神鳥 −イビス− 93年
2024年6/3〜6/4 タブレット端末にて執筆し脱稿 即日投稿 当時図書館から借り読んだ時はぶっちゃけ怪獣映画みたいな小説のイメージが…… 此処まで来たら"夏の災厄"まではこの路線続けます なお私がとある場所で何を見てしまったのかはノーコメントで もうその土地手放したから無関係です知りません(笑) 良いね1つありがとうございますm(_ _)m
【 享年27歳で謎多き無残な最後を遂げた明治の日本画家・河野珠枝は何故こんな忌まわしい絡繰を仕組んだ幻想絵を遺したのか? 彼女を題材にほぼポルノ紛いな崩画もとい映画撮った金田史子監督の不可解な最後 30の大台越えて自身の画風や路線に手詰まり感を抱くイラストレーター谷口葉子と同じくワンパターンな娯楽小説しか書けない自分に閉塞感抱くラノベ作家・美鈴慶一郎が安易な雇われ出版企画に手を出し踏み込んでしまったモノは? 】
★恐怖の度合いは全く違うが割と似たような幻視見て暫くトラウマが…… 忘れた頃に古本屋で特価+20%OFFだったので買っちゃった(苦笑)
日本 ミステリーホラー小説
篠田節子 著
1993年集英社 刊/1996年同文庫化
令和6年6月3日 雨足は強くなったり弱くなったりしたものの、延々1週間近く降り続いた雨がお昼前に漸くやんで青空が 取り敢えずそろそろ返却予定日だったちょっとアレなDVDを返すついでに本屋回り…… 生憎と御目当ての"蒼き鋼のアルペジオ27巻"は未だ届いて無いので、まさか本当にGW前に出版されるなんて全く信じていなかった(いや前科山程有るんだもん)米澤博信先生の"小市民シリーズ完結編・冬季限定ボンボンショコラ事件"を購入 来月からテレビ放映予定(多分沖縄じゃ見れないな此れ)のアニメ版で主人公達演じてる声優さんのボイスやらあの映像を脳内変換させつつ堪能させて頂きました シリーズ第1作が出たのは今から何と20年も前な此れがまさかアニメされしかも完結編がちゃんと出るとは思わなかった 勿論出たばかりだしテレビアニメ始まるのは来月からなのでネタバレ含む作品紹介はほとぼり冷めた頃に まずはブックオフに売り払った前作までのシリーズ再購入しなきゃね
そんな最中にニュース速報で声優増山江威子さんが5/20に肺炎で逝去したとNETニュースで知ってちょっと落ち込む事に ルパン三世の二代目峰不二子役にバカボンのママ、顔出しは演じてるキャラのイメージ崩れるからとずっとNGでしたが実は90歳近かったのね 謹んで御冥福と心からの感謝を ぶっちゃけ悪女だけど格好良い女の代名詞みたいな方でした 時は流れ憧れていた俳優や女優も次々と彼方へ消えてゆき 止まっていた物語も大団円な終焉へ向け流れ出す とはいえ追い掛けるモノがあまりに多過ぎて感慨になんか浸っている暇なんか無い 今回はぶっちゃけストーリーすらほぼ忘れてたこんな小説を偶々入手したので取り上げてみようかと
日本にはニッポニア・ニッポンという鳥が居る…… 私が朱鷺と呼ばれるそんな大型の鳥が絶滅しようとしているのを知ったのは確か小学生の頃、偶々目に付いた公共テレビCM その後叔母の彼氏が度々車の中で流してたさだまさしさんの歌で更に羽数が減ったと知ったのは何時頃だったかな? 当時のブラウン管テレビの解像度は令和現在の4K液晶モニターに比べるとかなり低かったので後年図書館であのグロなアップ見て仰け反る事に 鷺もそうだし何故か社会人となって関わる機会増えたダチョウも大概だけどあの手の鳥ってセキセイインコや雀やオウムに比べ怪獣ぽくないかね? そもそも物心ついた頃から絶滅必至だったから私は生身で見た経験すらございません アレより顔面インパクト強烈なハシビロコウなる鳥知るまで全く興味有りませんでした
