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夏の名残りの薔薇 04年

2023年4/10〜4/11タブレット端末にて執筆し脱稿 新規割り込み投稿

水野理瀬シリーズ借りた積りが記憶うろ覚えだったからタイトル間違えた(笑) まあ此れは此れでゴチャゴチャしてても面白かったので其れで良しと言う事で

【 登場人物全員が物騙りを繰り返す…… 沢渡家を取り仕切る三姉妹の老女達により年に一度招かれる山頂のホテルで繰り広げられる6つの殺人事件 其れは何処までが事実で何処までが嘘? 日本の古典文学作品 芥川竜之介先生の "藪の中" と "羅生門" を恋愛ミステリーにアレンジした "去年マリエンバートで" と言うカルトなフランス映画にスタンリー・キューブリック監督の"シャイニング" 夢野久作先生の "ドグラ・マグラ" に押井守監督の "ビューティフル・ドリーマー" な要素も色々入ってるかな 面白かったけど煙に巻かれた気分味わえます 】


★結局みんな誰かを殺した或いは自分は死んだまたは殺されたと過去の記憶改竄してるだけかも知れませんが 其れすらも霧の彼方へ消えるオチ……雰囲気に呑まれたいお客様向け


日本 ミステリー小説

恩田(おんだ)(りく)

雑誌 別冊文藝春秋 2003年5月〜2004年3月 連載6話

文藝春秋 刊 本格ミステリー・マスターズ

2008年文春文庫化


 令和5年4月10日 例のマイナンバーカード取得申請特典が電子マネーで振込まれたので前から読みたかったラノベやら笹本祐一先生の新刊買い込んだりとお昼前からずっと本屋と古本屋回り色々仕入れて来ました。 帰って来たら給湯器の点検をと訪問してきた業者に付き合わされたけど…… 落ち着いて考えてみたら家は去年定期点検済ませ部品も全部取り替えたばかりだし もう1台は一昨年に丸ごと買い替えたばかり 名刺貰ったけど明らかに購入した業者じゃ無いな此れ 断りの電話ついでに警察に相談する予定です どうも新手の押し売りか押し込み強盗の下調べの可能性も出て来てますがまぁ来たら返り討ちだな 以前も深夜バール片手に押し掛けて来た阿呆をボコボコにしてますし相手が多ければ数人ぐらいなら手足圧し折っても大丈夫だよね


つー訳で未だどんな作家さんなのか分からず手探りで読んでみた恩田陸先生作品の体験2作目 前回のアレよりは面白かったけど原作者が後書きで書いてる通りココ・シャネル女史がファッションデザイン監修した理不尽劇な映画 "去年マリエンバートで" とスティーブン・キングの原作をガン無視し単なる頭イカれたアル中親父が斧片手に大暴れした挙げ句凍死するスタンリー・キューブリック版の映画 "シャイニング" そして私自身も何度も原作小説読み耽り映画化されたりSFアニメ映画化までされたけどやっぱりワケ分からなかった夢野久作先生の"ドグラ・マグラ"な要素も入ってるそんな物語 多分押井守先生の"ビューティフル・ドリーマー"等の夢オチ物とかが好きだったらド嵌りすると思いますが トリックやら仕掛けやら誰が犯人か きっちり謎解きやらないと納得しないタイプのお客様にはお勧め出来ません 映像化したら滅茶苦茶面白そうだけど登場人物(キャラクター)が極端過ぎてね 日本の役者使って舞台化したり実写化するのは諦めた方が良さそうです 



【 兎にも角にもこの物語理解したいなら "去年マリエンバートで" をDVDで借りるか購入するしか無い 色々大手レンタル店回ってみたけど2019年にデジタル・リマスター版が発売された筈のこの作品 何処も取り扱って無かった(苦笑) 初めて訪れたホテルでまたお会いしましたねと妙なイケメンに付き纏われるヒロインが段々何処までが現実で何処からが妄想なのか分からなくなる物語 動画サイトで予告編見てると何処までも左右対称(シンメトリー)に拘った建物や室内の情景に現実感が揺らぐ映画です とは言え元ネタは芥川龍之介先生の作品なんだそうな 】


