表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
棄てられ王子の最強イカダ国家 ~お前はゴミだと追放されたので、無駄スキル【リサイクル】を使ってゴミ扱いされたモノたちで海上都市を築きます~  作者: タック
第六章 アーマードワーフ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/161

トレジャン海賊団本拠地、機械の島

 機械の島。

 古くから鋼鉄の遺跡などが出土し、住んでいるドワーフもそれらに影響されて特殊な技術を高めていったという。

 鉱山もあり、気象は乾燥気味で鉄などが錆びにくい。


 まさにドワーフにとっての楽園のような島だったが近年、トレジャン海賊団がやってきた。

 ドワーフたちは金や食料を代価として支払い、トレジャン海賊団は機械の島を守る……という大義名分を主張しているが、元々が平和な島だったので詭弁だ。

 ダイギンジョーが立ち寄ったときも息苦しい閉塞感があったという。


「理由は何となく察した。俺とダイギンジョーだけで向かうというのも、人数が多くてもトレジャン海賊団に発見されやすいからというわけか」


 今回は戦闘が目的では無く、ダイギンジョーが機械の島で見たという壊れた大型魔導エンジンが目的だ。

 下手にノアクルたちが気付かれたら大型魔道エンジンを先にどこかへ隠されたり、海に沈められたりしてしまう可能性もある。

 そこでスキル【リサイクル】を持つノアクルと、現地を知っているダイギンジョーだけで向かうことにしたのだ。


「うん、そこまではいい。多少危険でも何とかする自信もある。だがな――」


 いつになく眉間にシワを寄せて険しい表情のノアクルと、ダイギンジョーの顔だけが見える。

 魔大砲の中から。


「なぜ魔大砲で撃ち出されなければいけないのだ……!?」

「南無阿弥陀仏……」


 今まさに大砲で発射されそうになって焦るノアクルと、念仏を唱え始めたダイギンジョー。

 ちなみに時間は深夜で暗い。


「そうは言ってものぉ……」


 アスピは頭を抱えようとしたが、亀なのでうまく腕が届かなかった。


「トレジャン海賊団が本拠地にしている島へ海上都市ノアが近付けば即発見されるし、ゴールデンリンクス号も見た目でバレるしのぉ……」

「それなら新しい船を俺が作れば……!」

「そもそも船が発見されてチェックされたら、トレジャンたちに顔を見られたノアクルは、普通に敵全員に伝わっている可能性があって危険じゃぞい。というわけで秘密裏に、手っ取り早く上陸できる方法がこれじゃ」

「いや、だからって俺たちを魔大砲の弾にして上陸するとか正気じゃないだろう!?」


 この方式でゴーレムハンドアンカーを遠くに打ち出していたのが脳裏に浮かび、そのとてつもない勢いに血の気が引いた。


「大丈夫じゃ、ダイギンジョーは落下耐性のあるケットシーなので高いところから落ちても平気。これで問題ないのぉ」

「大有りなんだが!? 俺は!?」

「……………………よし、ローズ嬢。発射じゃ!」

「はいですわー!」

「おまえええええええええええええええええぇぇぇぇ……」


 今回の魔大砲は消音重視の術式(サプレッサー)なのであまり音もせず、地味にノアクルとダイギンジョーが機械の島へ向かって発射されていった。

 それを見送るローズたち。


「本当は殿下を敵地に送り出すという危険なことはしたくないですが、殿下なら何か大丈夫かなぁと……。って、あれ? さっきまでここにいたアスピ様は?」

「兄弟がギリギリでスキル【リサイクル】で網を作って、アスピさんを巻き込みながら発射されて行きやしたぜ……」


 呆れ顔のトラキアがそう答えた。

 獣人特有の動体視力で見ることができていたのだろう。


「殿下らしいというか、何というか……」


 どんなことをしでかすか分からない自分の主に対して、ローズは溜め息を吐くしかなかった。




 ***




「なぜワシがあああああああ!?」

「わははははははは!!」

「お二人とも、一応これは隠密行動でさぁ……」


 人間砲弾として物凄い速さで飛ばされる三人。

 ドップラー効果で音を残しながらそれぞれ声をあげている。

 闇夜の鳥が見えないように、この人間砲弾の三人も発見される可能性は低いだろう。


「そういえば、あっしも強制的につれてこられやしたが、これはこのまま着地……いや、地面に激突したら死ぬのでは? 猫だから平気うんぬんじゃねぇですよこれ……」


 華麗に空を飛ぶ鳥と違い、今の三人はただの砲弾だ。

 凄まじい速度で炸裂してしまうだろう。

 ついバラバラになってしまう自分を想像してしまう。

 迫る地面、ダイギンジョーは再び念仏を唱え始めようとした。


「心配するな、そのために俺がいる。スキル【リサイクル】!」


 ノアクルは事前に使えなくなった布をもらっていて、それを高密度の半球状の布にした。


「そうか、パラシュートで着地するって方法がありやしたね!!」

「……のぉ、ノアクル……。パラシュートというものはもっと前に広げておく物じゃぞい……?」

「……わははははははははははは!!」


 ノアクルはつい楽しくなってしまい、大笑いをしだした。

 落ちない速度。

 血の気が引くアスピとダイギンジョーは『あ、これ死んだな』と察して走馬灯が見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の評価欄☆☆☆☆☆をポチッと押して
★★★★★にしてくれると応援になります!

いつも読みに来て頂き、ありがとうございます!

「ブックマークに追加」も便利なのでオススメです!



こちら、コミカライズ版です!

漫画:フミキチ先生
原作:タック


【↓情報はこちらのリンクから↓】
i929463
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