朱鷺色なんてモノを知ったのもグラフィックデザイン学んでからだしなぁ 私がイメージしてたのは北斗神拳のあの人だったのでてっきり灰色ぽい何かだと(苦笑)
【 震災以降BSで視聴出来るNHK能登 前振りどうするよと悩んでたタイミングで夕方放映していたのは高度経済成長期な1970年代に激増したという能登観光のバスツアーのニュース映像 お目当てはあの地方ならではの棚田と最後の群れとなった朱鷺の姿を背景に記念写真 なんつーか滅茶苦茶狭い農道突っ走るバスの車列は酷いと思ったけど当時はアレが観光地じゃ当たり前の光景だったんだなと 朱鷺が捕獲され佐渡の保護センターへ 農水省の減反政策により多くの棚田が耕作放棄地となり観光バスも路線廃止 今に至る限界集落化が始まったとか 】
★勿論狭く急斜面だから田畑維持する手間は平地の3倍 日本の場合は棚田や畑で作物作り糊口凌ぐ人間が居なくなった事も朱鷺滅亡に拍車掛けたらしい 当時は毒性強い農薬や狩猟による乱獲が元凶呼ばわりされてたっけ 本作&文庫版出版当時は朱鷺の絶滅は確実視されてました 今は日本の人工飼育ノウハウ提供が功を奏し、国内600羽/中国で2600羽/半島で363羽に増えてます それでも絶滅危惧種だけどね 露助は聞く耳すら持たず絶滅してる
其れは冬の薄紅色に彩られた夕闇の空から牡丹の花が咲き乱れる地に舞い降りる八羽の朱鷺 夢幻的なただ美しい光景の筈なのに何故私はうなじが逆立つ様な忌まわしさを抱いているのだろう…… 27歳で壮絶な自殺を遂げる寸前にこの"朱鷺飛来図"を最後の作品と遺した明治の日本画家 河野珠枝は業界内ですら名前の知られた大物には程遠い 他の業界同様に昭和の終わり頃まで男尊女卑が罷り通ってた時代に埋もれた彼女が平成時代に初めて脚光を浴びたのは 多くの芸術家をその美貌と会話術で翻弄した東洋のサロメとして取り上げたポルノ紛いな映画
女の常念描かせれば国内でも右に出るものが居ない金田史子の撮った其れは主演女優の濡れ場と公開直後の金田映画監督の不審死によるニュースが功を奏し、興行的には大成功したものの海外では女流画家フリーダ・カーロを題材にした映画とかぶり二番煎じの評価 そんな彼女の波乱に満ちた半生を取り上げてみたい 安易な便乗企画に手を上げたのは此れ迄自身の書いていたハイパーバイオレンス路線(笑)に人気ジリ貧を感じていた新進気鋭の小説家 美鈴慶一郎 出版社から煽てりゃ何でも描いてくれるイラストレーターとして抜擢されたのはヘボ小説家同様に自身の描いてきた美少女&美少年のキャラクターが以前程持て囃されなくなった谷口葉子 恋愛は大抵上手くいかず互いに独り身 しかも男性経験皆無で絵だけでやっていける程収入も安定せず30越えても実家にパラサイト状態な彼女に拒否権は皆無
