3-2
言い忘れてましたが、一話が短かった場合は続きを早めに載せます。
彼女の家に連れてこられたときに薄々気づいていたが、やはりパトリシアがいた時代とこの世界では齟齬がある。森の中の美女という風景からしてロマンチックな抒情詩のような雰囲気があって、そこから根拠もなく中世か近世ヨーロッパみたいだと思っていた。あながち間違いではなかったらしい。
ここが過去のヨーロッパであるかどうかということは別にして。
ただ言葉は英語ではないのに、なぜか通じている。しかも何語だかもわからないそれをパトリシアは以前知っていたという不可解な感覚のもとに使っていた。
気になるが使えているのなら問題はないだろうと、うっちゃってしまう。
「なんて言えばいいのかしら……。私が魔女かどうかは……わからない。でも、魔法を使ったり悪魔と約束をしたり……そういう魔女なら私は違う……と思う。そして、あなたを呼んだりなんてしてないわ。それは確かよ。私が描かれた絵があるなんて……それだけでもびっくりなの。すごく不思議なことだけど……私はあなたの言ったことを、信じるわ」
あなたのことを信じる。
しゃがんでパトリシアと同じ目線に合わせたリューディアはそう言って微笑んだ。憂いを含んだ寂しげな眼差しで。
話の内容なんてそれこそあまりにも子供じみている。ろくに舌も回らない女児の言葉を、彼女は信じるという。
それは子供を安心させるためにつくろった上っ面だけの理解ではない。哀れむような同情でも、宥めているようで本当は抑圧的な瞳でもなく。その瞳は真っ直ぐにパトリシアに、同じ目線で注がれている。
困ったのはむしろパトリシアの方だ。
しかもリューディアは魔女であることを否定しなかった。
何故だかわからないが尋ねておいて否定されることを勝手に予期していた彼女は、歯切れ悪くも偽らない答えにさらに混乱してしまう。曖昧なのに嘘をついているように思えないのも問題であった。
私は彼女をどこまで信じたらいいのだろう?
パトリシアは黒い外套をすっぽり被って異様に突き出たわし鼻を近づけ皺だらけの口で答える人の姿を思い浮かべた。ふっふっふっ。そうです、わたしが……。
いや、誰だって正面きって自分が魔女だなんて言わないだろう。窮地に陥り正義に追いつめられ奸計を用いることができなくなったときに、悪はその正体を現すのだ。フィクションの中では。
いやまてまて。リューディアは明確な否定をしなかっただけで肯定だってしていない。つまり肯定も否定もしていないのだ。
それに、そういう魔女ならと彼女は言った。
はたと考えつく。自分が持つ魔女の概念がそのまま他所で通用するわけではない。そもそも魔女という言葉そのものが存在しない可能性だって……。
ここはどうやら右も左もわからぬ外国、しかも時代齟齬がある外国だ。異世界……という単語が浮かんできたが、少しずつ現実を受け入れたいパトリシアには突拍子もない考えをそのまま鵜呑みにするわけにはいかなかった。
でも彼女の言葉を反芻してみると、どうやらリューディアの魔女の概念もそう変わらないように思えてくる……。
絡まるロゴスの罠に引っかかってしまったパトリシアは耐え切れずに頭をぽかぽか叩いた。それを見たリューディアの目の色が変わる。
「……だ、大丈夫?少し休みましょう……?」
パトリシアの肩に置こうとわなわな震える手を無理やり下ろし、かすれた声でリューディアが囁く。
とても切なそうにパトリシアを見つめながら。
うぎゃああういいいい\(^o^)/
小一時間ほど格闘してましたが結局できず……orz
上手くルビを振れません……。
あれ。読み仮名のルビじゃなくて、特に注意して見てほしい文字に打つ点々!!(何故逆ギレ
文字に含みがある場合に意図的に振るやつです。
もうううう完全なアナログ人間だからどうにもこうにも上手くできぬぬぬぬ(。´Д⊂)
まあ、いいんですけどね……読めればそれでさ……ははは。
>>ルビ振れました!やっとできた。長かった……(。´Д⊂)