表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/264

十八話 『終始つんつんしてるだけ』

 リンとの特訓を終えたタレムが、一度、戻って汗を流そうと馬小屋に向かっていると、


「ねぇ……アンタがなんで、あの駄犬と……一緒に居るわけ?」

「っ!」


 突然、背後から声を掛けられた。


(シャルとの密会を見られた!?)


 心臓が跳ね上がり、魔法を発動しながら慌てて後ろを確認すると……

 そこには、


「あっ……なんだ。良かった。アイリスちゃんか」

「っ!」


 大樹に背中を預け、あからさまに不機嫌だと眉を吊り上げながら、腕を組んでいる姫騎士、《アイリス・クラネット》がそこにいた。


「名前を呼ぶなって言ったわよね? なに? 死ぬの?」

「ごめん……」


 いきなりつんつんしているアイリスは、馬小屋しかないような雑木林にも関わらず、姫騎士の戦闘服の完全装備姿。

 引き締まったアイリスの身体は、肌色の多い華やかな戦闘服で魅力が増大しているが、流石に場違いである。


「くだらない。良いから! 私の質問に答えなさい!!」

「駄犬って……」

「馬鹿なの? そんなのシャルル・アルザリア・シャルロットに決まっているでしょ? その頭を使いなさいよ。死ぬの?」

「死なないよ……そんなに俺に死んでほしいの?」

「そんなの当たり前よ! ふざけた事言わないで!」

「……ごめん」


 反射的にアイリスに謝ってしまったタレムだが、何故謝る必要があったのかがわからない。

 解らないのに、


「まあ、良いわ」


 アイリスが許してしまった。

 そして、


「アンタが誰に発情しようと構わないと思っていたけれど……あの駄犬はダメよ」

「駄犬ってシャルの事?」

「良いわね? あの駄犬とだけは馴れ合うのは辞めなさい」


 アイリスは言うだけ言うと、身体を反転させ立ち去ろうしていく……

 その背中に、


「ねえ! アイリスちゃん」

「……っ!」


 声を掛けて、


「将来、俺のハーレムに入ってよ」


 そういった。

 タレムの理想のハーレムは、シャルルの計画通り、リンとの特訓で実力をつける事や、マリカをデレデレにし結婚するだけでは全然足りない。


 こうして、タレムがハーレムに囲いたいと思った女の子も、同時に口説き落としていかなければいけないのだ。


「今は君の眼鏡に敵わなくても、必ず君を落とすから! 政略結婚なんかしちゃ嫌だよ? 俺、なんか君は……君だけは、俺のハーレムに入れないといけない気がするんだ」

「……」


 そんなタレムの言い分を無言で聞いたアイリスは、長い薄氷色の髪をかきあげて、


「ふん。言ったでしょ? 私はアンタが世界で一番嫌いなのよ! 本当に死ねばいいのに……」


 ガダダダダダンッ!


 大きな氷塊で壁を造り、雑木林の奥へと姿を消してしまうのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