、人間だ」

「……ナラバ。ナサケナシ。シネェェッ!」


 再び、攻撃を再開し、白騎士が舞を舞う。


「####――ッ!」

「何言ってんのか、わかんねぇぇよッ!」

「フ、《双剣千舞ソウケンセンブ》ダッ!」

「わざわざ、ありがとう。愛しているっ!」


 白騎士は、攻撃の威力より、速度重視の戦略だ。

 連舞の回数が増えれば、増えるほど、速度が増していく。

 いくら、百倍速で観られるタレムが、最適解で、応じていても、その早すぎる動きに段々と、対処が間に合わなくなっていく。


 ざくり……ざくり……。


「クゥゥ」

「解ルゾ。キサマとワタシの剣量は互角――ナラバ!」


 徐々に、タレムの身体が刻まれていく。


 ――更に。


「《土の精霊よ・岩弾となって・我が敵を貫き給え》!」


 白騎士が呟くと、剣舞で、舞い上がる土が、空中で滞空し、一カ所に集まり、小さな塊となる。

 ――そして……。


「おい……それって、まさか――」

精霊術エレメント・マジック、《岩石弾》――《起動バースト》ッ!」


 誰の手も、何の力も、与えられることなく、タレムに狙いを付け、超速度で飛弾する。


「――ですよねぇぇッ!」


 連舞だけで、手一杯なタレムに、その《岩石弾》は避けられなかった。


 ズドンッ!


 右肩を、貫かれる。

 貫通力が高く、傷口は貫通し、逆に血液がドバドバ、漏れてしまう。


「痛ってぇぇっな! ……俺は、戦闘中の回復なんてできねぇぞ」

「《風の精霊よ・風刃となって・我が敵を切り裂き給え》」

「……おい。冗談……だろ?」


 今度は、シュルシュルと大気の風が収束していき、竜巻の様な、それでいて手裏剣のような、刃が形成される。

 ……もちろん、これも。


「《烈風刃》――《起動》」

「ちょっ……個人、能力スペック高杉さんですかっ!」


 自動で、タレムに向かって飛んでくる。


「巫山戯んなッ!」


 咄嗟に、タレムは、白騎士の剣舞を弾き飛ばし、真後ろへ飛ぶ。


 ザザザッ!


 その瞬間、タレムの居た場所に、《烈風刃》が炸裂し、地面に深く、刀傷を残した。

 それを見て、タレムは背中に汗をかく。


(ちょっと、まずいぞ……剣の腕が千騎士……いや、二千騎士クラス。だが、こっちは別に良い……けど)


「《水の精霊よ・水刃となって・我が敵を切り裂き給え》――《雷の精霊よ・雷槍となって・我が敵を穿ち給え》――《炎の精霊よ・炎弾となって・我が敵を貫き給え》」


(こっちの、摩訶不思議がヤバい! 能力の詳細が全くわかんねぇ。から、対抗策がうかばねぇ)


