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ウェルカム ロリ!

主人公のモチーフは友人です。








猫が人になるなんてのは、物語の中ではありふれていて、書店に置いてあっても誰も取ろうとすら思わない。

だが、ありふれた物語も目の前で起こってしまうと、喜べないし笑えない。

笑えないというより、何故か後悔してしまう。

俺は、何もしてないのに。

「ご主人様! お久しぶりです!」

そう、唐突に、そして突然に猫は女になった。しかも、その・・・下着姿で。







飲み会から帰るとき、確かに猫は見かけた。そこの記憶はある。

でも、お持ち帰りした記憶は無いし(出来ないし)、何故、人間になったのかも知らない。

頭を抱え、チラリと彼女を盗み見る。

ぱちくりとした大きな瞳。

湖のように澄んだ色。

彼女への第一印象は......すごく幼く、可愛らしい。

ニコニコと笑顔を向ける彼女は、機嫌が良いのか、どこからか生えた尻尾や耳が、ゆらりと揺れ続けている。

腰まで伸ばした鮮やかな髪が、すらりとした体躯を損なわずマッチしている。

すらりという事は、・・・まぁ、いろいろなものが出てないわけで。

ロリ......じゃなくて。

幼児を、俺の部屋に招き入れるのも誤解があるわけでして。

これが、事案ってやつですな。ははっ

他人事の様に、新品のカーテンの隙間から外を覗く・・・フリをして隣の彼女をチラ見する。

チラッとじゃないかもしれない。

だって今目がギョルンってヤバい音がしたもの。

でも、仕方ないと思う。どこの誰がこの異常事態のときに、昼の日光が差し込んで

天気いいっすね、などと解説する奴がいるんだ。

その上、もう一度言うが、薄い下着姿だぞ? さらにもう一度下(ry

襲わないにしてもチラチラジロジロ見る権利くらいはあるはずだろ!?

「あのっ・・・どこみてるんですか?」

女性は、そういうところ、を見られていると感知する能力は高いらしい。

これは、俺のモテない人生経験のから得たなんの根拠の無い知識だ(えっへん)。

って、そもそもこいつは人じゃないか。

「ねぇ、君だれ?」

見たか見てないかなんてどうでもいいか。減るもんじゃないし、胸がもっと減るなら俺の好み......とと、関係ない。

そろそろ、本題に入ろう。

ついでに、この子が合法ロリなのか、脱法ロリなのかも知っておこう。

.....大切だ。そういうのは。

「私ですか? 私は昨日あなたに助けてもらったしがない猫ですよ」

屈託の無い笑みを向ける。

「昨日、あぁ思い・・・だした!」

まるで前世を思い出すように閃くが彼女は首を傾げこちらを覗く。

その姿もまた愛らしい。

「って、覚えてねぇーー!!」

昨日の記憶が綺麗さっぱり存在しない。

頭痛のする頭を抱えていると、彼女はおもむろに近づき俺の頭を撫でる。

例えられないけど、何がいい匂いがする。女の、匂いなのかな?

「いいこ、いいこ。昨日、歩いてるところを拾ってくれて、養ってくれるって言ったことなんか思い出さなくてもいいですよ」

「思い出したよ! てゆーか、それ遠回しに思い出せって言ってんじゃないか!」

「私、猫だからわかんなーい」

「わざとらしい・・・、もういい。

お前を保健所に連れて行かせてもらう」

正直、幼女でも猫とはやれない。

てか、理性がヤバいので帰って欲しい。本当に。

そんな、俺の気を知っているのか知らざるのか、 彼女の耳がピーンと張る。

「ほけんじょは、嫌!! ぜったいにいや!」

「知らないよそんなの。昨日のそれは間違いだったんだよ」

「不倫がばれそうな夫みたいな事言ってないやめてほしいにゃーー!」

「なんでそんな事知ってんだよ!」

「昨日、ドラマで見たんだにゃーーー!」

外に出かけるための準備をしていると、足にくっついて止めに来た。

こんなのでは止まらないというのに、

やはり猫は猫。

ん......猫?

