カタコンベ 04年
2023年6/8〜6/9タブレット端末にて執筆し脱稿 新規割り込み投稿
【 タイムリミットは約5時間 出入り口を崩落で塞がれ流れ込む雨水でこのままだと全員溺死が待っている鍾乳洞から調査隊を救い出せ メンバーに紛れ込む殺人鬼vs復讐者によるトラブルで人がバタバタ死にます どうもこの鍾乳洞で生き延びているらしいヤマイヌ=日本オオカミの謎 色々ごちゃごちゃしてる人間関係やサスペンスをなるべく読みやすくスピード感溢れる描写やノリと勢いでクライマックスまで駆け抜けるそんな物語 とは言え幼少期のトラウマ体験が渥美清さんバージョンの"八つ墓村"と映画版より遥かに怖かった横溝正史先生の"悪霊島"な私は人跡未踏な鍾乳洞には近寄ろうとすら思いません(苦笑) 】
★久し振りにケイビング描いたホラー映画"ディセント"見てて偶々図書館で目に付いたので……一気読み
日本 ミステリー文学小説
神山祐右 著
講談社 刊 2007年講談社文庫化
❖第50回 江戸川乱歩賞 受賞作
令和5年6月8日 今日も夜明け前から蝉時雨が目覚まし 地元ニュースでは数日前から始まっているらしい平和の礎=沖縄戦における戦死者&行方不明者の読み上げなんて話が 慰霊の日に向けカウントダウン形式で行われているのらしいけど報道見てて驚いたのがその総数…… 私が子供だった頃は米軍戦死者合わせても精々15万ちょいだった筈だけど24万越えてる? 調べてみると当たり前の話ですが菊水作戦における戦艦大和や軽巡洋艦矢萩等の海上特攻戦死者に勿論神風特別攻撃隊や護衛機に夜間偵察と爆撃続けた航空隊の戦死者 対馬丸が有名だけど疎開船舶の犠牲者 此れに加え略奪により散逸した資料から1家全滅した人々の名前が判明したりと色々あったとかで名簿追加 多分亡くなった家族と名前並べたいなんて希望も有るでしょうが其れはありません これでも米軍側の戦死者名記載は遺族の希望や承認待ちなんて例も有るので後数千人は増えるかも なお名前読み上げは多分広島や長崎の真似なんだろうな アメリカ合衆国じゃアーリントン墓地で毎年ベトナム戦争戦死&行方不明者の読み上げも有るそうですし
鍾乳洞探索を題材にしたミステリー小説の紹介なのに何故慰霊の日とか平和の礎ネタをとお思いでしょうが 私等の世代辺りまでは鍾乳洞=天然の防空壕や避難壕だったからに決まってます 曾祖父母辺りの世代まで遡ると鍾乳洞って遺体を白骨化し埋葬しやすくなるまで放置する特別な場所でもあった(今と違って火葬場無いし土葬は疫病リスク有りまくるので禁止)から冒険?スポーツ・アクティビティ? ゴキブリや毒蛇にネズミやコウモリがウロウロしてる不衛生な空間にわざわざ乗り込む? 阿呆ですかアンタラだった訳ですよ 慣習やある種の迷信のみならず沖縄や日本海側の本州鍾乳洞は大陸から流れ込む生活排水を阻む天然の海水濾過システム もし此処が何らかの形で破壊されたりすると汚染物質が太平洋へ流れ込みたかが人間程度の技術力ではもはや手を付けられ無いレベルの最悪の環境破壊を引き起こす可能性が極めて高いから 端から入洞制限による環境破壊に考慮した観光鍾乳洞に限定されてた訳ですが 元々穴ぐらの中でウホウホやってた西洋人にしてみれば太陽光でダメージ喰らわないあの環境は先祖返り出来るレベルの天国らしい
まぁ他所でやる分には遭難しても自己責任だし勝手に死ねばで済むんだけど 近頃沖縄でも此れに観光客参加させて金稼ごうと禄な知識や安全講習も無しで海底洞窟へダイブなんて阿呆が居るものだから厄介でね 今の所最悪の事態は避けられては居るものの冬山登山レベルの危険性が伴うアクティビティなんて私は絶対に日本で流行らせたく無いな 案外彼のエボラ出血熱やマールブルク・ウィルス、恐らくは武漢コロナの原型とやらもそんな探検ごっこやらかす阿呆が地上に持ち帰った可能性が極めて高いと思うので 研究や安全確認で入るならともかく遊びで潜る輩は人間として論外かと思う
【 なお本編とは全く関係ないけど日本神話から多大な影響受けてる沖縄の祭事において鍾乳洞は弔いの場所で黄泉への入口で有ると同時に女性の胎内という扱いでも有る 戦争において背に腹は代えられないから避難壕として使ってたけど元々沖縄出身者は台風が来ても此処には逃げ込まなかった辺り 余程忌避されてるとしか思えないモノが有る ぶっちゃけ南西諸島の其れはコウモリとゴキブリの巣だしなぁ 沖永良部島の海中鍾乳洞に至っては経験豊富なダイバーでも呆気なく命落としかねない危険地帯です。 】
★モノは試しと検索したら体験ツアーの写真が並ぶ…… 滅茶苦茶危ないのに何募集してるんだよコイツラ
