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泣き魚と俺  作者: そとや
2/2

いつもの朝


一条 黒

父親が医師で結構裕福な家に産まれた

勉強は、まぁ努力次第だけど運動は好きなタイプ

要領がいい方で雰囲気も優しい感じらしく人に好かれやすい


自分でもできた方の人間だと思う

そのせいかトロイ奴見てるとイライラするんだよなぁ・・・



「はよ~、黒」


「ん~、はよう

なぁ昨日ゲーム新しいの買ったんだけど放課後、家に来るか?」


「えっすげー!さすが黒様じゃん、やらせてやらせて!」


ちょっと自慢をすれば面白いくらいに食いついてくる、さすが小学生男子

逆に羨ましいくらいだなぁと内心思ったり・・・

小学生の癖に物事が簡単に進みすぎて生きるのがつまらなかったりする

新しい物を自慢すればすぐに人が寄ってくるし

いい子に言われる通りにしてたら、大人に好かれる

ここまでうまくいくと熱中できることがない


ただ最近楽しい遊びを覚えた


「・・・また躾するの手伝ってくれたら、やらせてやるよ」


「おー!任せろって、超楽しみ!」


いつものように靴を下駄箱にしまって教室に入るとあいつは、自分の机を見て立ちすくんでいた

あいつの机には汚い字で乱暴に書かれた下品な落書き、おまけに椅子がない

それを見て周りの奴は、ニヤニヤとしながら様子見をしている

きっと俺も同じ顔をしているんだろう


「あれー?魚、机どうしたのー?」


クラスで考えたあだ名は、魚

クラスの生き物係が飼っていた金魚がブサイクだったからなんとなくブス繋がりで付けた名前だった。

顔が前髪に隠れていて実際は、見たことないけどとにかく暗い奴だった

喋らないし、ドジだし、俺の大嫌いなタイプ


「あ~机に色々書かれてるね。

ブス、キモイ、学校来るなだって、これ書いた奴天才かよ!」


朝、約束した奴がゲラゲラと笑いながら煽りに行った

単純だけど、こういうことをさせたらクラスで一番上手い


「魚、聞いてる?無視とかよくないと思うな~

またスカート巾着して廊下歩くか?」


周りが大爆笑しても魚は、興味なさそうに机の落書きを気にしないで席についた

こいつの顔が変わるのを見たことがない、いつも無表情

蹴れば泣きそうになるがそれも堪えて何もなかったかのような顔をする

最初は、それがきっかけでいじめが始まった

軽い気持ちで別の表情見てみようぜって


俺は、ゆっくり魚に近づきながら言った

「魚、机の落書き消してやろうか?」

魚は、こちらに興味を向けることはなく黙々とランドセルから教科書を取り出して授業の準備をしていた


イラついた俺は、気づいたら椅子と一緒に魚を蹴飛ばしていた

「無視してんじゃねぇよ」


大きい音を立てて椅子が転がっていく

魚は、椅子から落ちたときに足を捻ったみたいで動けない様子でこっちを何も言わずに睨んでいた


「おい、ご主人様のこと無視してんじゃねぇよ」

ここぞとばかりに周りにいる奴が責め立て始める

ご主人様ってのは、俺らしい

こんなブスの主人になっても嬉しくないんだけど・・・


キーンコーンカーンコーン

予鈴がなってザワザワし始めた

「おい、先生が来るぞ。片付けろ」

一人がそう言った途端に全員が一斉に机を片付け始める

女子は、魚の机の落書き消し始めた

クラスの団結力は、かなりすごいと思う・・・魚を除いて。


ガラガラと音を立てて教室に入ってくるのは、今年からやっと担当クラスを持つことができたうちの担任だった

「みんな、おはよー」


「おはよう、先生~」

「先生!俺珍しく宿題してきたぜ」

「馬鹿野郎、毎日するもんだろ!」

クラスの全員が楽しそうに笑いだす


「今日もみんないい子ね~」

賑やかで仲のいいクラスに担任は満足そうに笑みを浮かべる


足を捻って動けずに床に座り込んでいる魚を無視して

担任を持ったばかりで問題を起こしたくないらしい

都合の悪いことは、全部見ないふりをする


魚に味方は、いない。


こうして今日もいい子の振りをしながら悪い遊びを覚えるのが楽しみで仕方がなかった





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