★私がこの物語理解する足掛かりにしたのは"ひぐらしのなく頃に" 案外この手のノベルゲームに嵌まったお客様なら何となく波長合うかも



■第1変奏: 姉 沢渡(さわたり)(旧姓 (みなと))桜子(さくらこ)と弟 (みなと)時光(ときみつ)


 沢渡グループを取り仕切る3人の老姉妹 上から伊茅子(いちこ)丹加子(にかこ)未洲子(みずこ)が見込んだ男女を集める泊り込みのお茶会が開催されるのは晩秋を迎える山奥深くの森に建てられたヨーロッパ風の豪奢なホテル 長女(伊茅子)の嫡男 隆介(りゅうすけ)と結婚 息子(康介)を授かった姉=桜子と弟で同じく伴侶を得て子供授かり順風満帆な人生送る(みなと)時光(ときみつ)は姉の婚姻以降、毎年此処で逢瀬を重ねる禁断の恋人関係でも有る その秘められた関係は何者かの告発により伊茅子(義母)にも伝わっておりお茶会を通し提言されたのは2人の関係の解消か姉弟としての関係再構築…… 要するに滞在するなら其々の家族連れて来て普通にやって欲しいとの懇願 


桜子(さくらこ)の不倫 但し相手は時光(義弟)では無く 長年グループと取引してる自動車ディーラーの辰吉(たつよし)(あきら)だと興信所から知らさせ奥能する隆介(りゅうすけ) 姉弟を威圧するかの様に螺旋階段の半ばに鎮座する巨大な柱時計 同じく三女(未洲子)のお茶会に呼び出されたグループの相談役らしい謎多き大学教授 天知(あまち)繁之(しげのり)との遣り取り 次女(丹加子)に呼び出された彼女(次女)の娘で精神不安定気味な女優 瑞穂(みずほ)とその専属マネージャーの田所(たどころ)早紀(さき) 夕餉で繰り広げられる三姉妹による残酷な思い出話 勿論其れは嘘に塗れた即興劇でしか無いのだがその毒気に当てられる登場人物達 辰吉と(桜子)の関係を知り嫉妬する時光() どうも姉弟が肉体関係持っている事を黙認していたらしい隆介 "謎めいた言葉残し寝室に消えた桜子が何者かに殺されていることが判明したのは翌朝のこと" 



■第2変奏: マネージャーの田所(たどころ)早紀(さき)と女優 沢渡瑞穂(みずほ)


 友人でもある瑞穂(みずほ)の専属マネージャーとなってから滞在する様になった早紀(さき)から見た桜子&時光姉弟が漂わす独特な雰囲気 毎年嫌だ嫌だと言いながらお茶会に参加しないといけない瑞穂に付き合う彼女の思い 長女(伊茅子)が此処に滞在中、常に黒尽くめのドレスを身に纏うのは早逝した夫や両親に叔父だけでなく此処で産み亡くなった2人の水子の喪に服しているかららしいと瑞穂から明かされる 彼女(瑞穂)の母 丹加子(にかこ)を悩ませる不可解な悪戯 勿論今回の語り部である早紀も桜子と時光そして隆介や辰吉のややこしい関係を知っている 沢渡グループの様々な秘密を熟知している天知教授が暗喩する桜子と時光の過酷な半生 第1変奏同様に即興的な作り話を始めた丹加子は突如精神を錯乱させ昏倒 桜子が語り始める推測は此処で生まれ人知れず亡くなったの双子は伊茅子(長女)の不義の子ではなく丹加子(次女)が産んだ可能性


どうも高校時代に衝撃的な出来事に遭遇し記憶の1分を欠落させている早紀が絶えず夢見る悪夢 突如何かが崩れ落ちる音に叩き起こされた語り部(早紀)が寝室から飛び出し他の滞在メンバーと共に目撃したのは"柱時計に潰され即死している丹加子" 



