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【転生ガチャ失敗?】辺境伯家三男の俺、職業『死霊魔導師』で特技は回復魔法(攻撃特化)です。  作者: いな@


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第26話 死霊魔導師の長い夜の終わり?

 生い茂る木々が覆い隠し、星明かりも通さない暗闇から最初のゴブリンが飛び出してきた。


 それを皮切りに雪崩のように次から次へと戦場に躍り出てくるゴブリン。


「レイスたち! お前たちの体が来たぞ!」


 俺の声に漂っているだけだったレイスたちがゴブリンに襲いかかる。


 前哨戦から数分、俺の合図で迎撃戦が始まった。


 こん棒や木の枝を振り上げ突っ込んで来たが、取り憑かれるなんて思ってもいなかったゴブリンたちは、なす術もない。


 そして体を乗っ取り、その場で反転した新たな味方は後続のゴブリンたちを迎え撃って行く。


 すると、戦場に黒い(もや)がまた数を増やし、戦場に入ったゴブリンたちに向かっていった。


 今のところ順調だ。


 俺とレイスの繋がりが、始まって数分しか経っていないのに、もう百体近く戦力が増えてる。


『見事なものですな主。左右をジェイミーとジムに任せ、前後をレイスで固める。素晴らしい、まだ一匹すらその壁を越えてませんぞ』


 はじめは俺とセレス、ヘルヴィを中心に円の陣形を取ると言ってたデバンの意見に待ったをかけ、この陣形を提案した。


 円にして壁を薄くするよりまとめた方が良いと判断したからだけど、思ったより上手くいってる。


 始める前、レイスが受け持つ前後の壁が薄いと心配されたが、味方ゴブリンと味方オークに倒されたものと違い、五体満足な味方が増えていく。


 そして体を乗っ取られ、押し出された黒い(もや)は俺に支配され次の獲物へと向かっていくのだ。


 予想通り、そう時間もかからず前後の壁が分厚くなってきた。


「デバン、そろそろジェイミーとジムの部隊に配分してくれるかな」


『ふむ。頃合いですな、任されよ。しからば主よ、少々肩をお借りしますぞ』


 そういうと、俺の肩に手を乗せ、念話を使いゴブリンたちに命令をしたようだ。


 俺から伸びる、無数の黒い魔力の糸を通して一斉に全てのゴブリンたちへ伝える技を披露した。


「え? そんなこともできたんだ」


『これも主のレベルと、我らの中に入ったあの者たちのお陰ですな』


 そうか、死霊騎士団を取り込んでデバンたちも強くなり、新しい力も手に入れたってことか。


『さて主よ、強大な気配はまだ近づいても来ておりませぬ』


「まだ遠いのか、今で繋がりが五百に近くなってきてるのに」


 想定していたゴブリンの数を余裕で上回る勢いの戦場。


 ティウス公爵家の騎士団が手に入れた情報に誤差……いや、誤差ではあり得ない大群の可能性が高い。


「デバン、ゴブリン、思っていたより多くない?」


『確かに、今この村に押し寄せる勢いをみても、千程度で済むような大群では無さそうですな』


 デバンも同じ考えのようだ。


「前のスタンピードと変わらない大群かも知れない。今は順調だけど、何があるかわからない。気を引き締めよう」


『ですが主よ、今しばらくは上位種のホブゴブリン、弓持ちや、魔法使いが現れるまで、体力の温存を優先で頼みましたぞ』


「そうだな、『死霊使役』を行使し続ける以外は少しゆっくりさせてもらう。デバン、護衛は任せたよ」


『任されよ。毛一筋ほどの傷も負わせはしませんぞ』








 オークのゴブリン村襲撃を目にしてから、すでに二時間以上過ぎている。


 すでに夜半を過ぎ、日が変わった頃、俺とセレス、ヘルヴィはお茶会の真っ最中……。


 いつの間にかデバンたちにお茶会セットを影へ入れてもらってたそうだ。


 何杯目になるか覚えていないティーカップを口に運び、戦場に目をやる。


 ゴブリンの中にはリーダーをはじめ、アーチャーや魔法を使うゴブリン、ホブゴブリンも続々とこの戦場に出てきている。


 当然ヘルヴィの結界、物理と魔法の結界を重ね掛けしているから遠距離攻撃も俺たちには届かない。


 その頃になると、初期に味方にしたゴブリンたちも二体目、三体目に取り憑き直している。


