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気ままな貴族  作者: 三日月
中等部一年生編

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3/4

3.入学式の日 前編

 ノクスは鏡の前で服装を整える。


 鏡には白髪で右目が碧眼で左目が琥珀色をしていて、どちらも瞳孔が縦になっており、ブレザーのような制服を着た人物が映っている。顔だけ見たら猫の獣人と間違えられそうだが背中から生えている翼がそうではないと主張している。


 そんな気合い十分なノクスだが人生初の入学式ということもあり、少しばかり緊張もしている。


 ノクスが入学するのは世界でも有名なシェイガルム学園だ。

 シェイガルム学園とは種族問わず、身分を問わず幅広く門を広げている学園で年齢制限はあるものの最高峰の学園の一つである


 ノクスが鏡をのぞいていると部屋にノック音が響く。

 ノクスが返事をすると扉が開かれ制服姿の赤髪に緑眼の男が入ってきた。フロスである。フロスもシェイガルム学園に中等部で入り、今年から高等部だ。

 ノクスを見るとフロスは言う。


「おっ、気合い十分だな」


「そら〜ね」


「ただ、もうちょっと肩の力抜けよ!」


 さすがノクスの兄である。弟の機微に聡い。


「それにどうせほぼ毎日、着るんだし服を整える必要なんてないだろ」


 ゴツン!、フロスはノクスに頭を殴られる。この男、余計なことを言うことも一流である。


「いってぇな。………まぁ、これで緊張も解けただろ」


 フロスの一言で自分の状態に気づくノクス。緊張していたと言っても、さっきの一言は要らないだろうと思うノクスであったが、心の中では素直にフロスに感謝した。


 そんな朝の一幕がありながらも2人は一緒に登校し門の前で別れた。

 新入生を出迎えるために高学年はその準備をしなければならないからだ。これは在校生から新入生へのサプライズである。ちなみにノクスはそのことを知っている


 ん、何々?ノクスはどこからそれを知ったのかって。それは公然の秘密である。


 とまぁそんなことは置いておこう。


 ノクスが気配を消し人通りの中に紛れ門をくぐり抜け、校舎までの長い道を歩こうとする。その時後ろから黄色い声がした。そこには馬車から降りようとしている金髪で赤眼の少年を少女たちが囲んでおり、少年は困ったような顔を浮かべている。


 ノクスは少年を一瞥すると、その光景を見て少年を睨む者たちの間をすぐに通り抜けようとする。が、しかし一足遅かった。


「そこにいるのはノクスじゃないか!」


 少女に囲まれていた少年がノクスの名を呼ぶ。そしてその声でノクスは止まった。否、止まってしまった。その場全員の注目がノクスに集まる。

 ノクスはこの場を切り抜ける方法を考えた、がまたしても遅かった。

 ノクスを呼び止めた人物が一瞬で人混みの中を通り抜けノクスを捕まえて校舎へと一目散に走り去った。


 ちなみにノクスを捕まえたのはこの国の第3王子である、スクトム=レック・アインバート。ノクスと同じ背中に翼を持つ、黒竜ニグルムドラゴンの獣人である。

 何を隠そうこのスクトムこそがデビュタントでできたノクスの友達の1人である。


 その後、ノクスとスクトムは大講堂に向かう。入学式はそこで行われるのだ。

 大講堂はよくある劇場のような形をしている。差異としては、席が段差上になっていなこと、舞台の上に演説台があること、2階の広い席がないこと、この3つのみだろう。

 新入生の席は大まかな位置は決まっているものの自由席となっており、2人は前から2列目の席で隣に座ることが出来た。


「いや〜、それにしても助かったよ、ノクス」


「俺を巻き込むんじゃねぇよ、トム。というか新入生代表なんだから他の生徒の模範となるように行動しろ」


「ん?俺は新入生代表じゃないぞ」


「はっ?」


 ノクスの顔が青ざめる。


「誰がそんな面倒なことするかってんだ。断ったに決まってるだろ」


「ってことはまさか…」


「どした?」


「いや、ところでトム。今日この後空いてるよな?」


「あ?あぁ一応空いてるが…」


「なら一緒に学園を見て回らないか?」


「おぉ、いいなそれ。そうしよう」


 ノクスは顔の色を取り戻し、通常運転に戻った。ノクスはスクトムを罠に嵌めることを申し訳なく思いながらも安堵した。まぁ、割合的に1:9で安堵の方が優っているだろうが…


 そんなやり取りをしていると入学式が始まる時間となった。


「今から1100回、入学式を始めます」


 司会の先生がそう宣言して入学式が始まり、一応つつがなく午前中で終わった。


 ただノクス含め新入生全員が思ったであろう。


 校長の話長すぎる、と。


 ただ先述した通り、校長のありがたいお話が30分続いても《《つつがなく》》入学式は終わったのだ。つまるところ、校長の話は毎年のことであるということだ。

 それにしても30分は長すぎるとは思うが…


 まぁそんなことは置いておいて、入学式のあとは自由解散となる。クラスは翌日に確認して部屋に集まるという形だ。ちなみに授業も翌日からである。


 ノクスとスクトムは先の会話通り、学園を見て回ろうとしノクスはそれとなくスクトムを目的の場所へ誘導する。


 シェイガルム学園は国が運営しており財源が豊富だ。そのため学園自体が一つの町の様になっているのだが、学園の一角にカフェのようなのんびりできる場所がノクスの目的地となる。そこに辿り着くまでに幾つかの施設をまわった後、そこに2人は行った。


 2人はそこの一角にある、四方の内一方だけがガラス張りになっている綺麗な建物に入る。スクトムは気づかなかった。いや、ノクスが気づかせないように会話に集中させたのだ。


 スクトムは店の中に座っている、青みがかった銀髪で碧眼の少女を見て顔を青くする。新入生代表こと公爵令嬢であるシェリア=デューク・サウザンドである。ちなみにノクスとスクトムの友達である。


 シェリアは涼しげな顔で紅茶を飲んでいた。そしてスクトムを見るとそれはニッコリと笑顔を浮かべる。もちろん、目は笑っていないが………

実は入学式が終わってすぐにノクスはシェリアに伝言を先生を通してしていたのだ。

自分たちはここに行く、と。

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