■第3変奏: 沢渡隆介(りゅうすけ)が湊姉弟に抱く執着


 気のおけない仲の良い友人や取引先として珍重する顧客は其れなりに多いが沢渡隆介が初対面で所有したいと思い詰めた相手は弟の湊時光 ちなみに恋に近い感覚らしいが別に語り部は両刀使いでも同性愛者でも無いそうだ。 桜子に結婚申し込んだのはもれなく弟が付いて来るからであり両親をトラック事故で失い天涯孤独な2人が肉体関係持っていることも端から承知していた ちょっと気に入らないのは後から割り込むかの様に妻の間男に収まった辰吉亮 分からないのが誰よりも弟を愛し独占したがってる筈の(桜子)が辰吉を囲ったのか 其れなりに観察眼磨いている語り部にしても彼女の真意が掴めない 姉の浮気に気付かなかった時光をも抱き込み始まった間男対策 "深夜誰も居ない螺旋階段から転げ落ちた柱時計" 幸いにも怪我人すら出なかったものの三女(未洲子)叔母のドアに括り付けられた子供用の縄跳び


未洲子叔母は昨晩夕餉の席でおかしな創作話を披露し突如錯乱状態になった次女(丹加子)を訝しみまた同じく顔色変えた長女(伊茅子)を心配している 語り部との茶会で丹加子が双子流産した事をあっさり明かす未洲子叔母 外は荒れ狂う嵐 自室で色々状況整理してる隆介を訪ねて来たのは瑞穂だった 桜子と語り部の対峙 色々吹っ切れた彼女が明かす様々な思い "翌朝自室で毒入りの煙草吸い事切れていたのは伊茅子" 共に密室化していた部屋を抉じ開けた天知教授が語る桜子の秘密 彼女と時光は先代沢渡家頭首の隠し子で有り事故で亡くなった双子の両親とはそもそも血の繋がりは無かった 全てを知りながらイトコ同士で婚姻結ばせた伊茅子を追い詰め自死に追い遣ったのは私だと語る桜子 穏やかな顔で事切れてる伊茅子の表情でこのエピソードは幕を閉じる



■第4変奏: 大学教授の天知(あまち)繁之(しげのり)が此処に滞在する理由


 伊茅子さん主催のお茶会が今朝未明の柱時計倒壊事故により中止となり 退屈を紛らわすためホテルの書籍を全て読み終えてしまった天知教授が沢渡瑞穂のマネージャーである田所(たどころ)早紀(さき)から借りた本はどうも来年映画化されるらしい 好意に甘え借りたものの偶に学生からも意味不明で何を伝えたいのか分からないと揶揄される彼ですら文章が稚拙だと閉口していたその本は暇そうな一般泊まり客が興味抱いたから早紀の許可得て又貸し だか毎朝必ず滞在客と挨拶交わすため現れる筈の沢渡グループ頭首 伊茅子が何故か部屋から出て来ない 語り部と同じく異常に気付いた隆介と共に彼女の部屋を抉じ開ける 幸いにも煙草貰い昏倒していた伊茅子は土気色の表情浮かべながらも生きていた 


ワイン片手に部屋を訪れて来た瑞穂の質問で明らかとなる天知教授の正体 語り部の父は沢渡グループ先代頭首の専属会計士だった玉置(たまき)昭次(しょうじ) 天知性は語り部が婿養子に入ったからで特に出自を隠したいという訳では無い 三姉妹が可笑しくも残酷な妄想じみた物騙りを始める様になったのは先代の意向 頭首が満足する物騙りを纏め上げた子には小遣いを渡し姉妹間で争わせ対立しあう光景を楽しんでいたらしい 亡き父から何とかトラブルを止めて欲しいと此処の滞在を遺言で託されていた天知は桜子と時光そして隆介が近親者で有る事を調べ上げる 語り部の父 昭次は会計士の裏切り恐れた先代の計略にまんまと嵌り 桜子と時光を自分と丹加子の間に生まれた子供だと思い込まされていた 伊茅子から語られる忌まわしい肝試しの真相は先代が企んだ姉妹の殺し合い 姉妹が其々隠し持っていたナイフやフォークを突き立てたのは知らない間に同じルートを進まされた末の事故 幸い大怪我負ったものの三姉妹は辛うじて生還 グループの頭首となった顛末が語られらる中で "毒入りのワインを口に含んだ未洲子が即死" 場面は暗転し次章に持ち越しとなる。