 そのためか円を作る味方たちの数は一定数から増えるのが止まってしまった。


『そろそろお茶会も終了ですかな、この群れの大将が来ますぞ』


 ティーポットをテーブルに置いたデバンがそう言った直後、大地を赤く染め、慣れたくもない血の匂いが飽和状態の戦場にヤツが現れた。


「やはりキングのようだな。ついにお出ましか、待ちくたびれたぞ」


「けぷっ。お茶飲みすぎてたぷたぷです」


 テーブルや椅子を出してお茶を嗜んでた俺とセレス、ヘルヴィ。


 そりゃ、体力の温存するって言ったけど、戦場真っ只中でお茶会を開くとは思わなかったな。


『主、ヤツのことは……』


「うん。わかってる。一対一で再戦したいんでしょ?」


『くくくっ。流石は主であるな』


「じゃあキングのまわりを固めてるジェネラルやヒーラーたちのことはジェイミーとジムに任せても大丈夫だよ」


『くははははは! 主ならそう言ってくれると信じておりましたぞ! ジェイミー! ジム!』


『聞こえてたっすよー。団長殿ー、加勢が欲しかったらいつでも頼るっすよー』


『団長殿、やっちゃって』


『行くぞ! ついて来い! ジェイミーはあとで時間をもらうぞ!』


『了解』


『またやっちゃったっすー!』


 背中からグレートソードを鞘から抜き去り、ドンと地を蹴り一直線にキングに向かって行くデバン。


 ジェイミーとジムがデバンの近くの影から左右に飛び出し合流する。


 一言二言意志疎通したと思ったら、ジェイミーは影に潜り、ジムは盾を前に構えデバンの前に出る。


『邪魔、吹き飛べ』


 言葉通り、ジムのタワーシールドによって吹き飛ばされていくジェネラル。


 奥ではヒーラーゴブリンが声を上げる間も無く胴体から頭が落ちていく。


 スタンピードの時と同じような陣形のキングだが、それはもう攻略した俺たちにとってなんの妨げにもならなかった。


『露払い、終わり、団長殿』


『ご苦労だったジム! キングよ一騎討ちだ!』


 デバンはグレートソードを上段に構え、キングも呼応するよう黒曜石でできたような大剣を振り上げた。


『遅い! ハアッ!』


 ズバンとデバンが振り下ろしたグレートソードは、あまりの速さに反応できなかったキングの頭頂部から股まで真っ二つにした。


 完全勝利だった。







 残り全てのゴブリンたちを倒し、本拠地にやって来た俺たちは、簡易家屋を打ち倒し、火を放って再利用されないよう徹底的に潰していった。


『主、結構お宝溜め込んでたっすよ』


 目の前に置かれた宝箱や樽には金貨、銀貨などの硬貨に宝石や宝飾品の数々。


 殺された冒険者や騎士たちの武器や防具が積まれていた。


 幸い、捕らえられていた人が居なかったのは幸いと言えるかもしれない。


 味方になったゴブリンたちから抜け出したレイスたちをデバン、ジェイミー、ジムに吸収させる。


 これもレベルが上がりできるようになった新しい能力のひとつだそう。


 吸収すれば俺たちのようにレベルアップできるそうだ。


 レイスたちにはゴブリンの魔石を取り出してもらい、済んだものから吸収されていってもらった。


 吸収し終えたデバンたちのオーラというか、迫力が増したのは言うまでもない。


 魔石と全ての戦利品を影にしまい、炎が消え、くすぶる残骸だけを残し、俺たちは帰還することにした。





「ふう。お疲れ様」


「お疲れと言えるほど疲れてはいないがな」


「むー、わたし何もできなかった。お茶とお菓子食べてただけだもん」


 拗ねるセレスの頭を撫でる俺とヘルヴィ。


 そこにデバンが 影から顔だけ出してきた。


『主、ティウスはここには来ないようですぞ』


 その言葉を把握するまでしばらくかかったのは言うまでもない。


 自領の問題で、それもあとに回せない案件なのにどう言うことだ……。


 だけどその疑問は次に出てきたジェイミーの一言で繋がった。


『ティウスってヤツ、盗賊に襲われて怪我したっす』


 公爵の護衛たち、なにやってるの!

 読んでいただきありがとうございます。


 明日からは、朝にのみの更新にします。


 でも1日1話更新は続ける予定です(予約忘れしない限り)


 ブクマや★★★★★で応援よろしくお願いいたします。

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