「……おい、おい、おい。能力は、一人に付き、一つがお決まりだろうがぁぁぁぁッ!!」

「《流水刃》――《電雷槍》――《火炎弾》――」


 ――《起動バースト


 途端。

 タレムをめがけて、湿地帯から染み出た水が、戦場の何処かで発生した電気が、炎が、どこからともなく収束し、刃に、槍に、弾丸になってタレムへ襲い掛かった。

 ……しかも、そこで終わらない。


「精霊双短剣技! 《双剣瞬舞ソウケンシュンブ》!」


 白騎士の姿がかき消えた。

 最初の、駿速攻撃技だ。


「五属性攻撃とか、どこのゴザルだ。クソ。流石に頭が追いつかねぇ!」


 四段構えの、豪華戦術。

 ……確実に、捌ききれない。


 そう、判断したタレムは、仕方なく、切り札を切る。


 ――《時間停止・世界》。


 世界の時間を静止し、敵の攻撃、全てを無力化。

 乱戦となる戦場で、使用後、行動不能になるこの技は、リスクが大き過ぎるが、手加減して勝てる相手ではなかった。

 ……流石は、《正騎士》や、ノーマを、退けただけはある。


 冷や汗を欠きながら、静止する攻撃を縫って進み、同じく静止している白騎士に足を掛けて転ばせた。

 そのまま、持ってきていた、ミスリルの超合金製糸で手足を拘束してしまう。


 ――《時間停止・解除》


「――ッ!」

「悪いな……決着……だ。おとなしく、しててくれ」


 時間停止の世界を知らない、白騎士は、突然の拘束に声を失う。

 ……だが、すぐに、状況を理解して。


「キサマっ! ドコマデモッ! 何故、コロサナイ!? 辱めは受けんゾ!」


 手心を加えられたことに激怒する。

 それも、そのはずだ。

 白騎士にしてみれば、既に二度。タレムに命を取られていてもおかしくない場面があった。


 一度目は、最初の攻防。……その時は、タレムの失策だと、疑った。

 しかし、二度目の今は、拘束する手間があるのなら、明らかに、殺せた筈である。

 戦場で……それを、されなかったということが、精霊族の戦士として、どれだけの屈辱的なことか。


「別に辱める気はないよ。美少女なら特にね。俺、フェミニストなんだ」

「――なら、何ガ、目的ダ! 人質ニモナランゾ!」

「人質って、美少女ちゃん。結構、位の高い人だったりするの? まぁ、とりあえず……俺は人を……精霊の一族を殺したくない……それだけだ」

「ナっ! ナッ! キサマ……狂っタカ?」


 頭のおかしいニンゲンを見る瞳で、白騎士がタレムを見るが。

 ……正気だ。

 タレムは本気、それを言っていた。


「ナラバ、何故! 貴様ラハ、我が愛しきクニを侵略スル!?」

「それを言われるのは痛いけど……それでも答えるのなら。今は、立場的に従うしかない身分なんだ。いつかは、こんなこと止めさせるつもりだけどね(俺の姫が)」


 初日、アイリスに釘を刺され、死にかけても尚、タレムの意思は変わらない、

 だからこそ、大事な初陣をノーマに譲り、戦場後方で、戦闘に参加しなかったのだ。

 ミスリル超合金製糸も、不殺で戦場を駆け抜けるために、ムリを言って、師匠リンから、貰った忍具である。

 ……本来の使い道は、暗殺具だが。


「例え、コレが、ただの偽善で……無意味なことだとしても……俺は、俺であるために、誰かを手に掛けない。それが、タレム・シャルタレムという騎士だ。これだけは譲れない。……それを、君らに解れと言うつもりも無いけれど」

「《ハイボクオウ》……たれむ・しゃるたれむ……」

「それは、やめてぇ……マジで!」


 タレムの言葉をどこまで理解したのか、白騎士は小さくタレムの名を呟いて……四肢の力を抜いた。

 ……やっと、拘束される気になった?


 ――否。


「甘いゾ! ハイボクオウゥゥ! ウガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッアアアアア――ッ!」

「だから、その呼び名は止めろって……というか、暴れるのも止めた方が、腕がちぎれちゃうぞ」


 ぶちり。


 脱力から一転。白騎士は、全身をねじり、力をためて、ミスリル超合成糸をねじ切った。

 帝国正騎士……帝国万騎士であろうと、地力のみでこの糸を切ることはできないというのに。あの、アルフリード・グレイシスでさえ。である。


「なっ。怪力お化けめッ! って、女の子に使っちゃだめか」

「キサマが、どうであろうとッ! ワタシはキサマをコロスゾ!」


 糸を切った勢いで、馬乗りになっていたタレムを吹き飛ばし、レイピアを拾う。

 そして、


「覚悟シロ! 《ハイボクオウ》!」


 容赦なく、タレムに斬りかかる。


「……くッ」


 そこで、ぎりぎり、魔法使用デメリット、硬直が解け。

 タレムが立ち上がる。

 白騎士を見据え、ライト・エンペラーを構えなおした……


 ――再び交戦!