2004年7月下旬、新潟県西部の糸魚川市近郊の青海マイコミ平 多くの鍾乳洞が存在し雪解け水の大半が川ではなく地下へそのまま流れ込むことからそんな地名が付けられた自然保護区 関東ケイビングクラブに所属する2人の男性が此処を訪れた理由は来週クラブ員で探索する地域の事前調査 未確認の入口を発見し、後先考えない好奇心から呆気なく洞窟内に滑落した友人 石岡拓也を助け出すため慌てて飛び込んだ川島孝史が目の当たりにしたのは犬の様な未確認生物に喉笛食い千切られ即死している石岡の無惨な屍 自身も怪物に身体のあちこちを噛まれながらも辛うじて生還した川島が撮影し持ち帰ったのはヤマイヌと呼ばれる日本狼の頭骨を鮮明に捉えた撮影データ もしかしたら此処には絶滅した筈のオオカミが生き残っている可能性が有る 未だマイナーなスポーツ好事家グループによる未確認鍾乳洞の調査は 地元含む大手大学の研究機関や物見遊山で駆け付けた地元マスコミ等々が集まる事態に発展
この物語のヒロインでケイブダイバーの父親を5年前に此処マイコミ平で亡くした大学院生 水無月弥生も上司 柳原史郎T大学研究指導教授の助手として調査チームに加わる事になった 同じ頃、彼女の父 健一郎の行方不明事故に関わり未だ罪悪感を抱えたままケイブダイバーを続けている主人公 東馬涼は技術者でビジネスパートナーの大学生 相田宗治と共に久米島の海底洞窟調査が一段落したタイミングで新潟へ呼び出される事に 俺はあの時死ぬべきだった……当初は頑なにマイコミ平の調査参加を固辞する東馬の決心を翻させたのは調査チームのメンバーに弥生の名前を見付けた事 久し振りにあの悪夢に魘され嫌な予感を感じた東馬が相田と共に現地に到着した時には既にトラブルが発生していた 日本海へ抜けた台風18号が齎した感情降水帯の影響が心配される中、8月28日に強行された黒姫鍾乳洞内探索調査は大雨により入口が崩落
鍾乳洞内部に弥生や柳原教授と共に取り残されたのはケイビングクラブ代表の三島和良 新潟大学の梶本雅之地質学教授 腕利きらしいケイバーの霧崎彰の計5人 駆け付けた地元消防署や専門のレスキューチームによる懸命な救助活動は想定外の事態により一向に進まない 暴力団抗争に使われた拳銃を入手し探索チームに加わった霧崎を追い現れた新宿警察署の安藤忠彦警部補とその部下達 今回第1アタック班に組み込まれた男達の中に10年前、姉 田島澄花とその同僚 鹿嶋直樹の行方不明事故=殺害に関与した殺人鬼が居る 霧崎に業務上横領の罪で脅され協力者に仕立て上げられていたのは今回の鍾乳洞調査を指揮する関東ケイビングクラブのリーダー風間達哉 皮肉にも彼は5年前の水無月健一郎行方不明事故にも責任者として関与していた因縁の人物だった。
ダイナマイト使ったレスキューチームの救出作戦はさらなる崩落により大失敗 このままでは流れ込む雨水と土石流により5人の要救助者は死を待つばかり 内部ではダイナマイトによる鍾乳石崩落により三島和良が最初の犠牲者に このままでは埒があかないと別の鍾乳洞からケイブダイビングで彼等を助けに向かう主人公 水没まで5時間のタイムリミットが迫る中、柳原教授が濁流に呑まれ梶本教授が何者かに殺害される 偶然見付かった田島澄花と鹿嶋直樹の白骨死体から明らかとなる2人が殺された証拠 だが霧崎はそもそも2人を殺した可能性が極めて高い柳原教授を殺すため銃を持ち込んだものの梶本や弥生に途中参加の東馬を手に掛ける理由が存在しない 殺人鬼は濁流に呑まれ死んだふりをした柳原教授 柳原は弥生も口封じで殺そうとするが大怪我負いながら弥生助け出す霧崎と東馬より状況は逆転 追い詰められた柳原教授は奪った銃で自らの頭撃ち抜き最後を遂げるが生き残った霧崎と弥生に東馬が絶体絶命な状況下にあるのは変わらない そんな3人が濁流に呑み込まれる鍾乳洞からどうやって生還を果たすのかについては何とか本編小説手に入れ読んで貰うとして 読んでる最中は全く気にならなかったものの複雑な人間関係の精算云々や後日談を挟みつつ敢えてB級アクションモードな展開の物語は幕を閉じる。
❖ちなみにまんま此れ更に単純化し事故死続出編成にしてるジェームズ・キャメロンが雇われ監督に撮らせた映画 "サンクタム" は2011年の作品 幾ら何でもわざわざ翻訳されてすらいない日本の小説取寄せ内容パクったとは到底思えないにしてもアメリカ合衆国でもかなりマイナーなアクティビティであるケイブダイビングをテーマに据えた理由は何なのか? 色々疑問は残ります
ノリは殆どイギリス製ホラー映画のディセントなので此れから借りる予定の3作品含め此処に並べときます