■第5変奏: 沢渡桜子が復讐したかった本当の相手は


 未洲子の毒殺事件は発生しなかった 伊茅子から語られる陰惨な肝試しの思い出話に浸る時光と隆介に甘えしなだれ掛かる桜子 彼女が沢渡グループに対する両親の敵討ちを誓ったのはあの忌まわしい雪の夜 今では義父母だと判明してるが私達を分け隔てなく愛し育ててくれた2人の死因は明らかに事故では無かった 深夜語り部を訪問して来たのは時光でも隆介でも無く瑞穂のマネージャーの田所早紀 あの高級車ディーラーの辰吉亮が隠れて交際続けていた相手は沢渡瑞穂…………つまり私の従妹であり世知辛い表現となるが辰吉は二股を掛けていたらしい 翌朝仕事溜まってるからと独り職場へ戻る(隆介)を姉弟で見送る場面挟みつつ多分この逢瀬も終わらせないといけないねと穏やかに語り合う語り部と時光 夕餉の席でホテルを貸し切りとしての三姉妹主催お茶会を此れで終わりにしようと引導渡す天知教授のスピーチを切っ掛けに始まる本当は互いに憎み合ってすら居た三姉妹の口論が始まる


隆介が残した毒入りワインを天知教授が見抜き始まる断罪合戦 瑞穂は早紀と組み桜子を陥れるためワインを毒入りにすり替え 桜子は沢渡家に復讐果たすためワインを毒入りにすり替えた あの日事故を装い桜子&時光を育てた両親を轢き殺したのは沢渡建設のトラック 此れが事故だと通報したのはわざわざ遠く離れた犯行現場まで連れて来られた瑞穂の電話使った演技 そして態度豹変させた登場人物は………………画面は此処で暗転し物語の舞台は翌年の初冬へ



■第6変奏: 辰吉(たつよし)(りょう)は桜子と瑞穂や早紀に利用されていただけだった


 断罪合戦から1年後 沢渡瑞穂と田所早紀の呼び掛けで再び集まるあの不可解な現象を体験した当事者達。 辰吉亮が車でホテルに向かう途中で霧に覆われた崖を見下ろしていたのはバスを途中下車し歩いてホテルを目指していた沢渡桜子 彼女を同乗させ漸く到着したホテルのロビーで待ち受けていたのは天知教授 先代頭首伊茅子(いちこ)は病で急逝 丹加子も未洲子もすっかり老け込み今回の集まりには不参加を表明 やがてバスで到着した沢渡隆介と湊時光も合流 何故自分達は誰かを憎み或いは実際に相手を手に掛けたり殺されたり死ぬ苦しみを現実だと認識したままなのか どうも全ての始まりは去年あの霧に覆われた陰谷で見付かった身元不明の女性の遺体が原因らしい


瑞穂の策略で彼女を殺し顔を潰して投棄したのは危うく辰吉となる所だったが全ての事情知る天知教授は其れを全否定 其れは偶発的に起こった事故によるもの 身元不明な女性の正体は三姉妹が此のホテルに匿っていた流産した筈の双子の成れの果て 近親相姦で生まれた双子の片割れ沢渡瑞穂は多少精神に難有り虚言癖がやめられないが辛うじて日常生活が送れるレベルだったが彼女と瓜二つの姉又は妹は精神に重い障害抱えて生きていたらしい 壁時計を引き倒したのも姉妹の部屋のドアノブに子供の手袋や縄跳びぶら下げていたのも深夜徘徊がやめられなかった彼女の仕業 うっかり崖下に転落し事切れた自分と同じ顔貌の女性を目の当たりにした瑞穂は錯乱し岩で彼女の顔を粉砕 こんなお粗末な断罪劇で幕引きを図ろうとした事が判明する 一年前に誓った約束…… それはもしこのホテルで滞在する事になったら二人で誰も知らない遠くへ行かないかと話した他愛もないもの ホテルを出立する辰吉に付き添う女性はいったい誰? 


『 去年? 今はいったい何時なのかしら? 』 助手席でそう呟く彼女にもハンドル握る辰吉にも其れは分からない



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