「お前、唐突にニャーって言い出したよな? どうしてだ?」

「しまったにゃ・・・」

可愛らしく口元を抑える。

耳も、緊張を訴えるかのようにピーント立っていた。

「ははーん、少しわかったぞ」

大股で、彼女に詰め寄る。

「なんだにゃ、何をするにゃ!」

俺は別に猫が嫌いなわけじゃない。

だから、猫が喜ぶところは大体わかる。女の子の喜ぶ事は分からないけど(泣

「手始めに......」

顎の下を柔らかく撫でる。

「やめっ・・・にゃ・・・」

初めは嫌がっていたが、触れた途端、嫌がっていた手に力が入っていないのを感じる。

「んっ・・・そんなに、同じ所を触らない・・・で」

今では、頬を染めて羞恥に耐えながらも、体に身を任せている。

首の後ろに手を伸ばす。

そして四つん這いの彼女の背中をゆっくりと摩る。

「んにゃっ・・・そこはダメにゃ・・」

尻尾は上を向いて、針金のように固定される。

快楽を感じている証拠だ。

「さて、言ってごらん? 覚えている事全て」

耳元で、ゆっくりと囁く。

見てるこっちがむず痒い。

「覚えて・・・なんか、無いにゃ」

「でも、俺は少しわかったよ。にゃっていう時は余裕がない時。だから、このままこうすればいずれ全てを話してくれる。そうだよね?」

「本当に知らないにゃ。

あるとすれば・・・ポストに詳しい事が書いてある事くらいにゃ」

「それだよ!」

彼女は支えていた力がなくなり、バタリと床に突っ伏す。

そんな事を一切気にせず、ドアに付いているポストに向かう。

そこには、一枚のプリントが入っていた。

半分に折られていた紙を、綺麗に伸ばす。

それは、ただの紙とは言いがたく、賞状のような質感で俺の緊張感少しだけ煽る。

こんなの、触るの小学校以来だなぁ。

懐かしむのも程々に、目を通す。


明日津 健 様へ。


貴殿は、遺伝子組み換え動物との同居を命ずる。


「はぁ? 何だこれ」

「あ、それですよー、私と健くんとの

馴・れ・初・め」

「だーーーー! ふざけんな! 何が馴れ初めだよ。押し付けられただけじゃねーかぁ! やっぱり保健所だ。連れてく」

「わーーーー! 待つにゃ! 最後まで読むにゃ。特に最後らへんにゃ」

「あてさきぃ?」

言われた通り、下まで目を見やる。



なお、遺伝子組み換え動物は、憲法で保障された動物のため廃棄したり、何らかしらの事故があった場合。

飼い主には、それ相応の対応が待っていることを約束してもらう。

by 政府の者より


「はぁ! 約束しねぇから!? つーか、なんだよ政府の者よりって! 適当すぎんだろ!」

「とゆーことにゃ。どうにゃ?」

少しドヤも入りながら、ふふんと笑顔を向ける。

こっちも、少しカチンときた。

「嫌だにゃ。とっとと帰れにゃ」

「語尾がうつってるにゃ!?」

彼女は、目を白黒させてツッコむ。

「そうだにゃ。お前のせいにゃ、帰れや」

「今の少し違ったにゃ !?」

「かーえれや(にゃ)、かーえれや(にゃ)、かーえれや(にゃ)」

「もう、全然違うにゃ! わかったにゃ。こんな所、私から願い下げにゃーーーー!」

ついにやけくそになった様で、涙を浮かべ外に飛び出す。

本来なら、スッキリする所だが何故か......全くもって違う気がした。

「......ったく。あんな姿でここから出られちゃ近所から何言われるかわかったもんじゃない」

ぽつりと、溢れる。実は俺の、本心なのかもしれない。

ピンポーン

帰ってきたのか? 今度は......ちゃんと。

すぐに、ドアに近づきノブを捻る。

そこに立っていた人に少し照れうつむきながら告げる。

「ったく。仕方ねーな、俺のそばにいさせてやる......よ。......だから、その逃げんなーー」

ガチャン!

音とほぼ同時に、手に重みを感じる。

「ん?」

あれ? 今ドラマとかで聞く、手錠の鍵を閉める音が聞こえたぞ。

「はい、13時23分。容疑者確保」

「は?」

「君、未成年とそういう事、しようとしてたよね?」

「え? いや? へ?」

「「やめるにゃーーー! 離すにゃーー!」」

ボロアパートの一階では、女性警官から手厚い看護を受けながらミニパトで連れられてく人型猫がいた。

「ちょっ、ちょっ、ちょっと!? あいつと離されると俺の冤罪を証明する子がいなくなるんですけど!」

「何言ってんの? ロリコンを一緒に連れてくわけないでしょ? 取り敢えず、誘拐したことについて詳しく教えてね、署で」

「おかしいだろ! 僕は何もやってない!」

「はいはい」

まともに、相手されねぇ。

「じゃ、行くよ」

違う、確かに俺はかっこよくなくて事案になりそうだけど......。

「それでも、俺は、ロリコンじゃなーい!」

虚しく、ボロアパートに響く。

本当に、虚しかった。













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