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異界の姫君  作者: Maverick
3章 冥府ニリヤ
47/52

3-1




なにぶん書きながら話を考えているので、おかしな所があったり後付け的な設定があったりするかもしれません。

気をつけてはいきますが、至らない部分もあるかと思います。

悪しからずご了承下さいm(_ _)m


…なんとか辻褄は合わせます(弱気)







 ニリヤの外に止まっていたのは巨大なダイヤ型の輿だった。


 輿の両側には出入り用の楕円形の窓が空いており、レースのカーテンがかけられている。

 輿は透明な魂石でできており、レースも蜘蛛の糸を寄り合わせてできたかのように薄い。

 それなのに決して透けて見えることはなかった。


「外部からは見えないようになっております」

 エルガは付け加える。


 ダイヤの輿は虹色に反射してそれは美しい。

 だが最もリューディアの注意を引き、仰天させたものがある。


「ヴァンデガロン……?!」


 リューディアは目を大きく見開き、瞬きも忘れて凝視した。


 輿の四隅を車輪の如く支えるのはそれまでリューディアが出会ったことのない巨大な光球で、そして初めて見るヴァンデガロンだった。


 パトリシアが目覚めていたなら、一体どんな反応をするだろうかとリューディアは思わず振り返る。

 ダリボルの腕に抱えられたパトリシアは、彼の巨体のせいもあって余計に小さく儚げに見えた。肉体の消耗を抑えるため今は深い眠りについており、もはやぴくりともしない。

 呼吸のための微かな体動だけが生きている証だった。

 麻酔がかかっているのと同じ状態なのだ。もちろん何の手立ても講じなければ永久に目覚めることはない。

 そして時間をかけて肉体は滅びへと向かう。


「これでもだいぶ小さくなりましたが」


 エルガの声がし、リューディアは再び顔を戻す。

 小さいといっても、竜の光球は大きいものでは小山ぐらいはある。きっとニリヤにやってきたばかりの頃は相当な大きさだったのだろう。

 そして何よりも生きて悠然と世界を睥睨していた時分は。

「……ヴァンデガロンって存在していたのね。おとぎ話や神話の中だけだとばかり思っていたわ」

「見ることも知ることもなかった。まして存在していないとされていたものが、どうしておとぎ話や神話の中には在るのでしょう。最初から全く存在しないものなら、そもそも想像すらできないものでは?」

 エルガの口調は、他の者と話すときのそれと比べるとずいぶん柔らかい。

 相変わらず感情のない平坦な声で、リューディア自身は聞いていて特に変化はないと思っている。

 それでも大切な主に語りかける時の声音は、それ以外とでは声の質が違う。

 殊にパトリシアが聞いていたらすぐにわかっただろう。さらに声だけではない微細な変化も見逃さないはずだった。



 ニリヤで既にリューディアは知ることのなかった光球たちと出会っている。

 中には名前もわからぬものもあった。

 巫女姫はその一つ一つと関わり、そして流れるがままに通り過ぎてゆく彼らを見守る。

 ニリヤでは感情は要らない。

 儀礼は漣の立たぬ湖面の如くいつも静寂であった。

 感情の伴わない儀礼はほとんど記憶に残ることもないが、リューディアはエルガの言葉の意味を理解した。



 リューディアは輿の周りを一周してみる。

 光球はそれぞれ赤、黒、金、緑で、竜の体色を反映している。その中で緑色の個体がリューディアの世界に伝わる竜と似ていた。ヴァンデガロンは青緑の鱗で巨大な翼を持ち、額に一本の角が生えているのだ。

 竜たちは各々が違う特徴を備え、種族が異なることを伺わせた。

 あるものには翼があるが、あるものには無い。

 どっしりした四肢を持ち巨大な爪を地に突き立てるものあらば、二足で立ち残りは小さな腕となって胴体にくっ付いているといった具合の竜もある。

 きっとリューディアが呼ぶヴァンデガロンという名以外でも彼らを表す言葉はたくさんあって、その数以上に彼らは多種多様にどこかで存在しているのだろう。

 彼らを見つめながらリューディアは思う。


「はじめまして。私はリュー……リュリエヴィリアと申します。これからニダウィエンまでよろしくお願いしますね」


 言葉を持たぬ動物の光球でも、語りかければ何らかの反応はする。ヴァンデガロンは深い叡智を有し、人語を解すると言われている。リューディアは丁寧に礼をした。

 竜たちの目はみな違う色と形をしていて、確かに聡い目をしたものもあれば野生そのものの獰猛な煌めきを宿したものもいる。

 竜たちに変化はなかったが、揃ってリューディアを見返した。

 彼らの目を順に見つめてみて、気質は違えどどの竜にも犯しがたい誇りが潜んでいることを知った。


ヴァンデガロンはもっと沢山いるのよね?でも今までニリヤで出会ったことはなかったわ」


 リューディアは振り返って背後のエルガに尋ねる。


「竜はほぼ全ての種が大変な長命であり、半永久的な寿命を有しています。ニリヤにやってくるのは殆ど無いと言っていいほど、ごく僅かなもののはず。そして彼らは死を迎える際に彼らだけに伝わる儀礼でもって、仲間の魂を、或いは自分で自分の魂を送るのだそうです。他属のもので竜と語ることができるものは殆ど無いので真偽の程は定かではありませんが。ですがもしかしたら彼らはニリヤとはまた違う彼らだけの死後の世界を持っているのかもしれません」


 そしてエルガはリューディアにだけはずいぶんと饒舌だ。


 リューディアにとっては状況を忘れそうになるくらい興味をそそられる光球たちだったが、やはりパトリシアへの不安はつのる。

 質問は移動の合間に訊くことにして、いそいそと輿に乗り込んだ。巨大な竜の光球が引く輿は、しかし地面との高低差を感じることなく楽に乗り込める。

 反対側の窓からダリボルがぬっと現れ、壊れ物を扱うかのように優しく優しくパトリシアをリューディアの隣へ移動させる。

 余裕はあまりないが全身が入る簡易ベッドに、布に包まれたまま移されるパトリシアはまるで赤子だ。

 それが余計に痛々しく、リューディアは苦しげに眉を顰める。

 あまり見たくない姿だった。

 向かいの座席にはエルガが座る。ダリボルはニリヤに残ることになっていた。

「ダリさん、ニリヤを頼みますね。パティは必ず元気になって戻ってくるから」

 リューディアの言葉にダリボルは大きく頷き、返事をしようと口を開きかけた。

 だが輿の奥から針のような目で睨みつけてくるエルガに気づき、慌てて深々と頭を下げる。

 そのまま輿は動き出し、ダリボルが頭を上げる時には既に彼方にあった。

 ダリボルはその場で仁王立ちになったまま、過ぎ去った輿をいつまでも見送り続けていた。














ちょっと迷ったんですが。


パトリシアの世界→竜=ドラゴン

リューディアの世界→竜=ヴァンデガロン


です。

ドラゴンに統一しても良かったかもね。

世界が違うなら呼び方も定義も違うのかなあなんて。


色々考えてたらごちゃごちゃになってきてわけがわからなくなりました(爆)








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