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つくもの国  作者: AAキャンセル
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プロローグ

不定期ですが少しずつ書いていこうと思います。大体更新は週1になります。

大量生産大量消費の時代は終わった。

2200年、世界は特に科学的に発展した。しかし大きな問題として物質的な資源はこのままだと100年以内に底を尽きることが分かった。

そこで世界はモノに魂が宿るといわれる日本の付喪神の伝承に目を向けた。

モノを物としてではなく良き隣人のような関係になれば大量消費を抑えられるのではないか…と。

しかし、モノに心は宿らないそれはだれもが分かっている。

しかしそれを覆した者がいた。

AI(人工知能)技術の天才カブトガニ社の芝蟹(シバガニ) 弐殻(ジカク)である。

彼の作り出したメンタルオブオブジェクトシステム(以下MOO)によりその概念は一掃された。

物質に寄生する液体型ナノマシンをモノに漬け込み寄生させ、今や世界中の人に注入されている人体制御型ナノマシンと連動させることにより、MOOはその人の性格に最も適した人格を形成する。

まさにAI技術の一種の到達点とも呼べる偉業を成し遂げたのだ。


2212年東京議定書により世界的にMOO技術の採用が決まった。

1. 原則としてすべてのMOOは所有者以外の(技術者などの例外を除き)コンタクトは取れないようにする。

2. MOOの所持は成人してから(例外を除き)一度だけMOOの所持申請を送信できる。

3. 武器として認められる物質にはMOOの寄生を禁止とする。

4. 一部を除き消耗品へのMOOの寄生を禁止とする。

5. MOOの犯罪的思想が発見された場合所有者にカウンセリングを受けさせMOOを専門の技術者に預けメンテナンスもしくは人格のフォーマットを行うこと。


これらの条約により世界は大きな発展を遂げることになる一つの物質を大切に使うようになりより高品質より高耐久の品質を作るようになり一品モノとなるものが多いこともあり品質向上の市場競争も発展し経済の発展も見られた。また、MOOによる人とのコミュニケーション能力の向上やメンタルケアなど多くの功績も見られた。



現2317年

これらは小学生すらも知っている歴史だ。しかし、これらの歴史は当然ながらすべて円滑に進められたわけではない。

MOOの精神汚染論や物質に人格を持たせる危険性論など否定したがりの“馬鹿”どもは今やMOOの利便性や有効性を謳っていやがる。

当時俺の両親はMOO開発の研究員だった。精神汚染の危険性のないことを証明するため複数のMOOと連動させそのたびに過剰なほどのカウンセリングを受けさせられ精神を病み精神疾患病棟に隔離され、すべての物質を、実の息子までもMOOだと思い込み心を病んだまま過労死した。

俺の両親は“賢者”気取りの政治家やデタラメな世論に“殺された”のだ。

そして今、俺は今年で22になる、まだMOO申請は行ってはいない、そして今日MOOを俺のナノマシンと連動させる。

今日からおれの相棒となる「雷雲」伊勢海老社製日本刀ナイフ。

東京議定書の第三条:武器へのMOO寄生の禁止。普通なら申請は通ることはない。しかし、俺の所属している団体クラブズは普通では無い。

言うところの反社会組織というものだ。クラブズは主に東京議定書の改正、特に第五条の改正を目的として活動している。構成員の中にはこの条約によって相棒を強制的にはく奪されている者も多い。

もう一つとしてMOOの寄生物質の自由化だ。

MOOはなんにでも寄生できるわけではない基本的には武器や消耗品とは条約されているがその実PCやその他多くの機械系類は禁止されている。

主にこれらの理由の元クラブズは反社会組織として活動を行っている。

とはいえほとんどは大きなテロ活動のようなものはやっていない我々は大きく目立つわけにもいかないらしい。

MOOの寄生は国の指定した施設でのみ行うことが許されている。

だがクラブズにはMOO寄生用の機材がすべてそろっているのだ。一体だれが何処からのコネで手に入れたのかは分からないがそんなことはどうでもいい。

そもそも反社会組織に所属している俺がただの人体制御ナノマシンなど使っているわけがない。

クラブズに所属したときに全身透析を行いクラブズ構成員にのみ使われるナノマシンを新しく入れなおしたのだ。

もし国の指定のナノマシンを使っていない俺が申請書などを律儀に出そうものなら即座に犯罪者として豚箱にぶち込まれるだろう。

俺は「雷雲」を受け取りに組織内の技術開発局へと足を運ぶ白衣を着た研究員があわただしく局内を動き回る中を縫っていき応接室へとたどり着いた。

扉を開け中へ入るとゆったりとした黒い革製のソファーがふたつとそれに挟まれたガラス張りの机が置いてあるその上に少し小さめの黒いアタッシュケースが鎮座していた。

奥側のソファーに座っている白衣の天然なのかよれた髪が肩まで伸びたが男が口を開く。

「待ちくたびれたぞミズヒキガニ、便所の場所が分からなかったか?」

この組織では表の名前を捨ててコードネームが与えられる。

このよれた髪の白衣の男はノコギリガザミ俺のMOO寄生を担当した研究員だ。

反対側のソファーに腰かけ対応する。

「いんや便所は寮舎で済ませてきたよ。ここは人が多すぎて移動が大変だな、お前こそ待っている間に便所に行く時間もなかったんじゃないか?」

ミズヒキガザミは眉をすこしハの字にしてする。

「正直漏れちまいそうだ今すぐにでも行ってきていいか?」

内またで股間を抑えて言う。

「悪いが俺のMOOの引き渡しが終わるまで我慢してくれ」

肩をすくめて急かすように。

「早く済ませてくれよ?お漏らしなんて小学生以来だ。この年でやるには遅すぎる」

同じように肩をすくめ。

「善処するよ」

早速机の上のアタッシュケースに手を伸ばす。

中を開けるとそこには刃渡り30センチほどの少し分厚い直打ちナイフが中央に、そして握りをつかむと同時に体の中に何かが入り込むような軽い不快感。

異物が溶けて違和感の消えるような快感が一瞬。

成程MOOと連動させるとこんな気分なのかそんなことを考えていると不意に頭の中に声が聞こえた。

『お前が俺の相棒か?ヒョロっとした野郎ダナ、ちゃんと俺を使えんのカヨ?』

唐突なことに反応が遅れたが何とも面白い気分だ!

「ほんとにモノが口を利くなんてな、今でも信じられねえぜ!」

『オイオイ、夢でも見てる気分かヨ!睡眠が足りないならもう一回カアチャンの腹に戻って寝てくるこったナ』

「口もねえのに口だけは達者だな。そのくせナイフのくせして冗談の切れ味が悪いと来てやがる」

『面白くもネエし、笑えねえヨ』

思わずほくそ笑んでしまった。

向かい側でノコギリガザミがニタニタと笑いながら言う。

「どうだい?お前の相棒は?」

「俺によく似て最低で最高な野郎だ!」

『似た者同士仲良くってやつダナ』

俺の相棒はどうにも憎めない悪友のような奴だった。


コードネームは全てカニの名前です良かったら調べてみて下さい!

分からないことや不自然な所があればどんどん指摘してください。

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