そして、彼女は
猫さんとのデートコース巡り。言える感想としては一つ。
楽しかった。
新しいものを見て、はしゃぐ猫さんや、驚く猫さんは、見ている人を飽きさせない。
どんどんと新しいところに連れて行って、デートコースとか関係なく楽しむことができた。
「はぁ...はぁ......。これ以上は、私の体は、耐えられないにゃ......」
頬を染めつつ、身体をよじらせいった言葉は、実に色っぽかった。
これはセーフ(合法)?いや、アウト(脱法)?
「ところで、健さんは楽しかったかにゃ?」
唐突の笑顔に面食らう。
あれはやはり演技だったのですね。
やばかった。また捕まるところだった。冗談抜きで。
「あぁ、楽しかったよ。かなり」
「そうかにゃ、そうかにゃ」
心の底から嬉しそうに頷く。その姿は、何かに納得しているかの様にも見える。
「なら、この日を忘れないで欲しいにゃ」
彼女はそう言って、微笑んだ。
「......そんなに改まってどうしたんだよ。らしくないな」
「らしくない.....そんなことないですにゃよ? いつだって私は私ですにゃ」
「? そうか、まぁいいや」
この時から既に怪しかったんだ。
なのに俺は、少しの不安をあの時みたいに胸に閉じ込めて。
そして、彼女はいなくなった。