 ……と、その時、である。


 ぐらぐら、ぐらぐら……。


 大地が大きく揺れ動いた。


「……なっ地震?」

「……ッ?」


 その揺れに、タレムも白騎士も、警戒し、動きを止めた。

 つまり、この揺れは、帝国軍の作戦でも、精霊同盟軍の作戦でもないということだ。


 バキバキバキ……。


 更に、揺れは続き、地割れが戦場全体で起こった。

 その地割れは丁度、タレムと白騎士の間で起こり、二人の距離を物理的に引き離した。


 そして。


 ――それは、出現した。


 どんっ。


 地割れの中から、巨大な腕が這い出て、湿地帯の地面を掴む。

 みしり、みしり、と、大地を軋ませながら、巨大な顔を出現させる。


 その顔を見た、その瞬間。

 タレムの脳内に、マリカから聞いた、ある種族の名を思い出させた。


「――巨人族ジャイアントッ! いにしえの神の成れの果て。マジで出てきちゃったのかよ!」

「「「グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!」」」

「――ッ」


 戦場全体に響く、巨人族たちの雄叫び。

 近くで聴いたタレムは、鼓膜が破れそうになり、咄嗟に耳を押さえて防御。


(ふざけんな……一体や、二体って、規模じゃないぞ……コレ、千体以上――)


 タレムが耳を押さえている間に、巨人は地割れから這い出て、その体躯の全てをあらわにした。

 大きさは、軽く百メートルを超え、山のごとし。

 それが戦場全体に沸いて現れ、一斉に……帝国軍を襲い始めた。


「やっぱ、そっちの駒かよ」

「――####!?」


 地割れの向こう側で、白騎士が青ざめ、うろたえている。

 そして、


「《ハイボクオウ》!」

「だから、その名で呼ぶんじゃ――」

「――この勝負、預ケル。ワタシ、コロス迄、オマエ、死ヌナ!」

「……おいっ! 逃がす訳ッ!」


 背を向けて、去っていく、白騎士を逃がせば、また、犠牲者がでるだろう。

 この後の、戦況にも関わってくる。

 逃せない……と、タレムが追おうとするが、


 ドだぁぁぁぁん。


 巨人の鉄拳が、ふりそそいだ。


「くっそ……混沌っ! もう、一人の強者を捉えるって、話の規模でもないか」


 全力で飛び下がり、回避するが、その馬鹿げた一撃は、衝撃派生み出して、タレムの身体を吹き飛ばす。


「ぐぉぉっ……と、とにも、かくにも。先ずはこの巨人を処理しないと、か」


 情けなくも地面を転がったタレムは、立ち上がり、巨人を睨む。

 もう、のんきに白騎士を追っていられるような状況ではない。


「白銀騎士団。総員攻撃準備! アレは俺一人じゃムリだ。俺に……つづけぇぇぇッ!」


 大量の土砂が雨の如く、降り注ぐ、戦場の一角で、白銀騎士団と巨人の戦いが幕を開けようとしていた。(続く)



 余談。戦前、ロック村でのこと。

「ねぇ、ノーマ。一つ、聞きたいんだけど……」

「はい。領主さま。なんですか?」

「ノーマって、一々、技名、叫びながら、技出すけど、なんで?」

「……え?」

「いやさ、別に、技名なんて、叫ばなくても、技は出せるでしょ? そういう、起動号とか、詠唱とかが必要な魔法ならともかく」

「それは……イグアス様に……その方が、かっこよく、そして、強くなれるから、と。領主さまは? 領主様も、時々、叫んでいますけど?」

「え? 俺? ノリ。俺の魔法って、仕様上、俺以外しゃべんなくなる奴多いから、俺がしゃべっとかないと悲しいし」

「では、私も、ノリです」

「おぅ……そうだな。ノリだよな。この世界、ノリが全てだよね? 淡々と闘ってもつまんないし」

「はいっ。イグアス様もそう言ってました♪」

「イグアス……大好きだねぇ」

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