虐め切っ掛けに心病み引き籠もり状態で作家となったヘボ小説家と実家取り仕切りる弟夫婦や子供達に引け目抱いてるヒロイン画家の出会いは最悪だったがとにかく共に絵が書けない&原稿が進まなくて後が無いポンコツコンビは手掛かりやインスピレーション求める為に珠恵の絵が展示されてる鎌倉の美術館まで小旅行 ところが原画は他のイベント展示の為倉庫に収納されており閲覧不可 ちょっとした遣り取りから実は"朱鷺飛来図"は複数描かれていた事実が判明する ヒロインが冒頭見ていた画集の"朱鷺飛来図"所有者 故三河重信は昭和30年に突如この絵は呪われていると焼き捨てその後程なく病死 新潟県豊浦町 2人は珠江が自殺した生家を訪れ屋敷を管理する藤島家四女 西村須磨に案内され屋敷を散策 明治34年11月30日、外傷性の白内障で徐々に見えなくなる片目に苦しめられながら僅か3ヶ月で其れまでの写実的な画風を放棄した彼女は構図変えながら5枚の絵を描き上げ翌年3月2日庭で自殺 金田監督が再び屋敷を訪問し再び"朱鷺飛来図"を閲覧したのは映画公開されて随分後の事になる
『 私は間違っていた 珠江が描き遺したのは世にも恐ろしいモノだった 』
程無く珠江の足跡を独り追い続けていた金田監督はその後自宅マンションから飛び降り自ら生涯を閉じる 彼女は何をこの絵に見てしまったのか? 最初にその絡繰を見抜いたのは葉子ではなく慶一郎 咲き誇る牡丹の中に組み込まれていたのは無数の人々が朱鷺により啄まれ生きながら内臓を食い千切られる地獄絵図 彼女は何故巨大な朱鷺が牡丹が狂い咲く村で人々を嬲り殺す恐ろしい絵を描いた? 手掛かりとなるのは珠江と愛人関係にあった親子程歳の離れた園芸家 芝野辰巳 恩師でかつては愛人として取り込まれそうになった大学教授高野からかなり歪な思い込みに塗れた情報提供受けながら明らかとなる2人の過去 とある毒性の高い樹木を接木に品種改良した牡丹に愛人の名"珠江"と命名した辰巳と珠江に何が有ったのか 明治34年冬に辰巳や彼が手掛けた牡丹と共に突如住民達が何一つ手掛かり残さず文字通り消えた集落が東京近郊の奥多摩に有る
迷う筈の無い鷹の巣山ハイキングコースで遭難 朱鷺を祀る結界に取り込まれ霧の中、這う這うの体で辿り着いたのは明治30年代で時の止まった迷い家 かつて此処で遭難し救助されたものの何かを見てしまった金田監督 そして2人は追体験してしまう行方不明となった辰巳を始め老若男女を襲い文字通り何度も嬲り殺しを繰り返す体長2mを超える巨大な朱鷺の群れ 此れが幻視なら未だ悪夢で済まされたのだが逃げ回り何度も殺され生き返る人々は2人を認識出来ず触れない 逆に本来の容貌から掛け離れた憎悪に満ちた何かを感じる朱鷺の方は此方からの攻撃はすり抜けるだけで爪や嘴は容赦なく葉子や慶一郎の身体をズタズタにしてゆく 片目を朱鷺に啄まれながらも村にただ一丁残された猟銃を持ち出し辰巳を含む村人全員を見捨て地獄から生還する珠江が消える場面を最後に悪夢の様な1夜は明けた 全身をズタズタにされながらも辛うじて命を拾った葉子と慶一郎は元の時空へと生還
だが悪夢の様な怪奇現象は何一つ終わってなどいなかった
❖此れは神鳥による祟りを題材にした怪異 見た目同じだけどサイズも性格?も異なる朱鷺は無関係 よって舞台は能登半島でも新潟は佐渡ヶ島でもなく史実で原因不明な集落毎の失踪現象起きてた奥多摩が惨劇の舞台となります 勿論"アクアリウム"に続いて二度目(苦笑) やっぱり何か作者様本人が何か因縁有るんでしょうね 地方公務員時代の敵はカルト教団だったそうですし
❖結局呪われたままな2人の選んだ選択は? その辺りは此れから本作読んだお客様のお楽しみ 一応小説ラストまでは生き残ってますがね
2024年6/13 欲望という名の電車 51年 新規割込み投稿