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なろラジ5参加作品

サーラと魔法のたまご ~一日一度だけの魔法

掲載日:2023/12/19

「なんて愚図(グズ)な娘! 今日は食事抜きよ!」


 (したた)かに頬を()たれ、サーラは冷たい床に倒れ伏した。

 エノク伯爵家の日常だ。


 拾い子のサーラに、夫人は容赦しない。

 十年前、伯爵が連れ帰った幼子(おさなご)を、夫人は使用人以下に扱った。


 夫人が去った後、サーラは重い足取りで自室に戻る。

 館の奥の狭い物置。


(大丈夫。私には母様の魔法があるわ)


 部屋隅に隠してあったたまごを、サーラは取り出した。



「たまごよ、たまご。不思議なたまご。お腹が空いたわ、ご飯を出して」



 サーラが唱えてたまごを割ると。


 湯気の立つ美味しそうな料理が目の前に並んだ。


 どれも本物、良い香り。


 一口食べればサーラの頬が。

 二口食べれば(しぼ)んだ心が。


 次々癒され、やがて料理が無くなる頃には、サーラは元気を取り戻していた。


御馳走様(ごちそうさま)でした」


 サーラに残る唯一の記憶は、母のこの魔法のたまご。

 気づけば辛い伯爵家にいたのだ。



 たまごを割れるのは、一日一回。

 けれど割ったたまごは、翌朝すっかり元通り。


 万能薬も、柔らかな布も。たまごはサーラが望む品を与えてくれる。

 それらはサーラの身も心も、優しく癒してくれるのだった。



 ある時、夫人に秘密がバレた。

 でもサーラ以外にたまごは扱えない。


 夫人は"私の前でたまごを割れ"とサーラに命じ、出た品々を取り上げた。


 そんなある日。


「サーラ! たまごから薬を出して」


 夫人の声が館に響いた。


「奥様。今日のたまごは使用済。まだ割れたままです」


 夫人の希望で宝石を出した後だった。


「大変よ! 旦那様がお招きした王子殿下がお怪我を負われたの! 我が家が責を問われてしまうわ」


 伯爵は王都に勤めた帰郷の際、王子を自領の狩り場に誘ったらしい。 

 血相変えて夫人が叫ぶが、たまごは明日まで戻らない。


 サーラが見た若い王子は、青い顔を苦悶に歪ませ、大量の血が止まらずにいる。


 命の危機を見過ごせず、サーラはたまごの(カラ)を持ち出した。



「お願い、殿下を助けて」



 壊れる覚悟で願いを唱え、手元の殻を砕くと。

 たまごではなく、サーラ自身から光が溢れた。



「これは妖精の癒し……」 


 傷が()えた王子が呟く。



 妖精達はたまご型の魔道具で、魔法の練習をする。

 幼いうちは一日一度まで。


 本人は気づいてなかったが、たまごの魔法はサーラ自身の力だったのだ。


「もしかして君は、僕の従妹(イトコ)?」


 王家に嫁いだ妖精。生まれた姫は、魔法目当ての何者かに攫われていた。



 伯爵家は潰され、サーラは王子に連れられて家族と再会を果たし。


 たまごからは幸せが(かえ)った。



 お読みいただき有難うございました!!(*´▽`*)/


 1000文字きつかった…。相変わらずきつかった…。

 王子とのラブとかいろいろ入れれず、無念!

 もういっそ「僕の妹?」にしたろーかと悩み。従妹なら恋愛できるけど、兄妹だと無理だし、と悩んでそのままです。

 ジャンルともども、後で変更したらごめんなさい。

挿絵(By みてみん)

 夫人はサーラの身元をたぶん知らなかったので、夫の隠し子かと思っていたかもしれないですよね。それは辛く当たるわ。もし知ってたなら、すごく酷い。

 伯爵は攫ったものの、魔法の使い方を知らなかった様子。サーラ本人も知らなかったので、やむなし。

 他、ゆるふわ設定ですが、童話な世界観としてお楽しみください(´艸`*)


エノクの意味「従う者」

サーラの意味「王女」


でした。(∩´∀`*)∩ ヨーロッパや北欧イメージで書き始めたのに、名づけが違う国の単語!

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― 新着の感想 ―
たまごの秘密……! あっと驚かされつつ、こんな卵あったらいいなぁと憧れちゃいます(*´ω`*) 確かに童話のようなお伽話のような世界観で、1000字とは思えない満足感です(`・ω・´) サーラ、しあわ…
再読出来て良かったです! いつもながら展開が面白くびっくりです。(二度目なのに驚く(笑 たまごの魔法ではなくて?! 面白かったです。 ありがとうございました。
[良い点] 御伽話らしいハッピーエンドでした!面白かったです。 [一言] 威力のある魔法は他の人に知られちゃいけませんねぇ。
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